ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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もうそろそろジョルノ出したいですね。一応腹違いと言っても主人公の兄なんだし…。

今回のタイトルは…察して下さい。(汗)


第23話 対極のダークマター

一条家───

 

〜承一郎side〜

 

僕は自分の体温を測っていた。体温計は38.5度を示していた。

 

承一郎「はぁ…これは本格的に風邪だね」

 

一応、竜達によく作るカレーのレシピを渡しているから皆の食事は問題ないはずだ。料理が出来るのが僕か承太郎さんくらいしかいないなんて、やれやれだよ。

 

承一郎(取りあえず、今日は医師からも休めと言われていたし、『ピンクダークの少年』でも読んでようかな)パラパラ

 

僕が読んでいる『ピンクダークの少年』は漫画家、岸部露伴先生が描くサスペンス・ホラー作品で、生理的に気持ち悪い(グロテスクな)シーンもあるが、迫ってくるようなスリルと、個性的で本当に居るような登場人物、特徴的な擬音、コミック表紙に描かれた登場人物のかっこいいポーズが魅力的な漫画だ。

 

第6部のラストは圧巻だった。ラスボスが時を無制限に加速される能力を使い、世界を一巡させるという素晴らしいラスト。女主人公が負けるという驚きの結末。どれをとっても素晴らしかった。

 

僕が第7部のコミックを読んでいるときに、ピンポーン!と玄関のベルが鳴った。

 

承一郎(?誰だろう、こんな朝っぱらから)

 

千棘「…おはようダーリン。具合はどう?」

 

玄関にいたのは桐崎さんだった。

 

承一郎「桐崎さん…、君どうして…」

 

千棘「どうしてって…、お見舞いに来たに決まってるでしょ」

 

承一郎「いや…。だからそれがどうしてと…」

 

千棘「何よ、別に来たくて来たんじゃあないわよ。ウチの皆が行けって言うから!うぬぼれてんじゃあないわよ⁉︎」

 

承一郎「ああ、なるほどね」

 

千棘(もしかしたら…あのプールが良くなかったのかもしんないし。だとしたら…私にも責任がある気がするし。ま、今日一日くらいいつもより優しくしてやろうかな)

 

千棘「…それで?体の方は大丈夫なの?」

 

承一郎「ああ、少し傷があったけど波紋で治療したから大丈夫だよ。熱も少しあるけど放っておけば治るって」

 

千棘「そう。そりゃ良かった。…それじゃあせっかく見舞いに来たんだし何か困っている事はない?何か手伝おうか?」

 

承一郎「どうしたの?気持ち悪いよ…」

 

千棘「なっ…、誰が気持ち悪いのよ‼︎あ、そうだ。おみやげにリンゴ持って来たんだけどあんたむいたら食べる?」

 

承一郎「…君本当に桐崎さんかい?」

 

千棘「うっさい‼︎あんたちょっと黙ってなさいよ‼︎」

 

なんだ…?今日の桐崎さん嫌に優しいな…。どういう風の吹きまわしなんだ…?

 

千棘(いきなり「うっさい」とか言っちゃった。イケナイイケナイ今日は優しく…)ショリ…

 

千棘「…よーしむけたわよ。はいどうぞ」

 

そう言って桐崎さんが差し出したのはすでに食べられたようにほぼ芯しか残っていないリンゴだった。

 

承一郎「これどこを食べればいいんだい⁉︎」

 

そんな感じにグダグダしていると、ピンポーン!とまた玄関のベルが鳴った。

 

小咲「あれ?千棘ちゃんも来てたの?」

 

千棘「小咲ちゃん⁉︎」

 

やって来たのは小野寺君だった。

 

小咲「さっきたまたま舞子君に会って。そしたら風邪って聞いてお見舞いに」

 

承一郎「へぇ…本当?ありがとう…!」

 

小咲「上がってもいい?」

 

承一郎「ああ、もちろんだよ!」

 

小咲(…一人で来るのドキドキしたけど良かった。思ったより元気そうで)

 

千棘(…何よ、私の時より随分嬉しそうじゃあない?あのもやしホンット腹立つ…。ハッ…!優しく優しく…)

 

小咲「そうだ。私おかゆ作ろうと思うんだけど台所借りてもいいかな?」

 

承一郎「え…、いいのかい…?」

 

千棘「それ私も作る‼︎」

 

承一郎「⁉︎…君作ったことあるのかい…?」

 

千棘「ないけど…。何よ別にいいでしょーが‼︎」

 

千棘(フン…!見てなさいよ…!びっくりするくらいおいしいおかゆを作って度肝抜いてやるから…!)

 

千棘「小咲ちゃーん、一緒に作ろー!」

 

小咲「うん!」

 

なんか知らないが、女の子二人におかゆを作って貰う事になるとは。なんか…変な感じというか…。

 

だけど僕は二人の壊滅的な料理の下手さを知っていた。

 

し…しまった忘れてた…‼︎この二人が料理って…‼︎桐崎さんは僕がフォローしなきゃとんでもない物を作る人なのに…‼︎

 

まぁさすがにおかゆなんてシンプルな料理でそこまで失敗しないと思うけど…。

 

僕は廊下から台所にいる二人の声を聞いた。後から、聞かなければ良かったと思える恐怖の会話だった。

 

千棘「…えーとおかゆだからまずはお米よね?」

 

小咲「元気が出るようなおかゆにしたいよね」

 

千棘「そーね!食べたら一発で風邪が吹き飛ぶような…!」

 

小咲「青汁とか入れると元気が出るかな?」ドプチャ‼︎

 

千棘「いいね元気出そう!そういえば塩ってどのくらい入れるの?」

 

小咲「さぁ…この袋の半分くらい入れればいいのかなぁ…」

 

千棘「分かった!あ、ゴメン全部入れちゃった」バサッ!

 

千棘「そうだ!私栄養ドリンク入れちゃおう…!」バシャシャ

 

小咲「他に体に良いのってなんだろう…。黒酢もいいな。あとレバーと納豆とひじきとめんたいこと…」ボチャボチャボチャ

 

千棘「このサプリって入れても平気かな?」

 

小咲「あー!体にいいよね…!」ザラー‼︎

 

千棘「あ!お味噌なんてどう⁉︎」ドッポン

 

小咲「うん、いいかも」

 

 

その会話を聞いた僕は、ハッキリ言ってゾッ‼︎と背筋が凍るような恐怖を体験した!

 

まるでエンジン音だけでブルドーザーだと認識できるような恐怖を感じたッ!

 

ま、マジでヤバイッ!この二人、ただ『料理が下手』とかそんなチャチなもんじゃあ断じてない!もっと恐ろしいダークマターの鱗片を感じたッ!

 

に、逃げなければッ!ここにいたらマジで死ぬかもしれないッ!

 

そう思い、急いで窓を開けるが、すでに手遅れだった。

 

千棘「出来たわよーー」

 

ケツにつららをぶち込まれたような気分になった。

 

千棘「どーよ!なかなかの出来じゃあない⁉︎」ゴポポ…

 

小咲「…お口に合うか分かんないけど…」キラキラ〜ン

 

僕は桐崎さんのおかゆを見て、驚いた。

 

コレ本当におかゆ…⁉︎どうしたらこんな魔界の底なし沼みたいな料理が出来るんだい⁉︎なんか亜空の瘴気みたいなの出てるけど…!どうしよう見ただけで気分が悪くなってきた…‼︎

 

というかなんで小野寺君のはこんなにキレイなの…⁉︎逆に怖いよ‼︎あんな色々入れてたじゃあないか‼︎黒酢とかレバーとかどこ行った‼︎?まさかスタンド能力⁉︎

 

千棘「さぁダーリン召し上がれ…」

 

ズザザザザ、ドンとつい後ずさりしてしまう。

 

承一郎「い…いやそのやっぱり僕熱のせいで食欲がその…アレというか…」

 

千棘「む、何よ。私達のおかゆが食べられないって言うの…?だーいじょ〜ぶ!見た目はアレだけど!前みたいに食べたら絶対においしいから…‼︎」

 

竜「坊っちゃーーん‼︎体大丈夫ですかーー⁉︎」ガラッ

 

竜達がやって来た。

 

竜「すいやせん…‼︎来るなと言われやしたがつい心配で…‼︎おや!彼女がお見舞いに来てくださってんですかーー‼︎」

 

ヤクザ「…良い彼女ですなぁ〜〜」

 

竜「こりゃ結納も近いな…!」

 

ヤクザ「その上もう愛人までいるたぁ…‼︎さすが坊っちゃん漢の器もでかい‼︎」

 

小咲「え/////」

 

承一郎「君達は僕に殴られるためにここに来たのかい…?」ドス黒スマイル

 

竜「そうだ、坊っちゃん。あっし実は坊っちゃんにおいしいおかゆを作ったんですが…」ガラガラ

 

承一郎「え…何‼︎?」

 

だけど竜は桐崎さん達のおかゆを見て、

 

竜「……‼︎すいやせん坊っちゃん…‼︎彼女がおかゆを作ってたなんてつゆ知らずあっし出しゃばったマネを…‼︎」ブバッ‼︎

 

え、ええ〜〜〜⁉︎

 

竜「さぁ坊っちゃん…早くそのおかゆ食べないと冷めちまいますぜ…?あっしの作ったこのドブ臭ぇかゆは肥だめにでも捨てときやす…‼︎」

 

のおおお‼︎待て待て‼︎頼むぅうぅ〜ー‼︎そっちのおかゆを食べさせてくれぇえ〜‼︎

 

千棘(….ほら、こうなったら仕方ないでしょ。覚悟決めなさいよダーリン)

 

承一郎(ぐっ…しかし…)

 

千棘「はいあ〜〜〜ん」ゴゴゴゴゴ

 

承一郎(ぬおおおおおお‼︎!)

 

…くっそ〜〜〜‼︎こうなったら〜〜〜…‼︎!

 

僕は桐崎さんと小野寺君のおかゆを両方持ち、一気に口に入れた!

 

承一郎「う…うマい…‼︎」ガクガクガクガク

 

竜「はっはっは‼︎そうでしょうそうでしょう。愛する人が作ったんだ。おいしいに決まってまさぁ…‼︎それじゃあ邪魔しちゃあ悪いんであっしらはこの辺で。坊っちゃんお大事に!」

 

部屋を後にする竜達。後から竜の泣き声が聞こえた。

 

千棘「……ちょっとあんた…大丈夫?」

 

小咲「…一条君?」

 

バタン‼︎と倒れてしまい、そこで僕の意識が吹っ飛んだ。正直言って、味はどんな味か分からない。味覚がぶっ壊れたようだった。

 

僕は改めて、桐崎さんと小野寺君の料理の下手さを実感した。




二人の料理、混ぜるな危険!ですね。(笑)

もう下手ってレベルをぶっちぎりで超越してますね、コレはもう……。(苦笑)

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