これからも本作品をよろしくお願いします。
*たくさんの人が見ていてくれている事を知り、作者は決意で満たされた。
【Lily】
リアルブーブークッションがなんでかツボに来ました、どうもリリーです。
笑いすぎでサンズもポカーンとしてるしね!ただの変人だよこれ。……身長はフリスクよりちょっと背が高いくらいか。
「ひー、ひー……ごめん、笑いすぎちゃったね。私はリリー、この子の姉さ」
悪いヒューマンじゃないよ!という意味を込めて息を整えてから笑顔で握手を求める。
はっとした様子で我に返ったサンズは私の事を疑心を込めた目線で見ながら私の手を握った。
「というかブーブークッションって……懐かしいネタ知ってるね君」
「……知ってるのか?」
「昔仲良かった子にやられた事があるんだよ。うわ、懐かしいなー」
小学生ぐらいの時に一回ね。いやー、あの時は今より爆笑した記憶があるよ。
「……とにかく、お前等、人間だろ?そりゃまた愉快だ」
あ、話が本筋に戻った。というか結構いい声してんな。
愉快だ、と言った時に一瞬目が反らされた気がした。
「
……今俺って言ったな。という事はこの世界は非公式日本語版、もしくは英語版だってことは確定だな。
「よろしくね。……あ、呼び捨てで呼んでいい?」
「ん?別に構わないぜ」
一応許可を取っておく。……私を警戒するって事は、少なくとも一回は
「ところで、サンズはどうして此処に?」
「あぁ、俺はここで人間を見張ることになっているんだ。でも……まぁ……捕まえようとまでは本気で思っちゃいないさ」
ゲームと同じようにニヤニヤというような笑み(?)を口元(スケルトンだから歯か?)に浮かべながらサンズはそこで言葉を切る。
捕まえる気はないと分かった瞬間、フリスクはほっとしたように肩の力を抜いた。
「だが、俺にはパピルスっていう兄弟がいてな……あいつは熱狂的な人間ハンターなのさ。」
サンズがそう続けると、フリスクの肩にまた力が入る。……画面越しのじゃなくて現実のパピルスか、どんなモンスターなんだろう?
「多分、今も向こうにいると思うんだ」
「え?隠れないとヤバいんじゃないのか?」
「あぁ、だからいい考えがある。その門みたいなのを通り抜けるんだ」
思わず声を出すと、サンズはそう言った。
「これはパピルスが作ったんだが、足止めにはどうも大きすぎてな」
そう言って私達を先導する。……あ、マジで都合のいい形してんなあのランプ。フリスクの身長ぴったりってどういうことなの……。
「急げ、あのちょうど良さそうなランプの影に隠れるんだ」
「私は?」
「……お前はあの小屋に隠れてろ」
「はーい」
フリスクがランプの影に隠れたのを見届け、私も見張り小屋の中に滑り込み、カウンターの影に隠れて様子を伺う。……あ、そういやこの裏にカメラあったっけ、と思って振り返ってみると、あった。こちらを見るカメラが一台。取り敢えず手を振っておいた。
ざくざくざく、と誰かが歩いてくる音がして前を向くと、赤いスカーフを巻いた背の高いスケルトンが現れた。
……あれが、現実のパピルスなんだ。
「よぉ、兄弟」
「なーにが『よぉ、兄弟』だって?」
…へぇ、こんな声してるんだ。
画面越しではなく、現実で彼に会えた事に少し感慨深くなる。
「あれからもう八日も経ってるというのに…お前のパズルは、未完成じゃないか!」
呆れたような、怒っているような声でパピルスは続ける。
「様子を見に来れば持ち場を離れてほっつき歩いてて!一体何をしてたんだ?!」
生真面目だなぁ、と思いながら会話に耳を傾ける。
「ランプを眺めてたんだ。最高にクールだぜ?お前も見たいか?」
「なわけあるか!!そんな事に時間を使う暇はない!!」
おい、拒否したからいいものの下手したらフリスクが居ることバレる発言すんじゃねーヨと思いながらジト目でサンズを見ておく。
「もし人間がここを通ったらどうするつもりだ!?!」
ここに居ますけど、と心のなかでツッコミを入れておく。
「俺様は準備がしたいのだ!!俺様は!絶対に!人間を捕まえるのだ!」
地団駄を踏みながらパピルスはそう言いきった。……『殺す』じゃなくて本当に良かった。
「そして!このグレートなパピルス様は……」
キリッとポーズを決めながら彼は自分の野望を口にする。
「全てを手に入れてやる!!」
……あれ、風吹いてないのにスカーフが靡いてるんだけどどういうこと?
余計なことを考えながら様子を伺う。
「尊敬の眼差し……賞賛の嵐……ついには王国騎士団の一員となるのだ!」
チラリとサンズのことを盗み見ると、私に向ける疑心の籠った眼差しではなく、暖かい眼差しをパピルスに向けていた。
……あぁ、やっぱり彼はパピルスが大好きなんだな、と思わされた。
「みんなからは、友達になってくれと、頼まれ?毎朝の目覚めにはキスのシャワーを浴びるのだ」
「へぇ……」
美女に囲まれてハーレム状態になっているパピルスを思い浮かべて苦笑する。ゲームの時から見てる私からすれば真っ赤になって照れている彼しか思い浮かばなかったからだ。
「じゃあこのランプが助けになってくれるだろうな」
この骨一発殴ってやろうか。さっきからフリスクが見つかりそうな発言しやがって。
「サンズ!!さっきから何を言ってるんだ!このぐうたら骨!」
……ぐうたらではないぞ、パピルス。その発言だけは心の中で訂正させてもらう。
確かに君が生きている今はぐうたらに過ごしているけれど、本当は誰よりも君を愛しているんだ、と言いたかった。
「座って油売ってばっかりで!どんどん怠け者になってるじゃないか!!!」
……怠け者になったのは
「おいおい、俺だって骨身を削って仕事してるんだぜ?骨だけにな」
「サンズ!!!!」
ツクテーン、とマジで効果音が鳴ったのに驚きつつ、リアル骨ギャグにちょっと吹き出しそうになる。
「おいおい。お前笑ってるじゃねぇか」
「だが、そのギャグは嫌いなのだ!」
矛盾ェ……と思いながら笑いを噛み殺した。
「ハァ……なぜこんな素晴らしい俺様が……名声を手に入れる為にこんな苦労しているのだ……」
「まぁ、お前も働いてばっかいないで、そろそろ…骨を休めた方がいいぜ?」
またツクテーンとなった。どっから流れてんだコレ。
「んぐっ!!!……俺様はパズルの作業に戻るが……お前も怠けてばっかいないで、自分の仕事にもう少し、「コツコツ」取り組めよ!!!!」
骨だけにってか。やかましいわ。
「ニェッヘッヘッヘッヘッヘッヘッ!!」
そう高笑いをあげてパピルスは来た道を戻っていった。
「ヘッ!!」
と思ったらわざわざ戻ってきて鼻で笑って行った。
「………よし、もう出て来てもいいぞ」
パピルスが遠くに行ったのを見計らって、サンズはそう声をかけてきた。
カウンターを越えて雪の上に立った。
「行きな。あいつが戻ってくるぜ……それともまた俺のイケてるジョークを聞きたいか?」
フリスクは首を横に振って、それからサンズに頭を下げた。サンズは少し目を丸くして、それから私を見る。
「ジョークは遠慮するよ。誤魔化してくれてありがとうね。……あ、そうだ。フリスク、ちょっと先行ってて?」
「?うん」
フリスクが先に行ったのを見送ってから、私はリュックを漁って研究ノートを出した。
「これ、目を通してくれないかな」
「……?これは?」
「まぁ、読んでくれれば解るよ。お願いしていい?」
サンズはノートと私を交互に見て、少し考える素振りをしてからノートを受け取ってくれた。
「ありがとう。それじゃ、またね」
私はそう言ってサンズに背を向け、先に行ったフリスクを追いかけた。
「……なぁ、俺の頼みもちょっと聞いてくれないか?」
追いかけようとしたところに声をかけられる。……あ、これ原作のセリフか。
「いいよ、何?」
振り返ってサンズを見る。
「最近……兄弟の元気が無いようでな。あいつは人間を見たことがなくてな。お前さんを見ればはしゃぐかもしれない」
まぁ、そんな簡単に人間落ちてこないしね、と思いながら話を聞く。
「心配するな。あいつは危険なやつじゃない。……本人はそう思ってないだろうけどなよ」
「あはは……」
苦笑を浮かべておく。
「分かった、妹にも伝えておくよ」
「感謝するぜ。俺は先に行ってる」
「はいよ、またね」
今度こそ振り返ってフリスクを追いかけた。
※8/31加筆修正