〜ハルカside〜
私がなぜこの世界に来たのかは、今でもよくわかっていない。
気がついたらやたら散らかった部屋で倒れていたのだ。
ついでにめっちゃお腹空いてた。いや割と本気で死ぬかと思った。起きたら目が霞むレベルの空腹で手元も足元もおぼつかないとかそのままなら普通に死ねる。
幸い冷蔵庫?にあったチョコレートやらでどうにか回復できた。
119番した方が良かったことに気がついたのはある程度回復した後だった。
どうにか死にかけから回復した私だが、回復してようやく自分の体がおかしいことに気がついた。
「………なぁに………これぇ………」
身長は縮み、多分小学3、4年の成長期前くらいで、空腹で死にかけていたためか、かなり痩せている。
挙句顔を確認するために鏡を見れば、髪はボサボサで不健康そうな死んだ目の女の子ときた。
なんだ、今になって人生ハードモードでやり直せってか。せめて死にかけの体じゃなくて美少女ボディをよこせ。クーリングオフ効かないのかこれ。どこに連絡すれば返品できるんだおい。
思わず思考が明後日の方向にすっ飛ぶほどに当時の私は混乱していた。
無理もないと思う。初っ端から死にかけてからの肉体総とっかえイン死にかけロリである。普通混乱通り越して発狂するわ。
そんな感じでアホな思考を続けること数分。
最終的に私が出した結論は
この頃から努力すれば美少女になれるんじゃね?
である。アホか私は。もっとこう優先するべきことが色々あるだろ。
だが思考がトリップしまくった上にツッコミ不在の私はまずはボサボサの髪をどうにかするべくお風呂へと向かったのだった。
-30分後-
結論から言おう。この体はすでに美少女ボディであった。
しっかり髪を洗って乾かした結果、まだ死んだ目で不健康そうではあるものの、黒髪ロングの美少女が誕生した。勝ったぞハルカ、この戦い、私の勝利だ。
この時点でもまだ思考がアホだが、この辺でようやくまたおかしなことに気がついた。
家の中がやたらと近未来チックなのである。
さっきの冷蔵庫(らしきもの。チョコ冷えてたから多分合ってる)もなんかタッチパネルで出したい物選ぶ方式だったし、お風呂場も頭と体洗ってさっさと出ようと思ってたらなんか勝手にお風呂準備されてたし、こっちもタッチパネルあったし。
冷蔵庫はもとから入っているものが少なかったのか、いくつか出てるうち近くにあったチョコレートをさっさとタップしたことと、死にかけていたこともあって気にしている暇がなかったが、お風呂はほんとに勝手に準備されていた。疲れてそうだからちゃんと入れということだろうか。AIか何かかな?せっかくだからとゆっくりつかってしまった。
お風呂から上がってようやっと冷静になった私は、適当なパジャマを着て、改めて状況を整理した。
気がついたら死にかけてる美少女にインしててやたら近未来チックな家にいたと………。
「………わけが………わからないよ………」
よくある転生ものという奴だろうか?赤ん坊スタートじゃないからどちらかといえば憑依系だろうか。
死んだ覚えも神様にあった覚えもないんだけど………それと………。
「なんか………喋りづらい………」
栄養失調で体の動きが鈍くなっているのだろうか、すごい喋りにくいのだ。流暢に話せずに勝手に途切れ途切れになる。もう普通に歩き回れるのに。
「あー………あーー………あーーー、っ⁉︎ケホッ………」
うん、あんまり長くは話せないみたいだ。これ以外あんまり不調はないから、なんかに喉やられたのかな。状況整理できたら早めに病院行こう。保険証探しとかないとな。
さて、とりあえずこれがよくある転生ものだと仮定しよう。転生ものは大体2つの系統がある。完全オリジナルの一次創作か、原作ありきの二次創作かだ。
どっちにしても日常系とかじゃない限り余裕で死ねるような厄介ごとが向こうからやってくる可能性が高い。二次創作なら対策が立てられないこともないが、オリジナルだと先の予測が立てられないためより面倒だ。
さらに憑依系と考えるとこの体が原作キャラかどうかも考えなければならない。
味方の強化フラグ回収し損ねて世界滅亡とか笑えない。現状こんな見た目のキャラは記憶に無いから、もし原作キャラだったらそれはもう頑張るしかないのだけど。
一番いいのが日常系、次点で死亡フラグ少なめの二次創作と言ったところか。
逆に絶対嫌なのは死亡フラグ満載のパターンだ。世界の危機とかアウト。すでに詰んでる系はもっとアウト。
あと個人的に嫌なのは死亡フラグ回避が一番面倒なヤンデレがいるタイプの恋愛系だ。もし関わる羽目になったら余裕で死ねる自信がある。こちとら彼氏いない歴=年齢だ、恋愛なんざしたこともないわ。
とりあえず今やるべきことはこの世界の情報収集、そして自分のことを調べることの二つ。
どちらを先に調べるか………。
考え込んで、ふと窓の外を見ると、起きた時はまだ空が明るかったのに、外はもう真っ暗だ。時計は午後10時と表示されている。
体のこともあるし、今日はもうもう寝てしまおうか。
そう思った時、見覚えのある建物が目に入った。
「………あれって………」
やたらと派手なデザインの建物に、ネオンサイン?でBIG WAVEの文字。
もちろん見覚えのあるというのは現実で、というわけではない。あるゲームの中で、だ。
「………まさか………」
私は自分の部屋へ急いで戻り、あるものを探した。もしアレがあるならこの世界はあのゲームの世界ということになる。
そして、私は緑色の携帯端末を見つけた。
これがあるということは、もうほぼほぼ確定だろう。
「流星の………ロックマン………」
この世界は日常系などではない。世界の危機が何度も迫るような、少年マンガばりのバトル系の世界だ。
うーん………短いなぁ………
次回はもうちょっと長めに書けるようにがんばります!