アルカナは示す   作:ROXAS²

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遅れてスミマセン・・・・・・リアルでコミュ活動(友人との遊び)や学力アップ(発掘された忘れ去られていた宿題)をしててタルタロス攻略(執筆)が全く進みませんでした・・・・・・
そんなほぼ白紙の宿題があるのに、私の夏休みはあと7日(と1日)で終わる(白目)


今日は地獄の運動会

「はぁ・・・・・・」

 

教室の窓から空を見て、溜め息をつきながらニュクスは眠そうな顔で自分の席に座っていた。溜め息と共に欠伸まで出てきており、その姿からはやる気どころか立つ気力すらも全く感じられない。

 

「さぼりてぇぇ・・・・・・」

 

ニュクスの心から漏れ出す呟きは誰の耳にも届かず、逆に、楽しそうに笑っている同学年の生徒達の話しがニュクスの耳に入って来る。

 

「楽しみだね!システィ!」

「そうね!」

「深呼吸深呼吸・・・・・・」

「大丈夫かよリン?そんな緊張すんなって!」

「君は人のことを言えないだろう、カッシュ?さっきまでガチガチになっていたのは何だったんだ?」

 

勝つ事より楽しむ事を大事にしているのは良いことなのだが、そのテンションで今の俺に話し掛けないで欲しい。正直ウザイ。俺は返事の無いただのマーヤですよ?俺と話す為に二酸化炭素を排出しないでください。地球温暖化が進む。

 

そんな無気力症に掛かったかの様なニュクスの姿を発見したルミアは、システィーナだけで無く、その他の何人かを連れて歩み寄り、空いていた隣の席――テレサの席に座り、少し心配するような顔で話し掛ける。

 

「ニュクス君大丈夫?体調悪いの?」

「いや?ただ眠いだけ。」

 

ニュクスの死んだ様な表情から放たれた一言に、周りに居た人達は、楽しみで眠れなかったのか、案外子供らしいな。と判断した。全然違う、と言うか180°真逆だ。

 

「そうなんだ。それじゃあ良かったね。今日は心地良い日差しだからお昼寝出来るね?」

 

クスッと笑いながら言うルミアに、ニュクスはそうだね。と短く答え、ウトウトとし始める。でも、応援とか競技はちゃんと起きてよ?とルミアが軽めに忠告するが、ニュクスの耳には届いていない。既に寝てしまっている様だ。

 

「お休み。」

 

ルミアとその他の生徒達も呆れた様な顔をしながら暖かい表情でニュクスの寝ている姿を見る。こんな一大イベントが有っても、コイツはブレないなぁ、と皆がそう思い、しばらくはまるでクラスのペットの様にニュクスは観察された。本人はグレンが来るまでぐっすりと眠っており、その事には全く気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――数時間後、アリシア七世の演説により、魔術競技祭は始まった。各クラスの生徒達は担任の先生に激励の言葉を受け取り、掛け声を上げて、決まっていた自分達の席へと座る。ニュクスはルミアの後ろに座り、ゲンドウポーズを取り、周りに聞こえるぐらいの声で呟いた。

 

「さて、俺は寝るかねぇ・・・・・・」

 

勿論嘘だ。ルミアの監視を人の沢山居る中で外せられない。深夜に誰にも気づかれない様に学園に忍び込み、ちょっとした仕掛けを施したニュクスは、その仕掛けにパスを通し、そっと目を閉じて集中する。

 

瞬間、脳裏へと広がる沢山の景色と人の声。学園の中とその周辺の景色がニュクスの監視下に置かれた。

 

――見た所、怪しい動きは・・・・・・特に無い・・・かな。

 

ニュクスの監視も完全では無い。特にアリシア七世とセリカの居る特別席には仕掛けを準備出来なかった。国の女王が見る場所に誰でも入れる訳は無く、祭前の段階でも侵入することは出来なかった。

 

ニュクスが集中している中、約束を破り、いきなり寝ると言ったニュクスに、ルミアは少し怒っている様で、意外にもシスティーナよりも早く、優しく注意をする。

 

「だーめ。起きてちゃんと応援する。」

「ん・・・・・・善処する。」

 

寝る事を皆に伝える事で、普段寝ている自分は監視の邪魔をされないと思っていたニュクスは邪魔された事に少し驚くも、直ぐに適当に返事をする。と言っても、目を瞑っている状態で返事――それも適当に返した所で、ルミアが引き下がる訳も無く――

 

『目覚めの水よ』

「ぶっ・・・・・・寒い・・・」

 

顔面に少量の冷たい水が水鉄砲の様に飛んで来る。あまりの冷たさに仕掛けとのパスを切ったニュクスはビクッとして、水をぶつけて来たルミアを恨ましそうに見る。それに対してルミアは全く気にする様な動作は見せず、当然だ。といった表情で此方を見る。

 

「もう始まるよ?競技。」

 

どうやら少し御立腹のようだ。此処は邪魔されるの覚悟で監視に専念しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから何事も無く、幾つかの競技が終了して、前半の最後の競技――魔法瓶一気飲みが遂に始まる。どこのクラスにも何人かが早く御飯食べたーいと思っているのが表情から分かる。因みに何処かのクラスには、そんな腹減ってんなら枝を食べろ枝を、と言う未来へ投資した顔色の悪い講師が居た。

 

[次は魔法瓶一気飲みです。代表者は前へ移動して下さい。]

 

魔術を使って全体へと広がる実況担当の生徒の声に、グランドへと代表メンバーが全員集まる。デブデブデブデブ・・・・・・その殆どがグルメな月コミュの男子生徒を想像させる体形をしていた。

 

[さぁー。始まります魔法瓶一気飲み。どうやらグレン先生率いる2組はニュクス=アバター君を出場させるそうですが、果たしてどうなるのでしょうか・・・・・・」

 

体形的に予想外だったのだろう。実況担当の生徒は競技を捨てたのかどうなのか、その判断が出来ずに居る様だ。

 

[それではカウントダウンを始めます!3・・・2・・・1・・・スタァァトッ!]

 

パァンと言う音と共に、一生に代表者達はテーブルに置かれた1L程の魔法瓶を飲み始める。

 

誰もが魔法瓶を飲み、冷たい物を食べた時にたまに感じる頭の痛みの10倍の痛みを感じる。これがこの競技で忍耐力を試す方法であり、最初からゲームを捨てていたクラスの生徒達は次々とギブアップして逝き、それに合わせて実況も大きな声で叫び出す。

 

[おーっと!5組と6組、遂には4組と8組もギブアップ!残るは6クラス!全員既に15本を超えてほぼ互角だぁ!〕

 

デブ達が此方を睨んで来る。自分達と違って細々とした体つきの俺が何故此処まで付いて来られるのか不思議に思っているのだろう。・・・・・・ふむ、そろそろギブアップすれば5位だ。まぁこれで十分だろ。

 

ニュクスは魔法瓶を飲むのを止めて、審判役にギブアップの意思を伝える。此処で止めれば上位でも下位でも無くなり、真ん中、普通レベルになれるのだ。攻められても流石に限界だったと伝えればどうにでもなるだろ、多分。

 

因みにこの競技、俺が此処まで粘れたのはただの我慢等では無い。3本目位から監視に使っていた何十匹ものネズミ相手に感覚の共有呪術を使った。

 

感覚の共有呪術とは、お互いの血を一滴飲み、飲んだ相手の思考や視界等の情報を共有出来る術の事である。

つまりは一方的に脳に感じた痛みの感覚を、人間的思考を持たない何十匹ものネズミ達に押しやったと言うことだ。学生位の年の子には少し危険な魔術だというが・・・・・・俺は宮廷魔導士だし、バレなければ問題は無い、良いね?

 

実況がギブアップした事を大声で伝えると、頑張った方だ。と、会場を出る途中、応援席から応援していたカッシュ達に言われた。いや、まだ行けたんだが、等言わずに、ニュクスは足早に会場を出て行く。

会場を出て、自然の広がる学院内の校庭を通った時、ニュクスの前方にある木から、少し痩せた男が溜め息を付き、頭を掻きながら現れ、隣にまで来て共に移動を始める。片手には口元に血の付いた白ネズミが握られている。まだ生きているようだ。

 

「嘘を付くのも良いが、あまり付きすぎるとロクなことに会わないぞ?」

「そうですね、俺は今正に、ロクでなしと自称しながら全然ロクでなしでは無い先生に捕まってしまいました。これ以上ロクなことは無いでしょう?」

 

確かにな、と言いながら歩き続けるグレンは、少し笑みを浮かべながら、手に握っていた白ネズミを放す。此処の監視をしていたらしい。

白ネズミだって考えて行動する。が、一度何をするか決めてしまえば、俺が考えるに、人間よりも動物は余計な行動をしないらしい。何時間、何十時間、動物は生きる為に待ち続ける事も出来る。一つの行動に長く取り組むのだ。つまり一度行動を決定すれば、その気になれば動物はそれを達成するまで別の行動を取らない。ニュクスはそこに、共有した状態で自分の意思をネズミの頭脳内で決定させる事で、脳に持ち主(ネズミ)がその行動を決定したと誤任させたのだ。誤認した頭脳はニュクスが気を緩めパスを切ったとしても、持ち主の出した命令を忘れず、記憶し、行動する。

つまりは撤回、解呪されるまで命令に従い続ける完全なる下部となると言うことだ。

 

「お前は凄いな?アンデットを操るのも簡単なんじゃ無いか?」

「馬鹿言わないで下さい。アンデットって操るのは難しいんですよ?あいつら皆揃いも揃って雑念とか呪いを術者に送り付けるんですよ?御陰で集中力は途切れるしで・・・・・・一度試した身としては、もう二度と御免です。」

 

ニュクスはグレンと話しながら、少し遠くで既に食事を始めているクラスの2人を見つめ、もう競技終わったのか、と驚く。

コンセントレイトを使うにも、ペルソナを持続させるのは、いくら魔術特性が向いていても疲れるのだ、体力的にも、精神的にも。

 

「・・・・・・さてと、俺は寝ますね?先生。今日は日の光が気持ち良さそうだ。寝ずにいるのは惜しい。」

 

大きな木にもたれ掛かる様に座り込んだニュクスの言葉にグレンは苦笑いをし、そうか、とズボンに両手を入れて、システィーナとルミアの居る場所へと向かう。

 

「あ、先生!ニュクスは5位だったみたいです。対する1組の生徒は1位だったみたいで・・・・・・でもまだ負けてませんよね!」

 

システィーナのテンションの高い言葉に、再び苦笑いをするグレン。その姿は子が親に無茶を頼んでいる様にも見えた。システィーナとの話しが終わり、ルミアとグレンはシスティーナに聞こえないようにひそひそと話し始める。

 

「なぁ、何で白猫はあんなにテンションが高いんだ?流石に高過ぎんだろ?」

「さぁ?誰かさんの言葉でやる気に満ちているんだと思います。」

 

ルミアはクスクスと笑いながら、思い人の為に頑張るシスティーナを応援するのであった。

 

「あ、先生、これなんですけど、とある女の子が男の子の為に作ったんですけど――」




えー、頭の悪い作者が今回の呪術をどんな風かざっくりと説明すると、ニュクスはネズミを洗脳した。ですね。
ニュクスは事前に自分の意思を確認してから共有しているので、ネズミに洗脳はされないと言った感じです。意思が弱いと直ぐ洗脳されます。
簡単に言うと、脳の取り替えっこが出来て、尚且つ返す時にニュクスはネズミに命令出来る。これが今回の呪術。

詳しい事は質問とかで、言葉に出来ればお答えします。
次回は最後にグレンが弁当を渡された時から、少し時間が過ぎます。予定ではルミアが衛士に処刑宣告される所。つまり、とうとうペ・ル・ソ・ナが登場する・・・・・・カモシレナイ。
後、活動報告で好きなペルソナを書けるようにしました。人気があれば出てくるかも・・・?
それではまた今度。

・・・・・・碌でなしとは、まともじゃ無い人の事も言うらしいです・・・そういう面では確かにグレンはロクでなしなのかな?

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