ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
「わぁ……すごいのです。」
いなづまは純粋な瞳を輝かせ、自身の驚きをつぶやいた。あまりに純粋で心配になってくるくらい輝いている。気のせいかもしれないけど、いなづまの周りにキラキラとした何かが舞っているように見える。気のせい、だよね?
「……ここが地上。で私たちが出てきたのがダンジョンの入り口。バベルっていう名前。いろいろな施設が入ってる。ここが迷宮都市オラリオの中心。」
いなづまは振り向いて、つられるように見上げると"おぉ"と感嘆を漏らす。しばらく話をしていて大人しい子だと思っていたけど、彼女なりに興奮していたみたい。
さっきより身軽そうだと思って、ふといなづまの背中を見ると背負っていた金属製のリュックみたいなものは消えていた。あれは気のせいじゃないと思うし……スキルかな?
「……あっちの建物がギルドでこっちにあるのが私の所属するロキ・ファミリアのホーム。」
これにもまたキラキラとした視線を向けていたいなづまだけど、急に落ち着いたように感じた。
「ふむふむ。……私もファミリアに所属した方がいい、のです?」
いなづまは不安になったのか、私の服の端をつかんで若干首を傾げる。この姿に保護欲がかき立てられるのは多分私に限った話ではないと思う。
地上に出るまで考えないようにしてたけど、いなづまはどのファミリアにも属していないらしい。
「…アイズさん?」
ちょっと長考してしまったかもしれない。私が黙っていると不安になるのかな。さっきより気持ち目が潤んでいるような気がするし。やっぱり直接に聞いてみようかな。
「……いなづま、私の所属する…ロキ・ファミリアに、来てみない?」
いなづまは首を傾げると、はっとした表情になり難しい顔をする。もしかして嫌だった?
「行かせていただくのです。」
いなづまにさっきのような柔らかい雰囲気が戻る。なんだか服の裾を掴まれる力が少し強くなった、そんな気がした。
「…よし、行こっか。」
「なのです!」
いなづまの手を取り、離さないようにしっかりと握ってホームへと続く道を歩き始める。そのときには私は既にすっかりと忘れていた。この落ち着いた可愛らしい女の子は唯の
「ねえ、いなづま。」
「なんでしょうか?」
手をつないで少し後ろを歩くいなづまにさっきから背中の方をじっと見られてる気がする。
「私の背中に何かあった?」
振り返ると、いたずらの途中で大人に見つかった子供の目と視線が合った。
――――
うちの目の前には、いつもと変わらない様子のアイズと緊張した面持ちの推定十歳程度の茶髪の女の子が居る。その子の名前は"いなづま"で十五階層で出会っていろいろ
アイズが嘘を言っていないのは分かるんやけど、こんな子が十五階に居るとは思えんわ。そもそも冒険者って感じがせえへん。まんま嘘でも個人経営の花屋の看板娘て言われたの方が信じられるんちゃうか?てかステータスを読めるとか何処の神やねん。もう滅茶苦茶や。
「えっと、いなづまはファミリアに所属してないんだよね?」
「え、そうなんか。」
いやまさか十五階層に
「そうなのです。」
…これ、ほんまどないしよ。
こんな暖かくて柔らかそうなかわいい女の子(強い)を保護しなくてロキの名が廃るわ。ん、ロキの名云々に関係ないやろて?しばくぞ。
「君、ウチのファミリアに入ってくれへんか?」
ピタッといなづまと目の合った一瞬ですべてを見透かされたように感じる。瞬間の出来事の筈なのに長い沈黙が過ぎて、いなづまは笑みをこぼした。
この背筋の冷える感覚、やっぱり実力はあるんやな。
「はい、よろしくお願いします。でも、
あまりの超弩級新人にウチは考えることをやめた。うちは悪くないで。
「かまわんけど、いなづまは
「はい。でもまだ懸念材料があるのです。」
そう言うといなづまは右手で突然現れた珍しい武器-海のないオラリオではまず見ないであろうそれ-を掴む。
「この力と
ここまでそのまま移植です。予定でしたがかなり書き直しました。
ちまちま書いていた残骸は整理次第あげていきます。次は来週くらいに投稿予定です。