ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか35
ロキさんに連れられてやってきたのは異様な雰囲気の酒場。力場が一点に沈み込んでいる本当に変な雰囲気です。神の力なしでこの状態を作れる神はそう多くない。神と断定する理由なのです?微弱神気ですよっ。
「よぉ、待たせたか。」
「いえちょっと前に来たばかり。あら、そちらは……」
あ、これ
「初対面やったね。うちのアイズちゃんに新人のいなづまやで。こんな奴でも神やから挨拶しとき。」
こんな奴と言われたその神は美の化身。フレイヤさんですね。へえ、首飾りの効果自体は弱化してるけど露出させなくても効果があるという意味では強いですね、このブリーシンガメン(ブリーシンガルの首飾り)は。
「……はじめまして。」
「初めましてなのです。」
"魂まで酔わされそうな圧倒的な魅力"
お姉ちゃんってなんか時々詩人みたいな感想を漏らすこと有りますよね?何ででしょうね?可愛いので良いのですが。
「へぇ、可愛いわね。それにしてもあなた達にロキが惚れ込む理由がよくわかった。」
あれ?バレてない?私の神気の抑制がフレイヤさんの神気探知を上回ったのです?
「それにしても、どうして
隣で椅子に座ってきにぃっと笑ったロキはやっぱり
「そら、せっかくのフィリア祭やし3人でラブラブデートや。アイズたんに加えてこんなかわいい子供までおるし、行かないなんてないやろ。
それに、放っておくと直ぐダンジョンに潜ろうとするからなぁ。いなづまのお陰で少しまともになってるんやけど……。誰かが止めんと休まんやろうから。」
「……。」
ちょっとだけ目をそらして頬を膨らませるお姉ちゃん最の高では?まさかダンジョンに潜り続けることが不本意みたいな堂々としたすねっぷりですね。かわいいっ。頑張りお姉ちゃんかわいいっ。
「なんでこうなったんやろうか。」
「なのです?」
「ふんっ。」
「あらら。」
少しだけ和気藹々とした空気が広がるがロキはここに緊張感を持ち込もうとしていた。
「ところでフレイヤ。最近自分妙に動き回ってるみたいやけど、男か。」
「……?」
周囲が沈黙に包まれる。お姉ちゃんが黙ってる理由は全く理解できていないだけだと思うのですがそれも良いので良しとします。
「……。」
「白髪、白兎。」
「「えっ。」」
アイズとフレイヤの声が重なる。窓の外には
「強くない、まだ強くないんやけど、綺麗な魂しとるんよな。うちらから見れば何にも無いことこそ全てがあることなんやから、あの子は全てなんや。」
「……。そうね、あの子傷つきやすいかもしれない。目を離すとボロボロになって帰ってきそう。でも、」
「……傷つく度に強くなる。」
フレイヤさんの言葉をお姉ちゃんが続ける。驚きのスムーズさ。初対面だと思えない息の合いよう。
「冒険者が彼の天職やね。周りは冷や冷やするけどな。」
「それを確保した幸運な神は誰かしら。」
「ドチビ……ヘスティアや。ひきこもりの。」
極貧から脱したことでいじりポイントが本質的になったロキさんのヘスティアさん罵倒ですが、本当にヘスティアという神は竈の神なので引き籠もりなのは本当なのです。戦場にはでられないというのが定説で実際表に出てきたことはないのです。
「処女神が?」
「せや、もうしんどくなってきたしウチは二人とのデートに戻るで、ほなさいなら。あと、変なことせんといてな。ほんま。あんたは加減を知らんから。」
フレイヤは苦笑する。天界をひっくり返した本人からそんな言葉を聴くとは思わなかったのかどうなのか。
「ええ、また今度。あと、その言葉そっくりそのままお返しするわ。」
「言っとけ。」
神同士の利害調整とは思えない穏やかな幕引きだった。
「よぉーし、デートやデート。」
「じゃが丸くん、普通のと小豆クリーム味を2つずつ。」
「なのです!」
「花より団子、二人とも若いなぁ。」
はむはむと食べ進めるお姉ちゃんかわいいっ。ロキさんがお姉ちゃんの食べているじゃが丸君をガン見してるけど無視してお姉ちゃんと分け合う。間接キスですね。て、ちょっと気恥ずかしいかも、なのです。
「いなづま、大丈夫?」
「はわわ、全然大丈夫なのです。」
「いちゃいちゃしおって。かわいいなぁ。」