ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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第57話 子犬はとても癒される

千棘「…ったく、どうしてこんなクソ暑い日あんたなんかといなきゃなんないわけ?」

 

承一郎「…うるさいな、こうして定期的に会っておかないと怪しまれるって言ったのはそっちじゃあないか」

 

千棘「何よ、まるでこっちから会いに来たみたいな言い草止めてくれる?気持ち悪いんですけど‼︎」

 

承一郎「僕だって会いたくて会ってるわけじゃあ…」

 

千棘「フン!あーそうですかじゃあ私はもう帰るからね。じやーねアホもやし!」

 

承一郎(…もう何百回なんだこのやり取り)

 

千棘「…ん?ねぇちょっと承一郎ーー!」

 

承一郎「…ん?今度は何…」

 

千棘「…なんかそこにこんなの落ちてたんだけど…」

 

千棘は子犬が入っている段ボール箱を持っていた。

 

承一郎「…落ちてたっていうか君…」

 

千棘「え⁉︎捨てられてたのこの子…⁉︎」

 

承一郎「そーだよ、箱に書いてあるだろう?まぁ拾ってしまう気持ちは分かるけど」

 

千棘「えーかわいそう、こんなにかわいいのに…。あんたこの子飼ってあげなさいよ」

 

承一郎「それは無理だよ。ウチは僕が子供の頃からこういうの拾い過ぎて一匹だけにしているんだ」

 

千棘「ああ、あの大きい犬ね」

 

そう、集英組には一匹だけ犬を飼っている。中学の頃に傭兵として色んな所を回っていた時に見つけた犬だ。

 

ちなみに名前はDD(ダイヤモンド・ドッグ)だ。狼の血も混ざっているようだが、皆そう呼んでいる。

 

承一郎「それに今は学校も閉まっているし。君のところは?」

 

千棘「ウチも無理よ。もう大型犬を一匹飼ってるし」

 

二人は子犬を見ると、可愛らしくこちらを見ている。

 

承一郎「…くそ〜どうしてこう子犬という奴は…。ああ抱いてみたい…」

 

千棘「?抱けばいいじゃあない」

 

承一郎「僕は昔から初見の動物に好かれたい試しがないんだよ

 

家柄上硝煙の匂いが染み付いてしまっていて、それで動物に嫌われているのだ。

 

承一郎「ん?お…おおおおお…?」

 

承一郎の手を子犬が舐める。試しに抱いてみると…

 

承一郎(なっ…なついてるーーーー‼︎?)

 

承一郎「動物を世話して苦節15年…‼︎初めて僕を受け入れてくれる子が…‼︎感激だ…‼︎」

 

ジョニィ(後で俺にも触らせろ!)←意外と動物好き

 

千棘「ね…ねぇ、私にも抱かせてよ…! ほら〜こっちおいでー。よしよ〜し」

 

だが、子犬は千棘の手に、ガプッと思い切り噛んだ。

 

千棘「痛っっっっったぁーーーー〜〜〜〜〜‼︎?」

 

絶叫が、街中に響き渡る。

 

千棘「何すんのよこのバカ犬ーー‼︎」

 

承一郎「何言っているんだこんなにかわいい子に」

 

千棘「だって今この子本気で噛んで…」

 

承一郎「君が怖かったんだろう…?この子子犬なんだから優しくしてあげないと…」

 

千棘「よ…よ〜しよし、おいで〜。お姉ちゃん恐くないよ〜?」

 

しかし、続いての子犬の行動は千棘の手に小便をかけるという暴挙だった。

 

千棘「こんのクソ犬がーーーーー‼︎」

 

承一郎「うおおお、落ち着いて〜〜‼︎」

 

承一郎「…とにかくこの子を飼ってくれる人を探してあげないとね」

 

千棘「ハン!勝手にすれば⁉︎私はそんな犬知らない‼︎」

 

千棘は公園の蛇口で手を洗いながら言った。

 

承一郎「君もやるんだよ。この子拾ったのも言い出したのも君だろう?」

 

正論なので何も言えない千棘。

 

承一郎「…ところでこの子の事なんて呼ぼうか」

 

千棘「そうね…“ポンチ”とかでいいんじゃあない?ピッタリだと思うけど」

 

ポンチ(千棘命名)が千棘に噛み付いたのは言うまでもない。

 

 

和菓子屋『おのでら』───

 

小咲「……え?子犬…?」

 

承一郎「ああ、偶然拾う事になってね。今飼ってくれる人がいないか探しているんだ」

 

小咲「うーん…、ウチはちょっと無理かな。食べ物扱ってるしお母さんが許してくれないと思う」

 

承一郎「うーん、やっぱり無理か…」

 

小咲「わっ?」

 

その時、子犬がピョン‼︎と小咲の胸に飛び込んできた。

 

小咲「うわ〜、この子がそうなの?かわいいねぇ〜〜〜」

 

子犬を抱く小咲。これだけで絵になる。ぶっちゃけ子犬よ、その場所を譲れ!

 

千棘「…やっぱり私だけなつかない」

 

承一郎「いや…小野寺君の場合特別だから」

 

小咲は承一郎の動物の世話を手伝いに来たときに、動物達が全員小咲に群がるという恐るべき懐かれやすさがあるのだ。

 

小咲「…ところで二人は今日デートなのかな?」

 

承一郎・千棘「「違う‼︎!」」

 

100%のシンクロ度である。

 

承一郎「これは会ってないと怪しまれるからたまたま…」

 

承一郎「うーん、やっぱり小野寺君はダメか」

 

千棘「他に心当たりと言えば…」

 

 

桐崎家、ビーバイブ本部───

 

鶫は子犬を見た瞬間、目を輝かせた。

 

鶫「な…なんですかこのかわいい子犬は…。うわっ、ちょ…やめ…」

 

子犬は鶫に飛び付き、顔をペロペロ舐め始めた。

 

承一郎(…なついてるね)

 

千棘(…だんだん腹が立ってきた)

 

千棘「ほーらポンチ、おいでおいで…」

 

ポンチはまた千棘の手に噛み付いた。

 

鶫「…ですがお嬢、私ではこの子を飼えませんよ。私は任務で家を空ける事が多いですし、とても生き物の世話は…」

 

ちなみに承一郎も任務で家を留守にする時は組の皆がDDの世話をしているのだ。

 

千棘「う〜ん、つぐみもダメかぁ…」

 

 

万里花の家───

 

万里花「まぁ!子犬ですか〜?かわいいですね〜」

 

万里花にも子犬は懐いた。最早千棘がかわいそうなくらいだ。

 

万里花「う〜ん、ウチはマンションですからね。残念ながらお力になれそうにありませんわ。承一郎様でしたらいつでもウチに住まわせてあげますのに」

 

承一郎「えっ」

 

その瞬間、千棘からの理不尽な暴力が承一郎を襲うッ!

 

承一郎「えっ⁉︎なんで僕がぶたれるの⁉︎」

 

承一郎「…う〜ん、橘さんのところもダメか…。これは先が長いかもね…」

 

千棘「…ん?…あれ?なんかポンチぐったりしてない…?」

 

承一郎「え?ああ、お腹空いているのかもね」

 

餌をあげたのだが、あんまり食べない。

 

承一郎「んー…あんまり食べてくれないな」

 

千棘「…ったく、世話の焼ける…」

 

ポンチは千棘の食いかけのスナック菓子をじっと見つめている。

 

千棘「…ん?何よ、その目は…。え…⁉︎まさかコレ食べたいの⁉︎あげないわよ私んだから…」

 

承一郎「…あげてやれば?それくらい」

 

千棘は少し考えた後、

 

千棘「…ほら」

 

スナック菓子をポンチにあげた。

 

ポンチはガツガツとスナック菓子に食らいついた。

 

承一郎「へぇー、君変わってるねー」

 

食べ終わった後、ポンチは千棘の足元に近づいた。

 

千棘「⁉︎なっ…!何よ…、今さら態度改めたってねぇ…」

 

ポンチは千棘の足を噛んだ。

 

その後、クラスメイトや組の皆に協力してもらったのだが、その努力も虚しく一週間が過ぎた。

 

キング・クリムゾン‼︎

 

千棘「…もう一週間よ。どうすんの?このまま貰い手が決まらなかったら…」

 

承一郎「うーーん……、…最悪僕が無理言って引き取るよ。夏休み中だけって条件で。あとは学校で面倒見るさ」

 

千棘「……ふーん」

 

『盗んだバイクで走り出す〜♪行く先も分からぬまま〜♪暗い夜の帳の中へ〜♪』

 

承一郎「ん?」

 

そこで承一郎の携帯の着メロが鳴る。

 

承一郎「『ピッ』集かい?どうしたんだい?え?」

 

千棘「…なかなか見つかんないわねーポンチ…あんたを貰ってくれる人。まぁあんたかわい気ないしね。貰いたくない気持ちはよ〜く分かるけどさ」

 

千棘はポンチを抱き上げる。

 

千棘「…どうする?いっその事ウチに…」

 

承一郎「おーーい、千棘さーーーん」

 

千棘「何ーー?」

 

承一郎「見つかったよ、ポンチの貰い手」

 

遠くに集とお婆さんがいた。やがてお婆さんはこちらに気づくと、

 

お婆さん「…!小太郎…!」

 

と言って近づいて来た。

 

ポンチ「アォン‼︎!」

 

ポンチはお婆さんに走り出した。

 

千棘「…小太郎?」

 

承一郎「…ああ、つまりね、あの子、捨てられたわけじゃあないらしい」

 

千棘「⁉︎」

 

承一郎「油断したスキに家から逃げ出してしまって飼い主さんもずっと探してたらしいんだ。ウチのもんが出したはり紙を見て連絡してくれたんだって。あのダンボールに入ってたのはただの偶然だったみたいだ。多分、他の犬のためのエサか何かが残ってたんだろう」

 

千棘「………そうだったんだ…」

 

ポンチ…いや、小太郎は千棘の足元に近づいて、クゥーンと鳴いた。

 

千棘「…何よ、さっさと行けば?えーと…小太郎だっけ?良かったじゃあない、元の飼い主さん見たかってさ。私ももうあんたの顔見ないで済むかと思うとせいせいするわ。だからほら、さっさと行きなさいよ」

 

小太郎はクゥーンと鳴くだけだった。

 

千棘「…行きなさいってば‼︎」

 

小太郎は千棘の足をペロ…と舐めた後、飼い主の元へ行った。

 

承一郎「………ラーメンでいいかい?」

 

千棘「…………何の話?」

 

千棘の顔は涙が流れていた。

 

承一郎「…おごってあげるよ。…頑張ったんじゃあないかい?君なりに」

 

千棘はズビッ…‼︎と鼻水をすすって、

 

千棘「…大盛りでもいい?」

 

と言った。

 

承一郎「………ドンと来い」

 

承一郎は答えた。




千棘「…チャーシューメン大盛りに肉ダブルでトッピングにコーンともやしほうれんそうと白菜煮卵メンマネギ…」

承一郎「えっ⁉︎ちょっと待て、大盛りだけじゃあ…‼︎」

千棘「細かい事言ってんじゃあないわよ。あと替え玉一つ」

ジョニィ(そんな残金(装備)で大丈夫か?)←某天使風

承一郎(…大丈夫だ、問題ない…多分…)

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