守りたいもの   作:行方不明者X

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※最初はモブ視点から始まります。


5.物語の始まり

【Girl】

 

その日、先生にナイショでみんなでエボット山にきもだめしに行こうとだれかがいいだした。

 

むかしからわたしたちはエボット山には行っちゃだめと言われてるし、夏ももう終わっちゃうし何か思い出づくりをしたかったんだ。

 

きもだめしのルールはここのちかくにあるエボット山の森のなかにはいってすぐにもどってくること。

おくまでいったらおこられちゃうから、すぐにもどってくることになった。

 

「Frisk―」

 

みんなでナイショ話をしていると、Friskちゃんのお姉ちゃんのLilyちゃんが来た。

 

「おっ、何々、ナイショ話?私にも教えてー」

「だめー!」

「えー」

 

べつにおこったりせずにわらってLilyちゃんは「仲間はずれにしないでよう」と言った。

 

「仲間はずれじゃないもん!」

「これはみんなのナイショだから話せないだけだよ!」

「あらら、そっかー、じゃあいいや」

 

でもなんかやるなら怪我したりしないようにしてね、とわたしたちに言って、Friskちゃんの頭をそっとなでた。

 

「Friskも関わってるなら怪我しないようにね」

「うん」

 

そういってLilyちゃんは出ていった。

 

 

ここでLilyちゃんに話しておけばよかったのに、とだれかが言ったような気がした

 

――――――――――――――――――――――

【Lily】

 

なんかいつの間にか孤児院に馴染みまくってた件について。

 

あれか、とある子に勉強教えたからか?なんかそれ以来めっちゃ人が集まるようになったんだけど。まぁ私は前世で高校行ってたしズルしてたようなもんだけどな……

それともあの少年に星座の神話の話したからかな?彼、結局考古学者になるっつって頑張ってたな。

 

まぁそんなこんなで私も19歳。院長さんに無理言ってここで雇ってもらえることになった。周りにはボランティアって言ったけど、まぁマジでボランティアみたいなもんだしね。

 

それから、フリスクのクラスでちょっと怪しい動きがあった。なんか企んでるっぽいんだけど……これまさかエボット山に行くフラグじゃないのか?

……マジで外れてることを願うけど、一応準備しとくか。

――――――――――――――――――――

【Girl】

 

どうしてこうなっちゃったの?

 

わたしたちは孤児院にむかって走る。ヒミツの抜け口をくぐって走る。

 

どうしよう、先生になんて言おう。Lilyちゃんになんて言おう。

 

 

Friskちゃんが帰ってこないなんて。

 

 

 

 

 

 

あのあと、みんなでくじをつくって二人組を作ろうということになって、Friskちゃんはくじで一番最後、それにひとりだけ余ってしまった。

 

「一人でも大丈夫だよ」

 

とFriskちゃんは言って、そのまま決定してしまった。

 

その結果がこれだ。

 

最後にFriskちゃんが行って、何十分たっても帰ってこない。

慌ててゴールのところまで見に行っても、そこにFriskちゃんはいなかった。

 

それで、今先生に正直に話して探してもらおうとして走っているのだ。

 

「……あれ、何してんの君ら、こんな遅い時間に」

 

ふと、よく聞きなれた声が聞こえた。

振り替えってみると、そこには懐中電灯を持ったLilyちゃんがいた。

そこで、わたしは泣き出してしまった。

 

「Lilyちゃぁん………」

「うおっ、どした?何があった!?」

 

わたしはと目を合わせるためにしゃがんでくれたLilyちゃんにだきつく。

 

「ごめんなざいぃ…Friskぢゃんがぁ……」

「………Friskがどうかしたの?」

 

Lilyちゃんは怖い顔をしながらわたしたちの話を全部聞いてくれた。

 

「そっか、なるほどね。朝話してたのはそういうことだったのか」

「う゛ん」

「……それは、自分たちで院長さんに話さないといけないって分かってる?」

「う゛ん……」

「うん、それならよし」

 

Lilyちゃんは立ち上がって頭をなでてくれた。それから、どこかにいったと思ったらリュックを背負って帰って来た。

そして、わたしたちを真っ直ぐに見て、指示をだした。

 

「君たちは今すぐ院長先生を叩き起こしてでもいいからこの事を話すこと。それから、Friskは私が捜しにいくと話すこと。あと、この事は公……孤児院の子以外に誰にも話さないでほしいことを伝えること。いいね?」

「え、でも……」

 

それって、Lilyちゃんも帰ってこれなくなるんじゃ、とわたしは思った。

 

「大丈夫だよ、絶対に帰ってくるさ」

 

そういった後にボソッと何かを言ったような気がしたけど、聞こえなかった。

そして、安心するいつものえがおでわらった。

 

「さ、院長先生に言いに行きなさい」

 

そういってLilyちゃんは背負っていたリュックを背負いなおした。

 

「それじゃ、いってくるね」

 

そういうとLilyちゃんは孤児院を抜け出していった。

わたしたちも、言いにいかないと。

例え重いバツが待ってても、仕方ないと覚悟して。

――――――――――――――――――――――――

【Lily】

 

嫌な予感が見事に当たった。誰だ肝試しとか考えたやつ。おい少年よお前か、殴りはしないけど。

一応準備しといてよかったよ、本当に。別に入れるものなかったけどな。ノートと一応カッターとあとはポーチだけ。

取り敢えずなだめて自分たちで言いに行かせた。自分たちで言わないとだめだからねこれは。

さてと、行きますか。

 

 

 

 

うちの可愛い妹を『Player』になんざやるかよ

 

 

 

 

私は決意で満たされた。……ような気がした。


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