ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか   作:もんもんぐたーど

40 / 63
《ここに瑠璃溝隠を発見》
《ここに魑魅魍魎を投下》


番外1

ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているのだろうか 番外1

 

ーギルドと新人冒険者

 

「なんで今更ギルドに?」

 

「なんか薬草からお薬を作るときは申告が必要らしいのです。どうも密造して薬を目的外に使ってる人が居るみたいで……。」

 

私といなづまはちょうど休暇で、いなづまが出掛けるというのでついて行くことにしたところだった。いなづまはその出自の特殊性から全ての処理をロキに丸投げしていたが、薬事取り扱い?だけは自分で処理しないといけないらしい。

 

「目的外?」

 

「んー、まあ怪我とか病気でも無いのにお薬を使うことなのです。薬一つとっても飲めば良いってものではないので具合が悪化したり死んじゃうこともあるのです。」

 

「へぇ……。それじゃ行こうか。」

 

「なのです。」

 

正直あんまりわかってないけど、戦闘から糧食から薬のことまでカバーする妹ってすごく強いよね。とりあえず困ったらいなづまに聞けばいいことはわかってるから大丈夫、だよね?というか、どんな人が何も無いときに薬なんて飲むんだろう。あんなに苦かったり痛かったりするのに。

ーーーー

「えっと、新人冒険者の、いなづまさんですよね?」

 

「そうなのです。何か、有りましたか?」

 

窓口のところで背伸びして受け答えをする電は微笑ましいものが300パーセント。届いてるのに背伸びしちゃういなづまが可愛すぎる問題は解決困難、いや解決しなくてもいいと思う。

 

「新人講習はお受けになられましたか?」

 

「えっと、初めて聞いたのです。」

 

新人講習?えっと、どういうこと?いや、新人冒険者であるにはあるんだけど、ね?

 

「えぇ、ダンジョンに潜ったことは?」

 

「ふつうに有るのですが、」

 

それはまあ、私とダンジョンアタックしてるし一人で薬草を収集しに行ったりもするから平均3日に2日はダンジョンに潜ってる。いなづまも私のことを手放しに批判できない程度にはダンジョンにいるけど、諸事情があるので仕方ないのですと頬を膨らませるいなづまも大変可愛かったなぁ。

 

「えっ、どこまで、ですか。」

 

「一人では三十七階層、お姉ちゃんとなら四十階層までなのです。」

 

「……え?」

 

「え?」

 

ハーフエルフの受付嬢さんといなづまは向き合って首をかしげる。受付嬢さんも美人さんが多くて、来る度にロキが鼻の下を伸ばすんだけどこの受付嬢さんも例に漏れずといった感じに美人さんでいなづまと首をかしげるのもなかなか良いものがある。ただ二人で止まってて周りの職員にじろじろ見られているのは一寸頂けない。独占欲が出てきてしまう。

 

「あの、何か問題ありましたか?」

 

「あ、アイズさん!?いや、あのこの子がまだ新人講習を終えてないのに深層まで潜ってるって。」

 

「それ、私と潜ってるんです。レベル5、なので。」

 

「なのです。」

 

「ええええ?」

 

このあとしばらく受付嬢さんが使い物にならなかったが無事復帰して事務手続きを完了した。あと信じて貰えなかったことに不満だったいなづまの膨らんだ頬も大変かわいらしかったことを付け加えてく。

ーーーー

ーベートのお使い

 

ロキ・ファミリアで第一級冒険者をやっているはずの俺だが何故か使いっ走りのまねごとをさせられている。依頼人はリヴェリア・リヨス・アールヴ。ということになっているが実際に恩恵にあずかるのは……まあいい。依頼内容は中層から深層付近でのレアドロップの収集。どうもいなづまがその領域のレアドロップを欲しているらしい。何を作るつもりかはわからんがこれだけ深い層のレアドロップを自分で集めることが大変な数使うと言うのはどういうことだ。

もしあの、あれに使うつもりなら明らかに性能過多だぞ。

 

「ベート、どうした。」

 

「ん、なんでもない。」

 

「それにしても、駆け出しに持たせるものにしてはやけにコストが高いのはわかる。」

 

今回は依頼人のリヴェリアとともにダンジョンに来ている。かなり珍しい組み合わせのはずだ。獣人とエルフは仲が良くないからな。ただ、さすがにママと言われるだけ有ってリヴェリアの察しの良さは折り紙付き。そして、ロキ・ファミリアのなかでもかなり常識的だ。

 

「それだ。いくら何でもやり過ぎに見える。ミノタウロスの角で作った短剣でもレベル3までは十分だ。というかバーバリアンの体毛なんて何に使うんだ。」

 

「確かにな。ただ、今はどっちかというと完成品が気になってるがな。」

 

「それは、まあな。」

 

いなづまは高レベル冒険者として考えると非常に常識的だが彼女の常識はオラリオの常識と離れている部分も少なくない。

早さの基準はアイズだし、魔法の基準はリヴェリア、近接戦闘はアマゾネスらだったりする。滅茶苦茶だ。

 

「あの子が何を見せてくれるのか。」

 

これだ。正直踊らされていること自体は気に入らないがさっきの滅茶苦茶さが退屈な日常を刺激的にしているのは間違いねぇ。電が来てすぐの時に1対1で戦ったときは意外なほどにあっさり負けたし、今までアイズの魔法しか乗せたことが無かった靴に初めていなづまの雷を乗せたときはなかなか面白いモンスター討伐になった。

 

「見るには生きて帰らねぇとな」

 

そして俺とリヴェリアは迷宮の孤王に向き合った




今回は番外編です。
後で30から32話の分割1話を統合してそこに差し込みます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。