ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
JOJO「うわぁあぁああぁぁああぁああぁぁあ‼︎!」
俺は叫んだ。どうにかなりそうだった。
しかも最近、自分が死ぬ夢を何回も見るなんて。
承太郎「大丈夫か承一郎?」ガチャ!
承太郎が扉を開けて来た。
承太郎「一体何が…」
JOJO「俺に近づくんじゃあないッ!承太郎ッ‼︎」
承太郎「‼︎」
つい叫んでしまった。叫ばずにいられなかった。夢の中で見た顔、自分の体を吹っ飛ばした本人が目の前にいる。
JOJO「ハァー、ハァー、ハァー、ハァー」
小咲「一条君?」
小野寺君が部屋に入って来た。
承一郎「小野寺君…今日は僕と承太郎さんは一緒にいれないから仗助さん達と色々見て回るといいよ」
小咲「一条君は?」
承一郎「僕は…承太郎さんに話がある」
小咲「うん…分かった」
そう言って小野寺君は部屋を出た。
杜王海岸───
海からの潮風が吹く海岸に僕と承太郎さんはいた。
承太郎「…ポルナレフから話は聞いている。最近誰かの記憶を見る事があると…」
承一郎「…夢を…見たんです…。どこかの…橋の上で…男と一緒にいました…」
承太郎「……」
承一郎「自分は金髪の男、もう片方は…承太郎さん…あなたでした」
あの記憶、姿は違えど忘れない。スタンドも同じだった。
承太郎「……!」
承一郎「その後、スタンド同士の激突で僕の体が吹っ飛ばされました」
承太郎「……」
承一郎「承太郎さん、教えて下さい…僕の父は何者なんですか?」
承太郎「…1987年、私が18の時に私と爺さんにスタンド能力が発現した。DIOという吸血鬼が百年前に曽祖父、ジョナサン・ジョースターの肉体を奪って生き延びて、スタンド能力を発現した時期と一致していた」
承太郎さんは静かに語り始めた。
承太郎「そしてその影響で私の母が危篤状態に陥ってしまったのだ。スタンドの暴走だ。母を救うにはDIOを倒すしかなかった」
承太郎「そして10年以上も経った後にDIOに君やジョルノを含めて5人の子供がいた事が判明した」
承一郎「…他の3人の兄さん達は?」
承太郎「2人が死亡、1人はSPW財団の更生施設に収容中だ」
承一郎「…更生施設?」
承太郎「スタンド能力を悪用する犯罪者を矯正する施設だ。…それより、君の事を教えてくれ。君の戦い方は、明らかにスタンド使いとして戦い慣れをしていると鶫君から聞いた」
承一郎「…僕の『クリスタル・ボーン』はあなたが出会う前から発現していました」
僕はゆっくりと、過去を話し始めた。
承一郎「僕がスタンド能力を発現したのは、中学の頃でした。その頃から僕は父さんの仕事を手伝うことがあって色々と仕事をすることがありました。」
承一郎「ある日の事です。簡単な仕事のハズでした…しかしいつの間にか敵に囲まれていて絶対絶命、仲間達は僕を守って…」
承一郎「その時、スタンドが発現したんです。それで窮地を脱して…承太郎さんに初めて出会った時に言った言葉は、『すでにスタンド使いである自分にさらにスタンド能力が発現したのだろうか』という意味だったんです」
承一郎「その後、僕は各地を転々としながら傭兵として世界中をまわっていました。…『ブラッディ・シャドウ』が発現したのは『矢』に刺された時です」
承太郎「なるほど…それが君が戦い慣れていた理由か…」
承一郎「…昔から…夢は見ていました…。二人の男の…奇妙な物語…。二人が誰なのか、すぐに分かりました。二人共、僕と同じ特徴がある」
僕はシャツをめくって首筋のところを見せた。首筋には星型のアザ、左耳に3つのホクロ。
それぞれが二人の男の特徴。それが一人の人間に一緒に受け継がれているということは…。
承一郎「僕は二人の男が合わさった肉体から生まれました。だから相反する技術と体質が備わっているんです。それに、あの『矢』があった」
記憶の中で自分を射た『矢』と、小野寺君を庇って射られた『矢』は同じ物だった。
承太郎「DIOはエンヤという老婆からスタンドを発現させる『矢』を射られて『
承太郎「『矢』は全てで6本あった。2本は破壊され、2本は現在SPW財団が保管中。1本は君の兄であるジョルノが管理している。だが君を射た残りの1本が行方不明だ」
承太郎「射た奴が何者で何が目的であろうとも、『スタンド使いはスタンド使いと引かれ合う』。スタンド使いである君や鶫君達の周りにも被害が及ぶかもしれない」
承一郎「…僕は生まれた頃から父はこの世にはいなかった。だから、あなたを責めません」
承太郎「…いいのか?私は君達の父親を殺した張本人だ」
承一郎「もし父が生きていて、僕が父に会いに行くとしても殺す事しか目的はありませんよ。記憶を持っているから分かる。あの父は……パンを食べる感覚で人間を殺す吸血鬼」
承一郎「誰かが倒さなければならなかった。それがあなただっただけですよ。100年前にDIOを倒したのがジョナサン・ジョースターだったのと同じように」
承一郎「…僕を射た奴は何者なのか、それは分かりません。…けど、奴は小野寺君を狙って『矢』を射た」
あれは本来なら小野寺君が射られる『矢』だった。それが逆に守るための力となって現れた。
承一郎「奴が何者だろうと、彼女達を傷つけるというのなら容赦はしない…!
承一郎「僕があの町とみんなを守りますよ 。どんなことが起ころうと… 」
僕は海を見ながら宣言した。
〜小咲side〜
カフェ・ドゥ・マゴ───
私達は仗助さん達と一緒に駅前のオープンカフェで話していた。
康一「ここはね、僕が由花子さんに告白された場所なんだ」
千棘「ええっ?そうなんですか?」
仗助「ああ、そうだぜ。俺と億泰は陰から見てたんだがよぉ、億泰の奴が泣いちまってよぉ」
億泰「だってよぉ、あの頃おれだってあんなこと言われたこたねーのに〜〜〜」
仗助「何言ってんだよ、お前今とても美人な奥さんいるじゃあねぇか」
ちなみに奥さんの名前は京さんというらしい。
PiPiPiPiPiPiPiPiPiPi
億泰さんの電話が鳴った。
億泰「『ピッ』あっ、もしもし承太郎さん?えっ、承一郎が親父に会いたい?…イイっスよ、じゃあおれも行きます」
そう言って電話を切った。
億泰「じゃあ、そういうわけでおれは行くぜ」
仗助「おう、気を付けろよ」
億泰さんは場所を後にした。
小咲「億泰さんのお父さんと一条君ってどういう関係なんですか?」
康一「…億泰君の父さんと承一郎君の父親は深い因縁があってね、承一郎君には直接的な接点はないんだけど…」
仗助「大丈夫だといいが。多分悩みを人に話さずに溜め込むタイプのやつだぜ、あいつはよ」
虹村家───
億泰「ホントに会うつもりか承一郎〜?無責任な言い方かもしれねえけど、お前見たら何しでかすか分かったもんじゃあねぇぜ?」
承一郎「会います。会わなければならないわけが僕にはある」
億泰「しょうがねぇなぁ」
ゆっくりと階段を登る。まるでこれから死刑台に向かう罪人のように。
やっと目的の部屋にたどり着き、その部屋にいる人物…いや、かつて人間だった者と会う。
承一郎「ぁ……」
記憶の中で部下として会った男は、『肉の芽』と一体化して憐れな姿に変わり果ててしまっていた。
こうなるべきではなかった男。DIOという怪物の犠牲になった男。
万作「……‼︎」
虹村万作だった怪物は承一郎を見た瞬間、理解したようだ。承一郎が誰の子であるかを。
万作「〜〜〜〜〜〜‼︎」
言葉にならない叫びを上げて、万作は承一郎から逃げるように、部屋の隅に隠れてしまった。
承一郎「っ……」
こうなると思っていたが、さすがに逃げられると堪えるものがある。
億泰「だから言っただろォ?親父、お前の兄貴を見た時だって隠れてしまったんだぜェ〜?どうする?」
承一郎「…いや、せめて謝罪だけでも…」
承一郎は隠れてしまった万作に向けて膝をつき、頭を下げた。土下座だ。
承一郎「…申し訳ありませんでした‼︎」
億泰「お、おい…」
承一郎「僕の父の所為で…あなたがこ
承一郎は謝罪の言葉を言う。神父に懺悔する罪人のように。
億泰「お、おい承一郎、お前がそこまでやる必要は…」
承一郎「いや、いいんです億泰さん。これは…僕の問題なんです…!」
承一郎は顔を上げずに言う。
承一郎「…僕を許さなくていい…!ただ…償わせて下さい…」
頭を下げて謝罪する承一郎の姿を見たからか、万作はゆっくりと部屋の隅から出て来て、承一郎に近づいて来て、頭を撫でた。
承一郎「……!」
万作「パギー」
億泰「親父はよぉ…きっと許してくれたみたいだぜ」
承一郎「…ありがとう…ございます…」ポロ…
承一郎は涙を流した。
矢の行方的には次のような感じになります。
1:虹村形兆→音石明→SPW財団で保管
2:吉良吉廣→写真が爆破されたことで破壊されたが、承太郎が欠片をペンダントとして徐倫に与えた
3:ディアボロ→ポルポ→ジョルノによる暗殺の際に破壊
4:ポルナレフがエジプトで回収→ジョルノ→パッショーネで管理
5:DIO→プッチ→SPW財団が保管
6:?(現在何者かが所持しているが、詳細不明)
こんな感じですね。