ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているのだろうか24
オラリオの街路を列をなして進むロキ・ファミリアのメンバーに勝手に人混みが割れていく。
オラリオの人口と冒険者数に対して、決して多くない第一級冒険者を何人も推す最大級のファミリアの一角は、中小のファミリアが乱立するオラリオでは尊敬よりも……畏怖や憎悪の明らかな目印になりやすい。
例に漏れずロキ・ファミリアも畏怖の対象であり周囲の冒険者らのつぶやきは尊敬2割畏怖7割よくわからないもの1割である。
「ベートさん、よかったですね。人気者なのです。」
「いなづま、それは皮肉か?」
はて、何のことでしょうか?別に、ベートさんと目が合いそうになった冒険者が、無言で目をそらしているのをどうこういっているわけでは、ないのですが……。」
「おい、口から本音もれてんぞ。」
「はわわ、びっくりしたのです。」
まさかティオナさんに秘密をぶちまける前にベートさんに本音を漏らしてしまうとは……。やっぱり警戒心が薄くなってしまっているのです。もっと気を引き締めて行かないといけないのです。
「はぁ、ところでいなづま。なんでアイズのところじゃなくて俺のところに来たんだ?行き先も違うしわざわざこっちに来るような用事も……」
「あるのです、残念ながら。」
ベートさんが言い淀む隙間に結論を差し込んでいく。決して冗談やおふざけの用事ではないのですが、ベートさんは頭も比較的回転が速くツッコミの切れも滑り具合もいい感じになるので、ついついいじりたくなるのです。
「は?何があるって言うんだ。」
「確か用事を済ませた後は団長命令でミアハ・ファミリアに行くのですよね?その時に一番売れている薬1つと一番安い回復薬を3つほど買ってきて欲しいのです。費用は……これで。」
ベートさんは私が解き放った圧に押されるまま、十分なお金が入った袋を受け取ってくれたのでそそくさと退散する。
「お、おい。」
「それじゃあ、お願いしますね!」
ベートさんから離れてアイズお姉ちゃんの近くに移動する。同じ場所に行くメンバーで固まっていたようでアイズお姉ちゃん、レフィーヤさん、ティオナさん、ティオネさんの4人がいた。私がささっとアイズお姉ちゃんにくっつくと一行の歩みが止まった。
ーギルド正面
「僕とリヴェリア、ガレスは魔石の換金にいくから、ここからは各々予定通りの目的地に向かってくれ。」
フィンさんは丁度ラウルの方を向くと念を押すように一言付け加える。
「換金で得たお金はちょろまかさないでおくれよ?ねぇ、ラウル?」
「あ、あれは魔が差しただけっす。もう、あれっきりです、団長!?」
このあたりはお決まりなのか皆穏やかな様子。フィンさんもにっこり笑って解散を宣言する。でも、ラウルさんって次期団長の最有力候補だったと記憶しているのですが大丈夫なのですか?
「さ 私達もいくわよ!間違っても襲われて道中
「流石に襲われる事はないと思う」
ティオネさんの注意にアイズお姉ちゃんから即つっこみが入る。流石に4人のレベル5と高火力レベル3を相手に喧嘩を売れるのはレベル6、7くらいなのでは……と思ったのですが直ぐに突っ込むあたりはいつものお姉ちゃんなのです。
「ま、まあいいわ。用心するに越したことはないという事よ。」
「話は変わるけど、ラウル達はなんだかんだ言ってちゃんと交渉してお金取ってくるからすごいよね。」
話題が尽きることを警戒したティオナさんが新たな話題を投入。お姉ちゃんが困らないように配慮する妹の鑑なのです。助かったとばかりに上機嫌に妹の助け船に乗る
「勉強も込みでそれなりに痛い目にも遭ってきてるのよ。団長の指示でね。」
ティオネさん団長好きすぎ問題では?団長って言う度に僅かに表情がやわらくなるのは面白すぎるかと。まあ、ロキさんとの
あと、
「へぇ。それじゃあ、最初から交渉が上手かった訳じゃないんだ。」
「団長相手にお金をちょろまかした上で自分から謝罪したくらいだし、素質はあったのかも。」
「ふむむ。」
どうもアイズお姉ちゃんは私が話に興味を持っていると思って上手いこと話に割り込んでいきましたが、残念ながらニアミスと言ったところでしょうか。話の内容ではなく、展開そのものの方だったので悪くない筋ですが。
これで会話を続けようとする勢力が増加。この後はアイズお姉ちゃんとティオネさんが話題を投入し続け無事会話がとぎれることなく目的地"ディアンケヒト・ファミリア"に到着したのです。
「いらっしゃいませ ロキ・ファミリアの皆さま。」
出迎えてくれたのは、綺麗なお姉ちゃん属性持ちの方でした。本業は治療師のようで只の受付嬢ではないと思いますが……。
お姉ちゃんかわいいよ