ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

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《ここに地下迷宮の息吹》


第47話

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか47

 

絶壁の上に広がる土地を覆うように発達した冒険者らの街、ギルドの目が届かないダンジョン内で、治外法権的な地位を確立する不思議な場所。その入り口付近にロキ・ファミリアの精鋭一行は到着していた。

 

「手作り感がすごい……。あと334って……。」

 

「前の遠征のときは殆ど滞在しなかったし、特に話をしたこともないから知らないかもしれないが、この街は時々破壊されているんだ。安全地帯(セーフポイント)とはいえ、ダンジョンにイレギュラーは付きものだからな。過去に300回以上モンスターなどのイレギュラーで破壊され破棄されてきたんだ。」

 

「今もイレギュラーじゃない?入り口に武装した冒険者が立ってるのは初めてだよ?」

 

「まあ、そうよね……。」

 

レフィーヤの手作り感発言にはアイズも苦笑を漏らしたが、この入り口の出来にはレフィーヤに同意せざるを得ない。電は鎮守府祭の入り口と同じくらいの作りに見えると思っているし、ほかのメンバーも似たようなことを思ってはいたが、限りなく意見が一致したのはアイズとレフィーヤの間だけだったかもしれない。

 

と話が逸れてしまったが目下の問題は街には入れるかどうかである。もし入れなかった場合は……?

 

「すいません、リヴィラの街は只今出入り口の封鎖を行っていまして、基本的には出入りともに出来ない状態です。」

 

「何かあったのですか?」

 

警備にあたっている冒険者にアイズに隠れて脇から顔を出したいなづまは真っ先に聞きづらそうな内容を切り込む。見た目というのは結構重要な要素で、大人や名の知れた人が聞くよりも子供が聞きに行った方が角が立たない事がある。当然逆も存在するが今回はそうではないと考えたのだ。

 

「いや、あの……。うーん、事件があって、犯人が逃走する前に街を封鎖することになったのです。」

 

「事件ですか、(ふぇ、もうなのです?)

 

「あ、あの!」

 

子供に聞かせづらい内容なのか口ごもる冒険者、膠着する雰囲気。そんな空気感の中、警備の後ろ側、言い換えれば町の方の大通り、そこに現れたのは犬人(シアンスロープ)の少女。

 

「な、なんだ。脱走か?」

 

「こ、殺される、殺されちゃうの!」

 

「ど、どうしたんだ。」

 

え、どういうことなの?アイズが首をかしげ、電も若干の"混乱"を患い、レフィーヤはあまりの悲痛な叫びに半歩後ろに下がる。静まりかえった絶壁の上、そこには獣人の少女の乱れた呼吸だけが妙に響いていた。まだ日は落ちない。そんな中でも、迷宮の楽園(アンダーリゾート)の夕暮れは確実に近づいていた。




今回で分割1話は終わりです。どこかで良い感じの閑話を書いて清算しないといけないんですが、内容まで思いついても2.5千字でちょうど良い読み切り閑話を書くのも難しいものです。(前回の分割1話分の残りと併せて3話分、出来れば定期更新外で書くつもりです。)
今回は明日も投稿するため大変短いです。よろしくお願いします。
追記 2018/6/13
設定ミスや読み直しで全然書き進んでいないので先に閑話を何本か書き上げて投稿します。

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