※乱文です、ご注意下さい
【Lily】
途中途中アルフィスのSNSを読み上げてもらいながら、先に進んでいく。
「………またかよ」
進んだ先にあったものを見て、そんな一言を吐き出す。一面の壁と両開きのドア。先程私がメタトンにブチギレる前に見た物と同じであると直ぐに気付いた故の言葉だ。
「あー、フリスク、この先多分またメタトンが居ると思うんだ。それで……もしかしたら庇いきれなかったりする事態が起こるかもしれないから覚悟だけはしておいて」
「うん、分かった」
私の言葉にフリスクが頷いたのを見てから、私はドアノブを回す。ギィ、という音を立てて扉が開く。そのままゆっくりと扉を押して中を覗くと、照明が一つも見当たらない、真っ暗闇が広がっていた。エアコンでも着いているのか、涼しい風が頬を撫で、溶けそうになるほど暑いホットランドで動き回ったせいで熱くなっていた体には丁度良かった。
その中でバトルしなくてはならない事に若干面倒臭ささえも感じながら、フリスクの手を引いて中に入り込む。そして、数歩歩いたところで、フリスクが居る場所から携帯の着信音が聞こえた。
プルルル………プルルル……
ゴソゴソと布が擦れる音が聞こえ、その後、小さくアルフィスの声が聞こえてくる。そして、明かりが点いたのか、不意にぱっと周りが明るくなった。目前にボールやらなんやらが置いてあるのを見て、そしてそのままそれらが物を模した爆弾である事を思い出した。
『マジで?』
静まり返ったその場所に、棒読みな電話越しのアルフィスの声が響いた。
《オーウ イエエエエス!!!》
先程聞いたばかりの男性の機械のような音声が辺りに響く。
《皆さん、こんばんは! わたくしメタトンがMTTニュースを生放送でお送りします!!》
だが辺りを見渡して確認しても、空に浮かぶカメラが幾つか見受けられるだけでメタトンの姿は見えず、きっと白い壁の向こうでニュースを実況をしているのだろうと察する。
「ごめんフリスク、ちょっと携帯貸して」
「え? うん……」
未だ流れるメタトンの声に不安そうに辺りをキョロキョロと見るフリスクから携帯を借り、まだアルフィスと電話が繋がっている事を確認してから話しかける。
「アルフィス! これまた襲撃だよね? 肝心のメタトンの姿が見えないんだけど、どうなってるんだい?」
『………あ、ぁ、えっと、今電話越しに聞こえた『ニュース』って単語にまさかと思ってテレビつけてみたんだけど、貴方達、メタトンがやってるニュースに映ってるわ……!!』
一瞬怯えたような声を出したアルフィスからの説明を聞き、私はゲーム通りに進んでいるようだと内心安堵する。
《勇敢なリポーターさんたち! 何かニュースになりそうなモノを見つけてくださいね! 私たちのワンダフルな十名の視聴者の皆様があなたたちを待っていますよ!》
「は……?」
今まで聞き流していたメタトンの言葉に、電話を耳元に宛がったまま思わずそう言葉を漏らす。
「……アルフィス、一回切るね。テレビはそのまま見ててピンチになったら助けてくれないかな?」
『え、えぇ、もちろんよ!』
「そう、頼んだよ。それじゃあね」
電話をしてる場合じゃなさそうだ、と判断し、アルフィスに約束を取り付けてから電話を切る。あー……面倒な事になった………
「アルフィスは何て……?」
「聞いたところ、なんかニュースに映されてるみたいだよ、私ら」
「え……」
携帯を返しながら言った私の返答に、嘘でしょ、と言わんばかりに目を見開くフリスク。
「巻き込まれた以上は仕方ない。さっさと適当な物を選んで終わらせちゃおうか」
「うん。……ねぇ、あれ、なんだろう……?」
私の言葉に頷いたフリスクが指差した先には、大きな薄い桃色の球体が鎮座していた。先程キョロキョロ見渡していた時に見つけたらしいなと考えながら、目測でどういう状態かよく観察する。……まだ起動はしていないらしいな。
「………何だろうね、あれ。此処まで遠いと私にも分からないな」
「そっか……ねぇ、ぼくがリポートするもの選んでもいい?」
「ん? 勿論いいよ」
フリスクからの提案を受け入れると、フリスクはまた辺りを見渡し、近くにあったバスケットボールに目を着けてのか、近付いていく。それに後ろからついていく。
《バスケットボールは爆発だ、ですよね、ダーリン?》
「は?」
聞き覚えのない諺のような言葉を言われて思わず聞き返す。……それを言うなら『芸術は爆発だ』じゃないん?
《残念ですが、このバスケットボールで遊ぶことは出来ません》
私の疑問の言葉を無視したらしく、メタトンは淡々と説明を続けていく。
《それはMTT-ブランドの衣料用バスケットボール、遊ぶものではなく着付ける為の球体ですよ。美しい球体なくして私のようなセレブな人物になることは不可能なのです》
「いやお前ボディの形が箱だから殆ど角形じゃん。何処に使う要素あんの? 車輪部分?」
「お姉ちゃん、それ言っちゃいけない」
メタトンの発言に思わずそう切り返せば、フリスクからツッコミを受ける。本当に何に使うんだこのボール、と思いながら、ボールを注視しておく。……あ、パピルスの勝負服のバスケットボールってまさかこれか……? いやあれは普通に服の袖なんじゃ……うーん……?
「……これにする?」
「うん。さっさと終わらせちゃおう」
とんでもないことに気付いてしまったかもしれないとどうでもいいことに若干頭を悩ませながらフリスクにそう訊くと、フリスクは頷き、傍にまで来ていたカメラに向き直る。
《ご覧下さい! リポーターたちはなんと……バスケットボールを見つけました!》
「そりゃ見りゃあわかる」
態々言うことかよ、と言外に含みつつ、カメラを見上げたままそう言った。
《あぁ、バスケットボール。楽しみを呼ぶ円。喜びを呼ぶ球。球体は遊びに抜群》
いきなりポエムじみた事を言い出すメタトンの声に、思わず顔をしかめる。
《でもこれで遊んではいけません。これはMTTブランドのファッションボールなのですから》
「………というかさ、私達がリポートする筈なのにメタトンがやっちゃってない?」
「そうだね」
超空気ですわー、と思いながら、フリスクからバスケットボールを離すために、パーカーの袖を捲り直して自分で持っておく。……あ、おっも。これは完全に爆弾だわ。
《綺麗を保つためには正当な整備と正しい使い方が必要なのです》
まぁそりゃあそうだわな、と爆弾ボールを抱えながらメタトンの言葉に内心同意し、私は傍にあった穴のような場所を覗き込む。………マグマが若干見えるな。いざという時は此処から落とせば……
《ご覧のように、人間の体温では塗装が溶けてしまいますからね》
「なんで人間の体温で溶ける塗料を使ってるんですかねぇ……人間の平均体温大体36度ぐらいじゃなかったか?」
それで溶けるならホットランドに置いといたら不味いんじゃないのか、とメタトンの言葉に心の中でツッコミをして、私は抱え込んだボールを見る。すると、バスケットボールの塗装が所々剥げ、黒く光る表面が顔を覗かせていた。……あぁ、やっぱり。
《……ちょっと待った。これはバスケットボールではありません》
どろ、という音がしそうな程に塗料が溶け、段々と黒い部分が顕になる。そして、半分ぐらいまで溶けたところで、火の着いた導火線が顔を出した。
《爆弾です!!!》
「えっ!!?」
メタトンの言葉にフリスクが驚いたように私が持つ爆弾を見て、顔を青褪めさせた。
《なんということでしょう!!! このスポーツレビューは……ショートレビューになってしまいます! あなたたちが爆発した時点で、終了になりますからね》
声高々に説明を続けるメタトンの声を聞き流しながら腕の中にある爆弾をじっと見つめる。……不自然に思える程導火線が長い。あくまでも此方を此処で殺す気は無いらしいな。
内心そう気付いて安堵しながら、私は冷静に爆弾を下ろし、腕に着いた着色剤を払い落とす。
「うっわ、落ちるかな、これ……」
「お姉ちゃん冷静だね……?」
「こういうのは慌てたりしたら余計混乱するからね。だからフリスクも落ち着いて。大丈夫、切り抜けられるよ、私達なら」
顔を強張らせるフリスクに落ち着くように言えば、分かった、と一言言って小さく頷いた。
《しかし落ち着いてください! この部屋にある他の物をまだ確認していません!》
声が聞こえた瞬間、白い壁の一部が崩れ落ちて、黄色いネクタイに真っ赤なスーツというド派手な衣装を着たメタトンが飛び出して来た。そしてカメラに目線を向けて彼は喋り出す。その隙に私は彼の背中を注視する。……スイッチは………駄目だな、上手くスーツで隠れて見えない。
「なんと! 此処にある物全てが爆弾のようです!」
「……ハッ、白々しい。全部自分が用意した物のくせに」
あくまでリポーターとしてリポートを続ける彼の言葉に鼻で嗤いながらそう呟く。
「あの犬も爆弾! あのプレゼントも爆弾! わたしの台詞でさえも……!」
私の言葉を無視したか聞こえなかったらしいメタトンが言った瞬間天井から台詞をそっくり移したような文字の形をした爆弾が落ちてくる。私は咄嗟にフリスクの前に出て、両腕を顔の前でクロスしながら爆風を受ける。
ボン!!
「うっ、あっつ……」
部屋に入ってから冷え切った空気に肌を曝していた所為か、本来そこまで熱くない筈の熱風が熱かった。熱風が当たった箇所が少しヒリヒリする。……軽い火傷をしたらしいな。
「勇気あるリポーターさんたち……この爆弾を停止出来なければ………」
そこで一旦言葉を切り、メタトンはセットの奥へ飛んでいく。そして彼が先程見つけた球体に近付くと、ピッという音を立てて球体が起動し、側面に付いていた黒い画面のような物に『02:00』という数字が浮かび上がる。
「こちらの巨大な爆弾が二分で爆発して君たちの体は散り散りに! もう『生』放送なんて出来なくてなりますよ!」
上手いこと言ったつもりかよ、と内心毒突きながら、黙ったままメタトンを見続ける。
「なんという恐怖! なんという衝撃! 三十九名の視聴者様が見守ってくれていますよ!」
……今、何て言った?
メタトンの言葉に違和感を覚え、自分が覚えている彼の言葉と照らし合わせ、ぎょっとする。『三十九』? 何の冗談だ? 何で視聴者が増えてるんだ……?
「頑張って、ダーリン!!」
張り上げられた此方を応援する彼の声にはっと我に返り、今は爆弾解除が先だと判断して思考を切り換える。取り敢えず足元にあったバスケットボール型の爆弾を蹴り飛ばす。有線爆弾じゃないみたいだし、何処かで誰かが爆弾を操作しているんだろうと考えた結果、落とすことが最善だと考えたからだ。これなら電波が届かない範囲にまで離れてしまえば動かなくなる筈。
蹴られた爆弾は吹き飛び、此方に向かってきていたコップ型の爆弾を巻き込み、穴へと落ちていった。……加減せず思いっきり蹴ったせいか、足が少し痛い。
プルルル………
まるで見計らったかのようなタイミングで、フリスクが握り締めていた携帯の着信音が鳴り響く。フリスクは急いで携帯を弄り、電話に出た。
「………」
暫く話し込んでいたフリスクが携帯を見ると、携帯が変形し始め、アンテナのような物が伸び、スコープのような物が出てくる。……成る程、これで止めるのか。
「うわ、変形した……で、どうしろって?」
「爆弾をこのスコープの中の範囲内に入れてボタンを押してって!」
「そう、じゃあ私は爆弾を抑え込むから射つのは任せた」
「えっ………うん、任せて!」
フリスクから力強い言葉を受け取り、私はまず近くにあった犬の爆弾に駆け寄る。周りが白黒になるのを感じながら犬を見据え、タイミングを図る。
*
流れたアナウンスを聞き流しながら動きが一瞬止まったタイミングを逃さず、距離を詰めて地面に抑え込む。突然抑え込まれた犬も当然抵抗し、暴れ始める。なかなか暴れるな、コイツ…!
「フリスク!」
「OK!」
何とか抑え込みながらフリスクに合図を送ると、フリスクは『ACT』を押してから抑え込んだ爆弾に標準を合わせ、ボタンを押す。すると、アンテナの先からエネルギー弾のようなものが発射され、真っ直ぐ犬の爆弾まで飛来し、撃ち抜いた。エネルギー弾が当たった瞬間、犬は大人しくなり、ぐったりと地面に伏せる。
*
「次に行くぞ!」
エネルギー弾に驚く暇も惜しく、私は次の爆弾を探す。
「お姉ちゃん、アルフィスが左下はどうかって!」
「左下!? またあの機械があるとこか!?」
「多分!」
フリスクの言葉に返事をしながら走ってビームの壁がある所まで行く。
「一人で通れるか、フリスク?」
「大丈夫!」
その言葉を信じて私が先に壁を通り抜け、規則的な動きをするゲーム機型の爆弾を押さえ付けようとする。
*
無事壁を通り抜けてきたフリスクがゲーム機に近付いた途端にまた流れたアナウンスを聞きながらゲーム機を掴み、力づくで押さえる。
「行くよ!」
『ACT』を押したフリスクがまたエネルギー弾を発射し、ゲーム機を撃ち抜く。撃ち抜いた際の衝撃が伝わり、若干ふらついたのを立て直す。
*
「お姉ちゃん大丈夫!?」
「気にすんな、次に行くぞ!」
案の定心配したフリスクが駆け寄ってくるのを制し、ゴンドラの前にまで進む。本の型をした爆弾があることに気付き、手を伸ばす。
「どりゃぁ!!」
左右に動く本型の爆弾を両手で掴んでしっかり抱え込み、ゴンドラの上から走り去る。
*
「やって!」
ゴンドラの上を走ってきたフリスクに台本が撃てるようにしてから合図すると、フリスクは頷いて『ACT』を押し、携帯を構えた。
「壊れろ!」
フリスクの掛け声と共にエネルギー弾が発射され、台本を撃ち抜く。
*
「お姉ちゃん、アルフィスが最後の爆弾を真ん中に戻してくれたって! 行こう!」
「オッケー!」
直ぐ様フリスクの手を引き、橋の上を走る。無事に到達し、フリスクの手を離して目の前のラッピングされたプレゼント型の爆弾の解除に向かう。
*
「邪魔なんだよっ!!」
此方に捕まらないようにか縦横無尽に飛び回るプレゼントのリボンの部分を掴み、ほどけてしまわない内に手繰り寄せ、抱き締めるようにして抱え込む。そして此方に携帯を構えるフリスクに向かって、声を張り上げた。
「これで最後だ、やっちゃえ!!」
「いっけぇぇぇぇ!!!」
『ACT』を押して標準を合わせたフリスクが、ボタンを押す。またエネルギー弾が発射され、プレゼントボックスを撃ち抜いた。
*
此方の勝ちだと告げるように、アナウンスが流れる。白黒になっていた周りに色が戻り、全て解除し終わった事を示していた。
「お見事、ダーリン! 全ての爆弾の解除に成功したね! まさか爆弾を蹴って穴に落とすとは思わなかったよ!」
終わったのを見越したらしく、何処からともなくメタトンが現れ、拍手をしながら賛辞の言葉を述べた。
「失敗したら巨大な爆弾が二分で爆発する筈でしたが……もう二分で爆発することはありません!」
メタトンの言葉に安堵したのか、フリスクが一つ息を吐く。
「かわりに二秒で爆発します!」
「はぁ!? テメェふざけんな!!」
ヒュッという音を立てて息を飲んで顔を強張らせたフリスクの代わりに、私は抗議の声をあげる。
「さよなら、ダーリン!」
私は咄嗟にぎゅっと固く目を瞑ったフリスクを爆発から庇うように抱き締める。
「………?」
しーん、と静まり返った空気が流れた。やはり爆発は起きなかったようだ、と安堵しながら、私は周りを見渡す。
「…………あら。爆発しないね」
何とも言えない空気の中、驚いたような声でメタトンはそう言った。
プルルル………
そんな中、フリスクが持っていた携帯の着信音が鳴る。フリスクが携帯を操作し、電話に出る。
『そ、それは何故かというと!!!』
スピーカーモードに切り替えたのか、アルフィスの声が携帯から流れ始める。
『あなたが長々と喋っている間に……私が……!!! 直した……っていうか……か……変えたっていうか、あの……』
次の言葉が上手く捻り出せないらしく、そこでアルフィスはどもってしまう。
「なんてことだ。博士がハッキングして爆弾を止めただなんて」
『そう! それをやったの!』
そんな醜態を晒したアルフィスを見かねてか、メタトンが助け船とも取れる台詞を吐く。そこにアルフィスは慌てて便乗した。
「まったく! また失敗だ! 許すまじ人間! 許すまじ手伝ったアルフィス博士!」
まるで怒っているような声でメタトンはそう言った。
「しかし見届けてくれた三十八名の視聴者の皆様には感謝します!!!」
あ、一人減った。
カメラに向けて手を振るメタトンを見ながら、そんな事を思う。
「またね、ダーリン!」
そう言ってメタトンは手を振りながら飛び去っていった。
『う、うわぁ……私達コテンパンにしてやった、よね?』
「いや、直接的に叩きのめした訳じゃないし、コテンパンにしてやったとは言えないんじゃない?」
『そ、そうだよね! 言えないよね!』
まだスピーカーモードになっていたらしく、アルフィスの声が私にも聞こえた。そこで言い返してみると、慌ててアルフィスは同意してきた。………。
『……あ、あの、最初はちょっとアレだったけど……でも私ってだんだん……えーっと、だんだん……』
「……?」
言葉を詰まらせたアルフィスにフリスクは小首を傾げ、パクパクと口を動かす。
『じ、自信をもって案内できるようになったかなって!』
慌ててそう言ったアルフィスの言葉に、フリスクは同意するように頷いた。
『だ、だからあの爆弾ロボについては心配しないで……あ、あなた達を守ってあげるから!』
『守ってあげる』、か……大きく出たなぁ。
アルフィスの言葉を聞きながら、そんな事を思う。
『そ、それでもし上手くいったら、私達……』
そこで一旦アルフィスは言葉を切り、黙り込む。
『あー、気にしないで。それじゃあまた!』
またパクパクと口を動かしたフリスクに誤魔化すようにそう言って、アルフィスは電話を切った。
ガチャン………
「あー……助かったぁ……」
今度こそほっと息を吐き、フリスクはその場に座り込む。
「お疲れ様。格好よかったよ」
「……えへへ、ありがとー」
しゃがんで目線を合わせ、頭を撫でてやれば、フリスクはふにゃりと頬を緩ませる。ンンン、ぎゃんかわかよ。
「……ここ、まだ涼しいし、少し休憩していこうか。水飲む?」
「うん、飲むー」
休憩を提案すれば、フリスクは頷いた。それを見て私は水を取りだし、蓋を開けてフリスクに渡す。………さて、ここからが本番だ。
どうするべきか、と考えながら、私も地面に座り、天井を眺めた。