ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

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《ここに地下迷宮の息吹》


第61話

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか61

 

「レフィーヤ、それじゃあ始めようか。」

 

神ロキがアイズを解放して次にステータスの更新に呼び出したのはレフィーヤだった。電ではなく。

 

「あの、電ちゃんは後回しで良いんですか?」

 

「あー、それはやな……レフィーヤが先の方がええんやないかなって直感でな。」

 

朗らかに笑ってそう言うロキの表情からレフィーヤはその真意をくみ取れずにいた。何故レベル5の電よりも先にレフィーヤのステータスを更新する必要があるのか。直感という最大限にぼかした表現の意味はなんかのか。そんな疑問を飲み込めというロキの気持ちは大凡伝わらず、結果的にレフィーヤは首をかしげるだけに終わる。

ロキはまあたいした問題ではないと話題を本命に戻すことにする。意思の伝達が楽なのはいつも人から神への一方通行なのだ。神の意志は開けっぴろげない限り人の子らはその気持ちの重ね合わせも能わない。

 

「まあまあ、取り敢えずそこ座っていつも通り服はだけてな。」

 

「は、はい。何度やってもこればかりは慣れませんね……。」

 

ロキの指示にレフィーヤは少し照れを含ませながら答える。

彼女は誇り高きエルフなので服はどんな季節でも露出が控えめで、更に言えば変に着崩すようなこともこのときを除いてはしない。三つ子の魂百までとも言うがまさにそういうことなのだろう。

 

「むむ、お……ランクアップ可能やな。」

 

「へぇ、ランクアップ可能ですか、え?」

 

あまりにも軽く言うロキに釣られ掛け聞き流そうとしたレフィーヤだったが、よく考えればかなり重要な内容であって思わず聞き返す。

 

「せやで。ただ伸びしろがあるからまだランクアップはせえへんほうがええな。」

 

時々と言って良いがランクアップは保留にすることがある。”偉業”の蓄積がステータスが伸びきる前に終わることがあるのだ。偉業は蓄積するという事実が現実として現れる数少ない例である。

 

「それじゃレベルは据え置きってことですね。」

 

「まあ、せやな。まあ現状護身は問題ないし、頼りになる仲間も居る。焦らなくてもええからな。それじゃまた明日。ウチはちと疲れたから寝るわ。」

 

レフィーヤは自身の境遇が恵まれたものだと改めて認識し、ロキはそれだけ言ってレフィーヤの軽く頭をなでるとその場を立ち去る。そうして出来上がったどうしてか誰も居ない部屋にただ取り残されたレフィーヤは一人ごちた。

 

「あれ、結局電ちゃんのステータス更新は?」

 

頭の良さが裏目に出て気になった事象に気をとられていたり半分くらいの優しさが漏れていたりすると噂されるレフィーヤは、自分の置いてきぼり感よりも師匠の一人のステータス更新が気になっていた。




分割1話中編です。過去の自分が無責任にも期限に投稿するといっていたのですが間に合いませんでした。。。さあ自分、次は頑張るのです。

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