ダンジョンに駆逐艦を求めるのは間違っているだろうか 作:もんもんぐたーど
第1話
あれ?
…ここはどこなのです?
どこか…薄暗くて気味が悪いのです。
こう言うときは暁お姉ちゃんの探照灯を電も持っていれば…と思うのですが、借りて(或いは作って)電が使えるのでしょうか?
…!?
なにかいるのです。強い敵意を感じるのです。いや、これは殺意なのです。
「…どうしたのです?」
「…グルル」
言葉が通じないまま、こちらに飛びかかってくる。このまま攻撃を受けたものなら間違いなく大ダメージを負って陸でも沈める自信があるのです。回避?いいえ、迎撃なのです。
瞬時に艤装を展開し錨をつかむ。高練度とはどういう事か、体験するといいのです。
タイミングをねらって…錨を振り抜きつつ周りに同種が居ないか確認。複数確認できたけど襲ってきているのは一体だけ。なら、ほかのにバレる前にしとめるのです…ってさっきのは一発でやっちゃったみたいなのです。
遺品と思われる変な石を拾ったのです。
ん?あそこで、金髪の女の人が追いつめられてるのです?女の人の邪魔にならないように駆け寄りながら連装砲で何かを撃つ。
あれ…?火力が思った以上に出て上半身を吹き飛ばしてしまったのです。
それより何よりと、女の人に駆け寄る。
「大丈夫なのです?」
「うん、大丈夫。ありがとう。…ところでさっきの攻撃は…。」
連装砲の事でしょうか?なんと答えればいいのでしょうか。とりあえず砲身を動かして自己主張させながら少し説明する。
「さっきのは連装砲これの砲撃なのです。電の固有武器みたいなものなのです。」
「固有武器…?…あ、また囲まれた。」
お話ししている間に囲まれてしまったのです。でも周りにいるのはさっき一発でやっちゃったなにかと、さっき砲撃で葬ったちょっと大きいなにかが複数居るだけなので多分何とかなるのです。
「っ、てぇー!」
とっさに振り返り大きい方のを撃つ。そのまま左にいた一番近い小さい方のを錨で殴りつつ女の人の背後のなにかに跳び蹴りを決める。一応艦橋艤装を消して錨だけを持った状態にして回避の準備をする。
危険を感じとっさに左に転がると元いた場所は悲惨なことになっていた。
特型駆逐艦の基本艤装はもともとあんまり近接戦闘を考慮していない武装ではあるのですが色々努力した結果、今では錨のリーチは電の間合いなのです。
敵が多く居る方向に斬撃を飛ばしつつ1体ずつしとめていく。しとめた後の何かの遺品と思われる石はよくわからないけど回収したのです。
女の人は剣にチャージして強力な力を引き出していて、非常に早い。一応スピード特化の駆逐艦である電の速さはそこまでは到達していないので、自分の練度はまだまだ足りないと感じるのです。
「ふぅ…、あ、あの…。私は電…いなづまなのです。よろしくお願いしますね。」
一通り凪いで、自己紹介を忘れていたことを思い出したのでやや突然ですが名乗ってみたのです。相手方の名前も気になりますし。
「アイズ… アイズ・ヴァレンシュタイン。よろしくね、いなづま。」
Sideアイズ
十五階層、中層。ミノタウロスが主に出現する場所で初心者冒険者がくる場所ではないし、間違っても神の恩恵ファルナを受けていない人がいる場所ではない。
ドーンという大きな音がしたと思ったら火薬のような臭いと共にミノタウロスのうちの一匹の上半身がなくなっていた。
「大丈夫なのです?」
さっきの音の発生源の方から駆け寄ってきたのは13歳くらいの見慣れない格好をした女の子だった。
「うん、大丈夫。ありがとう。…ところでさっきの攻撃は…。」
咄嗟に気になったことを聞く。もしかするとスキルかもしれないし魔法かもしれない。本当は初対面の人にそういうのを聞くのはマナー違反かもしれないけど、つい聞いてしまった。
「さっきのは連装砲はこれの砲撃なのです。電の固有武器みたいなものなのです。」
その女の子が背負っているなにかの一部が自己主張するように動く。女の子が考えた動きをそのまま反映しているような感じを受けた。でも固有武器って…あ。
「固有武器…?…あ、また囲まれた。」
ミノタウロスが増えているので見事に囲まれる。もちろん迎撃する。女の子は…振り返りその瞬間またあの音がして背後に迫っていたミノタウロスを2体、そして手に持っている…錨(?)で一番近いミノタウロスを狩っていた。
すごく強いボウガン?にしても引き絞る時間、狙いを付けるまでの時間がかからなすぎだし2体同時にというのは無理がある気がする。どういう仕組みなんだろ…。
このあと2,3分ミノタウロスを狩り、お互いに名乗った後再び静寂が訪れた。
「…ところでアイズさん。少し聞きたいことがあるのです。」
聞きたいこと…?名乗った時と同様に静寂を打ち破ったのは彼女からだった
「どうしたの…?」
「気になっていたのですが……ここ、どこなのです?……って、はわわ。」
彼女から鳴ったおなかの音と共に常識を疑う質問が私に投げかけられた。
番外編として書いたときは面倒だといいながら切り離して連載していくスタイル