アルカナは示す   作:ROXAS²

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何でも無い日常の一部と原作と少し違う所。

お待たせしました。
うぅぅ旅行疲れた・・・・・・


どうでもいい話

魔術競技祭開催一週間前、編成が決まって1日が経ち、ニュクスは学院でシスティーナとルミア、グレンと一緒に食堂に居た。

最初はグレンとニュクスの二人で食事をしていたのだが、しばらくしてグレンを探していたシスティーナを連れたルミアが隣に座り、共に食事をすることになった。

 

「なぁニュクス、お前好きな人とか居ないのか?」

「随分といきなりですね・・・」

「あ、それ私も聞いてみたいなぁ~。どうなの?」

 

グレンの思春期の男子の様な質問にルミアは興味深々といった感じでニュクスに聞く。

ルミアがニュクスに興味が湧くのは、とある一点に置いて、ニュクスとルミアは近いものがあるからだ。ルミアは現在、システィーナの住む屋敷に同居しており、朝になってシスティーナにもう朝よ、と言われても、後3分と引き伸ばし、これを延々と繰り返すのだ。いつもシスティーナが起こしにベッドの布団を剥ぐのだが、布団の端を持って離さないと言う。ニュクスはそれと良く似ていて、布団から出ず、朝はしばらく布団を装備して行動する。起きるのも大分遅く、イヴ――これは言っていないが――が炎を片手に寄って来るのを勘で察知するまでは寝ている。遅い時は過去最大で23時から14時まで計15時間寝ていた。この事から親近感を感じ、ニュクスとルミアは仲が良い。

ニュクスはしばらく考え、自分の望む人物像を言い表す。

 

「好きな人ですか・・・・・・布団愛好家なら良いですね。あ、でもツルツルの生地は駄目ですね、こう、薄くて通気性の良い布団が好きな人ですかね。」

「それ分かるかも。私もツルツルよりは涼しい感じの、タオルケットみたいなのが――」

 

白熱する布団談義。グレンはどうしてこうなった、と遠い目をしており、システィーナは友人の変わった一面に困惑するも、直ぐに終わりそうにない話し合いにストップを掛ける。

 

「ストップ!ストップ!グレン先生が遠い目しちゃってるから・・・・・・」

「あぁ、悪い。・・・・・・そういえばさ?」

 

システィーナのストップによりニュクスは話すのを止め、何か話題が無いか考え、ふと聞きたかった事を思い出した。ニュクスはグレンへとニヤニヤとした表情で問い掛ける。

 

「先生、お金ギャンブ――」

「だぁぁぁっとけぇぇぇ!!」

「先生っ!?」

 

ニュクスの皿に盛ってあったケーキを強引に口にねじ込むグレンの姿に、食堂に居た生徒達は何だ何だ、またグレン先生が何かやったのか?と視線を向ける。システィーナとルミアはそれとは別に、驚いた後、ポカーンと口を開けている。

 

ひごいははいへふは、へんへい(酷いじゃないですか、先生)

「んー?何言ってるのか分からないなー?」

 

コイツ、死んでくれる?と内心で思ったニュクスは、自分のポケットに入っている通信機に反応があることに気付き、口に押し込まれたケーキをモグモグと食べ、そのまま口の周りに少し付いたクリームを自分の親指で軽く拭き取りそれを舐め席を立つ。いきなり席を立ったニュクスに、グレンは怒らせちまったか?と心配するが、ニュクスはそんな事無いですよ、ちょっと用事が、と言いながら移動を開始する。

 

ニュクスは食堂を出て誰も居ない階段で、自分のポケットに入っている通信機から連絡を取りたがっている人物と話し始める。

 

「何だイヴ?今はまだ学院内だぞ?」

『ごめんなさいね、牢獄から元・『塔』のアンリエッタが今朝になって消えていたらしいわ。見かけたら連絡お願い。』

 

『塔』のアンリエッタとは、NO.21『世界』の頃のセリカによって牢屋送りとなった者である。セリカは当時任務によりとある村へと向かい、アンリエッタの悪事に気付きイクスティンクション・レイをアンリエッタへと放った。殺さずにジワジワと苦しませる為に、ギリギリの所で死なないようにしたセリカは、任務終了と共に、アンリエッタを牢屋送りにしたのだが、何十年も経った今、何故逃亡したのだろうか。どうやって逃亡したのか疑問に思うニュクスは、イヴに詳細を聞く。

 

「牢屋の状態は?」

『損害大有り。多分魔術ね、アンリエッタ以外の誰かが連れ出したと考えるのが妥当ね。』

 

牢屋送りになると、生きるのに最低限必要な分のマナになるよう削減される。よってアンリエッタが牢屋から抜け出す事は不可能であると考えられる。異能者だったなら分からないが、アンリエッタは異能者では無い。牢屋には看守が2人付いていたが、どちらも殺害されていたらしい。

 

「看守の腕も高かった筈、つまりそれ以上、するとただのテロリスト及び犯罪者以外の人物か・・・・・・?アンリエッタを連れ去って得するのは・・・・・・」

 

まず第一に思い付くのがジャティス。同じ元・ナンバー持ち宮廷魔導士だ、何か事件を起こすパートナーとしては使えるかも知れない。

もう一つは天の智恵研究会。正直言って一番面倒なのがコイツら。常識が無いしこの国で一番大きい犯罪組織だろう。アンリエッタが組んだ理由として考えられる理由は宮廷魔導士への復讐、もしくはセリカへの復讐だろうか。

 

「・・・・・・分からないな。けど警戒すべきだな、分かった。こっちも一層周囲に気をつけるよ。・・・・・・お前も気をつけろよ。」

『誰に言ってるのかしら?私がアンリエッタ如きに負けるとでも思った?安心しなさい。それよりグレンにも伝えて。アンリエッタとその仲間がルミア=ティンジェルを襲撃しに来るかもしれない、とね?』

 

慢心が透けて見えるイヴの返答に苦笑いしながら了解と答え、通話を切る。当分は警戒を怠らず、常に注意すべきだな、と決めて食堂へと戻る。

 

「あ、グレン先生、後で話があるんで。さて、何を話してたんですか?」

 

ニュクスはグレンへと話し掛けると、グレンは、今丁度お前の話をしてたんだよ。と答えた。何やら競技祭について話していたらしい。

 

話の内容としては、魔法瓶一気飲みについてだったらしい。

魔法瓶一気飲みとは、その名の通り魔法瓶を一気飲みする競技で、魔法瓶の中には、薄くした意識を奪う成分が含まれており、それを意識を失わずにどれだけ飲めるか、という割と根性に依存する競技である。似た様な競技にルミアも出ているが、そっちはもっと危険なので、正直少し注目されない影が薄い競技である。

 

「それにしてもニュクスは大丈夫だったの?その競技で?」

大丈夫だ、問題無い。(嫌だよ、本当は。)

 

システィーナの質問に答えるニュクスは、どこか作り笑いに見えたのだが、システィーナは見間違えかと判断し、グレンに何故ニュクスにしたのか、興味深そうに聞く。

 

「先生はどうしてニュクスを魔法瓶一気飲みにしたんですか?」

「ん?あぁ、器用だからだよ。コイツが。」

 

え?とルミアは不思議に思った。器用ならばもっと他の競技、特に大目玉の決闘戦で活躍出来たのでは?と思ったのだ。システィーナも同じで、思わずニュクスの顔をジーッと見る。

 

「俺は特筆すべき事が無いからだろうさ。グレン先生は嘘ついて器用だとか何とか言ってカバーしてくれてるけど、学力、魅力、勇気、全て星5の内3、つまり平均的ってだけさ。ほんの少し得意な変身が無ければ、俺は他の競技出ても他の人の方が適任だから簡単なのになったんだよ。」

「それ、魅力は関係あるのか・・・?」

 

これ以上嘘の理由を話していると、その内ボロが出そうなので、ニュクスはまぁそれは置いといて、と話を逸らし、ニュクスはシスティーナとルミア、グレンの三人に質問をする。

 

「グレン先生、毎日男子生徒のヘイト高めさせて何しようとしてるの?ヘビーカウンターで一層させようとしてるなら止めないけど。」

「はぁ?どういう事だよ?」

 

グレンって馬鹿なのかな?と思いながらニュクスは周りを見るように言う。グレンへと向かれているまるで刃物の様な冷たく鋭い視線に、グレンは冷や汗を流す。

 

――ジーッ

 

「お、お前たち、確かに俺の隣にはルミアが居るぞ?だが良いのか?」

 

グレンは生徒のヘイトを鎮めるために、内心で焦りながらも説得する為に、冷静を装って胸を張って演説を始める。

 

「その様な心を、ルミアが喜ぶのか?違うな、間違っているぞお前たち!お前たちのその荒ぶる気持ちも、殺意だって分かる。だがっ!そうじゃ無いんだよ!ルミアが喜ぶのは、皆の笑顔と、優しい心を持った者なんだよ・・・・・・!今のお前たちが、ルミアに好かれることは一生無いだろうな・・・・・・だが、まだ間に合う。今ならきっと、ルミア様はお許しになってくれるだろう・・・・・・。」

 

グレンの演説により、食堂に居た生徒達は皆ハッ、と目を見開く。そこにさっきまでの表情は無く、あるのは穏やかな綺麗な表情。

 

「え、ええっと・・・・・・」

「「「すみませんでした、ルミア様!俺達は間違っていました!でもどうか、どうかお許しを!」」」

 

困惑するルミアに土下座し、謝罪する男子生徒達。他の女生徒達は呆れ顔を突き通って、家畜の豚を見るような目をしている。

ルミアは慌てて土下座を止めるように言う。

 

「え、や、止めてよ?皆を別にそんな風に思って無いから、ね?」

「「「あぁ、有り難きお言葉、感謝永遠に。」」」

 

変わり果てた生徒達の姿に、ニュクスとグレンは笑い声を我慢しようと堪えているが、体が震えており、笑っていると一目で分かる。システィーナは呆れ顔でルミアを連れて食堂を出ようとする。

 

「本当男子って馬鹿ばっかり。行こう、ルミア。」

「え、あ、うん。」

 

システィーナに手を引っ張られ、ゆっくり食堂を出るルミア。その頃グレンは食堂の人に呼び出され、此処は食堂だ。良いな?と怒られていた。ニュクスは男子生徒と言う括りで、馬鹿呼ばわりされたギイブルに合掌し、システィーナとルミアを見送る。ルミアがそれに気付き手を振ったので、ニュクスも手を降って見送る。

 

「良し、皆席に戻れ。ルミア様が本当に好きならば、此処で迷惑を掛けてはいけないからな?」

「「「サーイエッサー!」」」

 

ニュクスの命令に逆らう者は居らず、男子生徒達は全員自分の座っていた食堂の席へと移動した。

 

「ふぅ・・・アレ?グレンが居ない・・・・・・仕方無い。」

 

ニュクスはイヴの伝言を伝える為に、食堂の外で、怒られているグレンが来るまで待機するのであった。




なるべく投稿する日は影時間(0時)投稿にしよう。
ペルソナ3は現在荒垣さん死亡。泣いた。以上。

次は競技祭かな?たぶん。

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