東方 追想遊戯伝   作:一生送信中@

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お姉ちゃんができたよやったね!
どうしてこんなことを書いたのか、実際徹夜している僕にはよくわかっていなかった。



第2話 Bパート お姉ちゃんができました!

 今へ向かっている最中和風な庭が目に移る。僕は妖夢さんと廊下を歩いて行く中、先ほど少し怖かった幽々子さんの情報を知るため、妖夢さんに聞く事にした。

 

「先ほどの人って誰なの?壁もすり抜けてたし!さっきの通り過ぎた幽霊とは違ったみたいにみえたけど?」

 

西行寺(さいぎょうじ)幽々子(ゆゆこ)様ですか?幽々子様は周りの方とは別です。そして屋敷の主でこの場の管理人を務めておられます。ん?……」

 

「そういえば」言葉をつづけながら一度足を止めこちらへとスッと体を回す。

 

「彼方のお名前を聞いていませんでしたね……教えてもらえませんか?」

 

確かにあの場で名前を名乗っていない事を思い出す。子供っぽさを出しながら自己紹介を始める。

 

「そうだった。えと、僕の名前は勇気(ゆうき)(かい)と言います。前いた場所では、いろいろあってあまり周りの人と話せない場所にいて……今!おねぇさんと話せて楽しいです!」

 

周りとの環境の差が生む、人への感情の変動は少し多く見えるものだと何かの本で読んだ記憶があった。最後を強く発言するように、慣れた作り笑顔は妖夢さんへと向ける。

楽し気なまなざしが伝わってゆく。

 

「(お、おねぇちゃ)そ、そうでしたか。コホン!勇気さんは、いろいろあったんですね。私は、魂魄妖夢と言います。そのまま、妖夢おねぇちゃんでも、お姉ちゃんでも呼んで構いませんよ?」

 

何処か白嬉しそうに、片方の頬を指先で撫でるように掻いている。

 

「え、じゃぁ、妖夢お姉ちゃんってっよぼうかなぁ。よろしくね!」

 

身長差はそれほどないが、なぜかあまり違和感がなかった呼び方を選んだ。見た目なのか雰囲気なのか……

 近くの障子の場所で二人は止まる。

 

「勇気さん、此処で朝食をいただきます。たぶん幽々子様が勇気さんの分も行ってくださっているはずです」

 

 

障子に手を当てる妖夢さん。障子が引かれ、朝食が並ぶ食卓が眼に入る。

 

「遅かったわね~……あら?あらあら」

 

僕の額に注目し、食卓の横に座り込んだ幽々子さんは何処か面白そうに見える。何だかよくわからないけど一応、額に手を当てるようにして隠す。

 

「遅れました幽々子様」

 

言葉を残すように、妖夢お姉ちゃんは部屋の中に入り、食卓の席へと着く。どうすればいいか立ち尽くしていると幽々子さんが「こっちこっち」と手を招くように一人分用意された朝食の席に来るように呼ばれる。

ただ言われるように席に着くと、久しぶりに見る栄養食以外の料理は美味しそうだ。鼻が匂いに反応するように、お腹がグーっと音をたててなる。お腹の音に二人ともに少し笑われ僕は恥ずかしくなり視線を下へと向ける。

……恥ずかしくて、目線が合わせられない。

 

「ふふ、それじゃぁいただきましょうか」

 

 幽々子の声に合わせるように「いただきます」と声が合わさる。

 少し遅れるように僕も箸をとり合わせ食べ始める。

 栄養食を取っていた最近とは違い、野菜、ごはん、漬物、お味噌汁、焼き魚、と懐かしく感じた。久しぶりにまともな食事を口にした。

 それに……久しぶりだった。誰かと一緒に食べる事が。それのせいか、とても美味しく食事を感じ、幸せな気分が少しずつこみあげてきていた。

 

「……おいしい」

 

「それはよかったわ、ここに来ていきなりあんなことをした後だものね……えっと」

 

ん?

 幽々子の言葉に対し二人の箸の動きが止まる。

 

「ところで、妖夢。この方はなんてお名前なのかしら?」

 

一度何かの間があった。何故か妖夢お姉ちゃんが溜息を吐けるくらいの間が空いた。

 

「幽々子様。幽々子様が来かられる前に朝食へと歩いて行かれましたよね」

 

「そうだったかしら」

 

「うーん」っと思い出そうとするそぶりを、慣れた口調で流すように一度間を置き、話が進む。先ほど廊下で少し自己紹介とこの屋敷の事を話していた事もあってすらすらと挨拶を運んでくれた。

 

勇気(ゆうき)(かい)さんです。先ほども幽々子様が聞かれた通りに、外来人で間違いないかと思いますが……」

 

白玉楼(ここ)に来ている時点で色々異例なのよね。ふふ、まぁ紫が来るまではおあずけね」

 

「はい」

 

 幽々子の言葉に、納得するように妖夢はうなずき一度リセットする。

 よくわからないけど会話は途中で終わった。解決できない状況なのか、整理できないのか……紫とは何なのか。

 ただ、この場所に来るのが異例というキーワードは理解できた。

 幽霊の住む場所が、変わっていると言えば変わっていることは確かなんだけど。

 

「それにしてもこのお屋敷大きいですね!」

 

「そうねぇ」

 

「さっき妖夢お姉ちゃんと一緒に来るときも大きな庭があったりして、此処どれくらいあるんですか!あとで散歩してもいいですか!」

 

「いいわよ。それにしても妖夢がお姉ちゃんって呼ばれてるのね。意外だったわ」

 

 先ほどより笑顔になりながら妖夢の方向へと視線を向ける幽々子に対し、スッと誇らしげにしながら

 

「私だって幽々子様みたいにお姉さんに見えますよ!」

 

 嬉しそうにご飯を口に含みながら会話がすすむ。

 

「ふふ、そうね。」

 

 幽々子は妖夢の全体を見ながら少しニコニコとする。視線の動きを察した様に妖夢が両手でかばう。

 

「私だって成長はしてるんです!と言いますか、早く食べましょうよ!」

 

「海君!私もお姉ちゃんって呼んでいいのよ?」

 

 少しこっちによりながら声をかけてくる幽々子さん。見える範囲で全体を見た。

 妖夢お姉ちゃんより少し大きな胸……幽々子さんをお姉ちゃんか……どっちかというとお姉さんかなぁ。

 

「じゃぁ、幽々子お姉さんで、いいですか?」

 

「ええ、いいわよ」

 

 その発言を聞いて「私もお姉さんがいいなぁ」妖夢お姉ちゃんが小さく何かを言った気がした。

 少しずつ食事は減っていった。

 

「海君少し後で私とお散歩しましょうか?」

 

「本当!うれしいなぁ」

 

 それにしても、本当にこの屋敷幽霊しかいないのかなぁ。たまに飲み物のお代わりに出てくる人もみんな幽霊のような人ばかりだった。

 一度もあっていない人間はいったいどこに?

 

「それにしても、この屋敷に人間はいないんですか?幽霊ばかりで少し変な感じです」

 

「一応いるには居るのよ?半人半霊がね?」

 

 半人半霊?死んでいるのか生きているのかわからない単語が出てきた。あってどうなっているのか見てみたい気もする。

 

「半人半霊ですか!?あってみたいです!」

 

 少し横へと言葉を贈られる。

 

「半人半霊さん、呼ばれてるわよ?」

 

 同じように目を向けそこにいる妖夢お姉ちゃんを見て止まる。

 なぜか少し目が合わせづらかった。

 

「そうです、私が半人半霊です」

 

「えっと、あー、なるほど!幽霊と人間のペアだからなんですね?」

 

 考えることができなかった。実際もう少し複雑な感じの人物像が頭の中にできていたせいで、先ほど話していた人物に考えを向けられなかった。

 

「でもね、別の扱いができてこれはすごい事なのよ海君」

 

「半人半霊がですか?」

 

「ええ。半霊でも一応触れたりするから、物が置けたりできて困ったとき持ってもらえるのよ」

 

「僕もほしいなぁ」

 

 フォローをした幽々子を見た妖夢は「幽々子様」と、しみじみ言いながら会話を見守る。

 

「そうね、たまに私もほしいけど、急に触られると驚くから不用意に周りを飛ばしたくないわね。それと」

 

「幽々子様!」

 

 フォローとは別の言葉に驚いたように幽々子に言葉を遮る様にして、声を張り始める。

 そういえばさっき触った時急に驚いたような声出してたな。きっと横腹みたいに弱いところなんだろうな。

 半人半霊か、僕もあんな感じだったらきっと「妖夢お姉ちゃんみたいに面白いんだろうなぁ」

 

「えっ!?」

 

「ん!?」

 

「あら?」

 

 三人が固まった。この瞬間僕が口を開けて思ったことを喋ってしまった事に気が付く。弁解しようとあたふたと手振り素振り動かしながら言葉を選ぶ。

 

「あの、これはお姉ちゃんみたいだったらいろいろ僕も変わった人と出会えたりとか、」

 

「妖夢がお姉ちゃんの座から降ろされるのね」

 

「え!もうお姉ちゃん嫌いになったの……?」

 

「違います!僕はお姉ちゃんがすきですよ!」

 

 妖夢お姉ちゃんもあわて始めてますます変な状態になり始めた。

言葉の発言を軽く出し過ぎて、今告白したようなものだと我に返るが、遅かった。

 

「妖夢に告白ね!あげないわよ?」

 

「いきなりですか!でも、段階をふんでもらってからなら……」

 

 お姉ちゃん!!意外とまんざらでも?いやいや、今はそれはないです!

 

「今はそれはないです!幽々子お姉さんもう許してくださいよ!」

 

 色々いじられ過ぎてもう収拾のつかなくなった事に、どうしようもなく幽々子お姉さんにすがるしかなかった。

 いったいなぜこうなったのかは何故だが、僕らは何とか食事を終え一度一休みをする。一休憩し終えたら妖夢さんは朝の鍛錬と着替えをするべく部屋へと一度戻っていった。

 僕は幽々子さんとここについて聞く事にした。

此処に来るときの怪しい声も気になっていた事だし。

 

「幽々子お姉さん!この世界って人間とかいないの?」

 

「下に入るけどここには居ないわね、行ってみたいかしら?」

 

下……ここは天国みたいな場所だったのか?

 

「いるんだったら、ちょっと見てみたいかな此処みたいに変わった人がいるかもしれないし……」

 

それに、声の元とかも探したり何かしらあるんだとすれば、きっとこのままではいけないはず。

一人で何も知らなければ、きっとまた同じように一人ぼっちになったり誰かを裏切ったりしてしまう。そんな事だけは、

 

「いけないわね」

 

また知らない声が間から聞こえた。

 

「あら、(ゆかり)じゃない。いらっしゃい」

 

 聞いたことのある、名前と共に目の前には、女性が目の前に現れた。金髪のロングヘア―が動いた後を教え、スカートがなびく。

 身長は幽々子お姉さんと同じくらいか?ゆったりとした雰囲気と違う少しピリッとした怖い感じが僕の肌が感じた。

 瞳がこちらを睨みつけてくる。僕はこの視線から目が離せなかった。

 

「幽々子。どうしてこんな所に人間が居るのかしら?」

 

「どうしてって、妖夢ちゃんが襲われてて私の弟になって、そうねなんでかしら?」

 

 ……間違ってはないんだけど、何か伝えることが違う気もする。

 幽々子の話に一度ため息をついてこっちに目を向ける。

 

「はぁ、仕方ないわ。彼方?何でこんな所にいるの?聞かせなさい」

 

 どうやら、あまりあてにしてなかったのかすぐにこっちへと向く。じっと見つめてくる目が僕を放さない。

 今日はよく聞かれる日だなぁ。同じような質問がよく来るけど不思議とあきはこなかった。

 きっと難易度が急に上がっていってるせいだと思う。

 自身の目の前にいる強大な人物のオーラか何かだろう、言葉を出す前に一度考えさせられる。

 

「初めまして。僕は勇気海といいます。此処がよくわからないですけど、気が付けばこの屋敷の中にいました」

 

 

 じっと視線が動くこと無くしばらく時がたつ。

 「はぁ」ため息がもう一度紫の口からこぼれた時には空気が軽くなっていた。

 どうやら、危険視からは逃げられたのかその場にゆっくりと腰を下ろして座る。

 

「わからない物は仕方ないわね。此処に来たのだから説明は少しした方がいいんじゃないかしら?幽々子は幻想郷について何か説明したの?」

 

 子供のように横に振って紫を見つめる幽々子。

 一度また止まり説明をするように前振りを置く。

 

「よく聞きなさい……」

 

 僕がこれから聞いた話は、幻想郷の事を初めて知ることになった。

 




もしかしたら 修正するかもしれません
読みやすくする予定でいますが 不明です。
また変更するときは、ツイッターにて書くはずなのでよろしくお願いします。


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