守りたいもの   作:行方不明者X

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※流血表現注意

※自分で書いてて胸糞悪くなったのでご注意ください


108.闇を打ち消す光

【Lily】

 

【が、ぎゃああああああァァァァァァァァァァ!!!!!!????】

 

――――――バケモノの、断末魔が響いた。

 

【そんな……いやだ!!! こんなことあってたまるか!!!!】

 

傷だらけのバケモノが、現実を否定するように叫ぶ。

 

【お前………オマエ………】

 

そこで、憎々しそうに歪んでいたバケモノの顔が、嘲笑うように歪んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FILE1 LOADED.

 

 

――――………()()()()()

 

()()()バケモノに向けてナイフを構える。そのバケモノの顔が、嘲笑うような顔になっているのに気が付き、言い様のない違和感を覚えた。

…………何かが違う。違う、そんな筈がない。最初からこうだった。じゃあ、一体何が……

 

「―――――…………そん、な………嘘でしょ……?」

 

ナイフの切っ先を向けていた筈のフリスクが、絶望したような顔をする。まるで、やっと倒した筈の相手が、完全復活したような……………

 

「!!!!!!」

 

そこで、違和感の正体に気付く。

 

 

()()()バケモノ。

 

フリスクが絶望するような出来事。

 

そして何より、見覚えのある、嘲笑う表情。

 

 

まさかとは、思いたいけど。それでも、これは、これって………!!!

 

「…………『巻き戻(Load)された』のか……!!?」

 

バケモノの顔が、歪む。

 

【ばーか。】

 

動揺した一瞬の隙を突かれて、蔦が巻き付けられる。

 

「しまッ……!!!?」

「お姉ちゃん!!!!」

 

抵抗が出来ないほどきつく締め上げられ、そのまま宙吊りにされてバケモノの傍に連れていかれる。

 

【見ててね、Chara。きみの枷から、解き放ってあげる!】

 

 

至近距離でバケモノはにっこりと笑い、

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

FILE3 SAVED.

 

 

何をするのか察知した私の無様な懇願も聞かず、

 

 

ゴウッ

 

 

一瞬で、フリスクを焼き払った。

 

 

「………………あ、あ」

 

 

肉の焦げたような臭いが、充満する。

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

何をするのか察知した私の無様な懇願も聞かず、

 

 

ザシュッ

 

 

蔦で、フリスクを貫いた。

 

 

「……………あ、あ」

 

 

びちゃ、と赤い飛沫がまって、物言わぬ人形になってしまう

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ハッとする。

 

 

この台詞を叫ぶのは、三回目だ。

 

 

ゴウッ

 

 

フリスクが焼かれる。

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

………この台詞を叫ぶのは、四回目だ?

 

 

ザシュッ

 

 

蔦が貫いた。

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ゴウッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ザシュッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ゴウッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ザシュッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ゴウッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ザシュッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ゴウッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

「やめ、やめて、たのむ、やめてくれ!!!!!」

 

 

ザシュッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

ゴウッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

ザシュッ

 

 

FILE3 LOADED.

 

 

ゴウッ

 

 

FILE3 LOADED.

ゴウッ

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ザシュッ

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ゴウッ

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ザシュッ

FILE3 LOADED.

ゴウッ

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ザシュッ

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ゴウッ

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ザシュッ

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ゴウッ

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ザシュッ

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ゴウッ

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ザシュッ

FILE3 LOADED.

ゴウッ

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ザシュッ

FILE3 LOADED.

ゴウッ

FILE3 LOADED.

ザシュッ

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ゴウッ

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ザシュッ

FILE3 LOADED.

ゴウッ

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ザシュッ

FILE3 LOADED.

ゴウッ

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ザシュッ

FILE3 LOADED.

ゴウッ

FILE3 LOADED.

ザシュッ

 

 

蔦で貫かれたフリスクが、蔦が消えると同時に赤いものを貫かれた箇所から噴き出しながらその場に崩れ落ちる。

 

 

赤い何かが、傷付いた妹を中心に広がっていく。

 

 

「……………あ、あ」

 

 

目の前の景色が、ゆっくりと流れていく。

 

 

【あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!】

 

 

勝利を確信した狂った笑い声が、耳に届く。

 

 

目の前で起きていることを受け入れるのができない。

 

 

だって、あれは、あの、あかいのは、ああぁ、あ

 

 

 

 

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!!!????」

 

 

あかいものがなにかをりかいした

 

 

あれは

 

 

ち 血だ

 

 

「フリスク、フリスク、フリスクゥうううう!!!!!!」

【ああ、ちょっと、暴れないでよChara!! 落ちちゃうよ!?】

 

 

からだに巻き付いている何かをぶちぎろうと、あばれる。

 

 

はやく、はやくいかなきゃ

 

 

じゃなきゃ、フリスクが

 

 

フリスクが

 

 

しんで

 

 

「う、ぐ、うう………」

 

 

フリスクが、身動ぎする。ナイフをにぎって、たちあがろうとする。

 

 

「フリスクッ!!!!」

【………何、オマエ。まだ立ち上がる気なの?】

 

 

バケモノが呆れたような顔で、言う。

 

 

【仕方ないなぁ、このぼくが現実を教えてあげるよ】

 

 

FILE5 SAVED.

 

 

その瞬間、ぼろぼろフリスクを、白い種が囲む。

 

 

【オマエは本当にぼくのことを……倒せるとでも思ったのかい!?】

 

 

嘲笑うように、バケモノは言う。

 

 

【ぼくはこの世界の神様だ。………で、オマエは? ただのちっぽけな人間だろ?】

 

 

バケモノを睨み付ける。蔦から逃れようと、もがく。

 

 

【オマエには絶望しかない。絶望と孤独………そう、その通り!!!】

 

 

バケモノのテレビの画面に砂嵐が走り、見覚えのある顔を映し出す。

 

 

【オマエの無価値なオトモダチは………オマエを救えやしない】

 

 

その発言を聞いて、バケモノに殺意が湧く。

 

 

「てめぇ………!!!! フリスクの旅路を否定するな……!!!」

【………Chara、ちょっと黙っててよ】

「が、ぐっ」

 

 

煩わしそうにそう言われ、巻き付く蔦の力が一層きつくなる。体が締め付けられ、悲鳴をあげる。

 

 

【助けを呼んでみればいいさ!! この真っ暗闇に向かって!!】

 

 

バケモノは嘲るように言う。

 

 

【『ママーッ! パパーッ!』『誰か助けて!』って!!! 来てくれると願うといいさ!!】

 

 

嘲笑う声が響く中、フリスクの目の前に『ACT』が出現する。

ボロボロに傷付いた腕を、やっとの想いでフリスクは伸ばし、触れる。

 

 

You called for help(あなたは助けを呼んだ).

 

 

パタリと、腕が地面に落ちる。空気が、しんと静まり返った。

 

 

【………し か し 誰 も 来 な か っ た】

 

 

にんまりと嗤い、バケモノが静寂を裂いて言う。

 

 

【わあ! 残念でした!】

 

 

バケモノはフリスクの行動を無意味だと嘲笑い続ける。

 

 

【だーれも………オマエの死に様を見てくれないだなんて!!】

「!!!!!!」

 

 

次に、何が起きるかを察す。

 

 

白い種が、ゆっくりと動けないフリスクに向かっていく。

 

 

「やめろォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

 

 

何度足掻いても、蔦はほどけず、フリスクの傍にいけない。

 

 

口から何とも情けない懇願だけしか出てこなかった。

 

 

――――――………あぁ、わたしは………

 

 

【あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!! あーッはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!!!!! これで、この世界は、Charaはぼくのものだ!!!!!!!】

 

 

 

 

 

 

―――――だれも、すくえない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しゅうっ

 

フリスクに向かっていた種が、フリスクの体に溶けて一体化する。

 

 

みるみる、フリスクの傷が癒えていく。

 

 

【………………は? どうやって………?】

 

 

本来なら有り得ない現象を目の当たりにし、バケモノは唖然として言葉を漏らした。

 

 

【まあいいや、どうせまた………】

 

 

LOAD FAILED.

 

 

バケモノが何処からか遠くを見る。その顔が驚愕に染まっていく。

 

 

【な………力が使えない!?】

 

 

ヒュンッ

 

 

バケモノが狼狽え始める中、何かが空を切る。

 

 

ブツッ

 

 

「………え」

【なっ………!!?】

 

 

気付けば、体に巻き付いていた蔦が、バラバラに切られていた。

 

 

ぽすっ

 

 

自由になったことによって落下していた体が、誰かに受け止められた。

 

 

顔を上げれば、黄色い人影の顔が見えた。

 

 

カウボーイハットを被ったその人影に、見覚えがあった。

 

 

「………きみは、正義の………?」

 

 

私が思わずそう呟けば、その幻影がにっこりと微笑んだ気がした。

 

 

【何だ!!!? い、一体何が、】

 

 

そのまま正義の人影に抱えられ、戸惑った表情で立ち上がったフリスクの傍にまで運ばれ、降ろされる。

 

 

「お姉ちゃん!!!」

「フリスク!!! あぁ、よかった…………」

 

 

お互いに強く抱き締め合う。人肌の暖かい温度が服越しに伝わってくる。その事実が、心を安堵させていく。

 

 

――――――――良かった

 

 

誰かの声が響き、ハッとして正義の人影の方を見る。その人影は、微笑んでいるような気がした。

 

 

――――――――あとは、ぼくたちが

 

 

その声が響いた瞬間、黄色の人影は消え、その代わりにバケモノの周りに見覚えのあるハート達が現れた。

 

 

【ソウル……? 何してんだよ!!?】

 

 

自分が完全に従わせた筈のソウル達が現れたことにバケモノは驚愕し、怯えたような顔になる。

 

 

【ま、まさか、お前ら、今までみたいに………!!!!?】

 

 

これから起きることを察したらしいバケモノが、そう叫んだ瞬間だった。

 

 

ソウルが、バケモノを囲んで回りだす。

 

 

【そんな!!!!!! いやだ!!!!!!】

 

 

バケモノが、今度こそ本当に苦しみ出す。

 

 

【こんなの有り得ない!!!!!! ぼくに服従した筈なのに!!!!!】

 

 

現実を否定しようとする絶叫が、闇に響く。

 

 

【やめろ!!! やめろよ!!!!!!】

 

 

バケモノの体が、光を放ち始める。

 

 

その眩しさに、咄嗟にフリスクを抱き締めて自分の体で隠し、目を瞑った。

 

 

 

【やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!】

 

 

バケモノの絶叫が響く。

 

 

そして、全てが真っ白な光に包まれた。


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