ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

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《ここに地下迷宮の息吹》


第62話

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろう62

 

「あれは、いなづまちゃん?」

 

主神ロキに勢いで置いてきぼりにされたレフィーヤは、することもないので部屋を出てアイズを探すことにした、が先にさっきまで一番気になっていた少女ー尤も少女というのは外見的な話であってその実力その他諸々一少女に収まる者ではないーを発見する。

 

「……あれ、立ったまま寝てる?」

 

レフィーヤから見えているのは背中だけだが、同じところで立ったまま時々ふらつく様子はどうも寝ている様にしか見えなかった。

 

ロキさんが部屋を出てから大して時間が経っていない中で立ったまま寝るいなづまちゃんがいるということは、ロキさんは本当に寝てしまったのかもしれないです。

 

まあ本当は私が心配するようなことでは無いですけど……実力としては師匠なだけあって次元が違いますし。まあ、少なくとも外見的に今まで知っていた第一級冒険者の皆さんと全然違う印象が強いのでどうしても気になってしまうというところでしょう。

 

「いなづまちゃん?」

 

「……なのです。」

 

レフィーヤの声に反応して半目を開きなんとか語尾だけをひねり出した後、いなづまちゃんは再び謎のバランス感覚で立ったまま寝る作業に戻ってしまいました。やっぱり寝てるんですね。

 

「あれ、電と……レフィーヤ?」

 

「アイズさん!」

 

ちょうど良いというか何というか当初の目的だったアイズさんが通りかかる。私は探しても中々見つけられないアイズさんも、アイズさんから探して貰えるいなづまちゃんならすぐ見つけられるんでしょうね。ずるいなぁ……なんて言うと大人げないですけどね。

 

「寝てるの?」

 

「みたいです。」

 

「……疲れたのかな。」

 

さも当然かのようにいなづまちゃんを背負ったアイズさんが漏らす。ファミリア内、特に第一級冒険者の間でのアイズさんは頼れる側面よりもおっちょこちょいともとれる行動が目立ちますが、今この瞬間は私が憧れた頼れるお姉さんでした。

 

「……(アイズ……お姉ちゃん)、あっ。」

 

「ん?」

 

「え、いやなんでもないです。」

 

思わず口を塞ぐがアイズさんには幸いにして聞こえていなかったらしくなんとか誤魔化す。別に聞かれても困るものではないですがやっぱり恥ずかしさが先行してしまいますね。あー、いつか正面から言ってみたいです。やっぱり妹慣れ(?)してるいなづまちゃんはずるいです。

 

なんでそんなに簡単に"妹"になって、アイズさんの内側に入り込んじゃうんですか。受け入れさせちゃうんですか。

 

「……別にレフィーヤが好きな呼び方で私を呼べば良いと思うよ?可愛い妹が多いに越したことはないし。」

 

「え?」

 

え?

 

「ん?いや、私の聞き間違いならそれはそれでいいんだけど。」

 

「き、聞こえてたんですか?」

 

「あ、うん、うん。そ、そう。それはそう。」

 

何故か気恥ずかしさがアイズさんにも伝染ったようで、少し口籠もるように返事が返ってくる。なにか思うところでもあったのでしょうか。まあかわいらしさがドバドバなのでよきよきみたいな感じですが。あれ、私の語彙力なさ過ぎ……?

 

----

 

「あ、うん、うん。そ、そう。それはそう。」

 

多分冒険者になって戦いに身を投じるようになってから上位一桁に入る緊張が私の中を駆ける。実は聞いていなかったのだ。"聴いて"はいたんだけど、聞いてはいなかった。どういうことか伝わるか分からないけどそういうこと。

 

「……考えておきます。」

 

目をそらしたレフィーヤの小声に妹力の片鱗を見る。やっぱりかわいい。まだ電ほど妹力はないけど間違いなく素養はある。

 

「うん、それじゃ……おやすみ。」

 

「おやすみなさい!」

 

やっぱり妹は良いものだ。でも、レフィーヤもおねえちゃんって呼んできたら……どうしよう。私爆発しちゃうかも?




分割1話終わりです。
やっぱり週末に投稿できてないじゃないか!!
今後もベストエフォートで頑張りますね。

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