ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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少女は気づく。

自分の胸の内の感情に。

(ファントム)は願う。

愛する少女(ひと)の幸せを。


第69話 波乱の文化祭 その②

クロード「…君をジュリエットに会わせるわけにはいかない。私はジュリエットの兄…‼︎フリードリヒ…‼︎」

 

クロードは腰にレイピアを差して登場してきた。

 

ジョニィ(何やってんだこいつはーー‼︎?)

 

クロード「…聞けば君は女を泣かせ、二股三股を平気でするような卑劣漢だそうじゃあないか」

 

ジョニィ「誤解の上に尾ヒレ付いてるぞ‼︎」

 

クロード「そんな男に妹はやれん…‼︎どうしても妹の元へ行きたくば…私を倒していくがいい‼︎」ズバァ‼︎

 

ジョニィ「うおっ!」バッ!

 

ジョニィはクロードの攻撃を後ろへバク転して回避する。

 

集『これはまたまた急展開ーー‼︎果たしてロミオは無事ジュリエットの元へたどりつけるのかーー‼︎』

 

ジョニィ「おいッ!この話は恋愛悲劇だろ!いつバトルものにシフトチェンジしたんだ‼︎」

 

千棘「ちょっと…!えーとお兄様⁉︎何やってんの危ないでしょ⁉︎」

 

クロード「ジュリエットは黙っていなさい。この男は危険なのだ…!この男さえいなければ…‼︎ジュリエットは永遠に我が元に…‼︎」

 

集『おおっと、どうやらお兄ちゃんは重度のシスコンでいらっしゃる模様ーーー‼︎』

 

クロード「チィッ!ちょこまかと逃げおって!」

 

ジョニィ「斬られそうになったら避けるのは人間として当たり前じゃあないか⁉︎卑怯だろそっちだけ武器とか!」

 

そんな中、小咲は舞台裏である物を見つけた。

 

小咲「…鶫さん!これを一条君に!」

 

小咲は鶫にそれを渡し、

 

鶫「!なるほど…ロミオ様!これを!」ブンッ!

 

鶫はそれを投げて渡した。

 

ジョニィ「!ありがとう!」パシッ!

 

それは、別の劇の小道具である片手用直剣(刀とは違う両刃)だった。

 

ジョニィ「さて…やるか」シュカァン!

 

たとえ芝居の小道具でも、ジョニィ達には関係ない。なぜなら、『クリスタル・ボーン』の能力によって骨を纏わせ、本物並みの斬れ味を誇る業物になるのだ。

 

ギィィィィィィン…‼︎とレイピアと剣がぶつかり合い、金属音が炸裂する。

 

クロード「くっ…!」

 

ジョニィ「ハッ!」キィン!

 

お互い一旦距離を取った後、激しい剣戟が始まる。

 

ジョニィ「ぐっ…!」

 

劇である手前、クロードに重傷を負わせるのはマズイと考え、ジョニィはあまり攻撃的になれず、防戦一方だった。

 

それに伴い、ジョニィの服がボロボロになっていく。

 

集『防戦一方のロミオ!果たしてこの決闘に勝てるのかーー⁉︎』

 

クロード「ワーハッハッハッハッハ‼︎どうした、手も足も出んかー‼︎」

 

ジョニィ(ヤロー、こっちが手加減してるのをいいことに…)

 

しかしジョニィは待つ。油断して必ず来るであろうその瞬間を。

 

クロード「はぁぁぁッ!」

 

ジョニィ(来たッ!)

 

クロードはレイピアを振るう。ジョニィはそれを躱し、レイピアの柄を剣を振るった。

 

ジョニィ「…フッ!」

 

キィィィィィィン…‼︎ストンッ…‼︎とレイピアの剣身が宙を舞い、ステージに突き刺さった。

 

観客席は静まりかえっていた。

 

ジョニィ「…これが剣術だ。そもそもレイピアは主に刺突用の剣だ。剣の性質を理解していなかったのがあなたの敗因だ」

 

剣の柄の部分というのは、刃としては一番斬れ味が悪い部分なのだ。しかもジョニィ達の骨はスナイパーライフルの弾丸を切断する程の斬れ味を誇る。

 

結果は見ての通りだ。

 

クロード「くそっ…!」

 

クロードはダガーを取り近接戦を仕掛けようとするが、

 

ジョニィ「セイッ!」

 

ジョニィはその手首を掴んで捻り、反対の手でクロードの顎に掌底を叩き込み、そのままステージを倒す。

 

クロード「ぐあっ!」

 

ジョニィはクロードの喉元に剣先を構えた。

 

ジョニィ「だが剣筋は見事だった…いいセンスだ」

 

クロードは声を上げずに気絶した。

 

集『…ロミオです‼︎ロミオが勝ちました‼︎この決闘はロミオの勝利です…‼︎』

 

あまりの展開に息を呑んでいた観客達が一斉に声を上げる。

 

ジョニィ「……今…行くぞ…ジュリエット…」

 

ジョニィはゆっくりと歩きながらバルコニーに向かう。

 

千棘(…ホント…バカな奴…。あんなに…ボロボロになっちゃって…。ホントに…いつもいつも…。…ううん、バカはあたしか…。ずっと…認めるのが怖かった───…)

 

千棘(でも…そろそろ決めなきゃならないな…)

 

千棘は塔のバルコニーから下のジョニィへ縄の梯子を下ろした。

 

千棘「………ああ、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?…あなたがモンタギュー家のロミオで無ければ、私達の愛を邪魔する物は何もないというのに…。そのロミオという名の代わりに、私のすべてを受け取って下さい──…」

 

ジョニィは梯子を登りきってバルコニーへ顔を出した。

 

ジョニィ「…頂戴しましょう。そのかわり私を恋人と呼んで下さい。そうすれば私は今日からロミオでは無くなります。…愛しのジュリエット」

 

ジョニィは左手を千棘に差し伸べる。

 

千棘「…ええ、私も愛していますわ。ロミオ様」

 

千棘は右手をジョニィの左手に添えた。

 

千棘(こいつに────恋をしているんだと)

 

 

〜ジョニィside〜

 

『ロミオとジュリエット』…この物語は、本当にオレ達に似ている。

 

だが、オレとあいつを阻む物は家とかそんな生易しい物ではない。おそらく一生オレの想いが届く事はないだろう。

 

だから、オレは誓おう。

 

全てを捧げると。愛する者のために──彼女の幸せために、オレの持てる全てをかけて、彼女を守ると誓おう。

 

たとえ、オレという存在そのものが無くなったとしても…それが(ファントム)であるオレに出来る、唯一の方法だ。

 

 

<= to be continued=




刀などの斬れ味は
高周波ブレード(本来の刀の斬れ味にもよる)>クリスタル・ボーンで生成する刀>普通の刀
といった感じです。

次回は文化祭の打ち上げ回をやります!

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