ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているのだろうか50
ルルネは途中まで居心地の悪そうにもぞもぞとベートの背中の上を動いていたが、とうとう疲れからか微かな寝息を漏らすだけとなった。落ち着いた事を僥倖にベートは更にスピードを上げる。モンスターを振り切るのに十分どころかまともなモンスターなら認識する前に通過する早さにもかかわらず、いくらかのモンスターはベートを執拗に追いかけている。
「……どうなってやがる。」
追っ手が自分の見えないところから追撃を仕掛けてきている。そうとしか考えられない状況だがベートは追っ手を排除できない。ベートの戦闘スタイルではルルネを背負ったままで居られない。でも何も無しに地上に出ることは危険だ。相手はレベル5に直接視認を許さない上でこの攻撃を行っている相当の実力者だろう。気づいてもなお有効な手立てを打てないのはベート・ローガが"誰かを守ることに弱い"という事実を十分に補強していた。そんな彼だがふと思う。
そんな実力者と事を構えるなんて、依頼主も無茶するよなぁ。実際の相手がこの追っ手そのものじゃなくてもこれだけの
「うぅ……すぅ。」
誰よりも早く走り全身を揺らすベート・ローガの背中は決して寝心地がいいわけでは無いだろう。さらに当然と言うべきかルルネの姿勢は寄生先のベートの姿勢によっても微妙に変わる。両腕でしっかりと首を覆うように抱きつく彼女の鼓動は、呼吸はゼロ距離で接するベートにも嫌なほどに伝わってくる。"運命共同体"、そんな言葉がベートの脳裏に浮かぶ。そしてその吐息にくすぐったさを思い出さざるを得なかった。
「俺は、負けないからな、絶対に。」
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「……誰?」
「名乗るときは自分から名乗るものなのです。」
無骨な格好と
「……名乗るような
「…………嘘は良くないですよ。真名の有無は聞いていないので。」
仮面の向こう側でわずかに目を見開く相手をよそに、火を入れられた艤装の機関は静かに眠りから醒める。
「……まさか、
「まさか、そんなことあるわけないじゃないですか。カマ掛けただけですよ?」
正体不明は右手を顔に掛ける。本当に仮面を取るような動作に電の胸のざわめきがより深まっていく。そのときふと思い出した。ルルネ・ルーイは何を言っていたかを。
えっ、いや、そんな……嘘ですよねっ?まさか、
「……まあ
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その
お仕事忙しすぎて予定より遅い上にまた分割します(爆死フラグ)。あと今週末の更新はお休みさせていただきます。7月第3週日曜日にめっちゃ更新しますのでよろしくお願いします。