東方魂探録   作:アイレス

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ある意味最後の投稿です


この物語はまだ続きますが

就職の関係のため時間がとれません

余裕が出来れば投稿します

ではまた、投稿する日まで


第99話

「誰だ!」

 

反応したのは近くにいた玉兎だ

そして、全員の目がそちらに向く

 

「影陽に永琳!?何でここに!?」

 

「八意様!?なっなぜここに!?」

 

霊夢が驚き声を上げるがそれ以上に

依姫が盛大に驚く

 

「様子を見に来ただけよすぐに退散するわ」

 

「は・・・はあ・・・戻ってきたわけではないのですね・・・」

 

「ええ、私はもう、月の都に興味は無いですから、貴方達ぐらいかしら、情があるのは」

 

その言葉で依姫は嬉しそうな顔になる

レミリアは不機嫌そうだが

 

「じゃあ、これは、師匠が用意した試験ですか・・・」

 

「みたいなものかしら、手紙通りでしょう?」

 

「はい!あのスキマ妖怪も捕まえ・・・・・」

 

今まで、永琳しか目が向いていなかったが、その隣にいる人物を見て固まる

 

「あら?どうかした?」

 

「八意様!なぜこの人物と!?この人物は大量の隕石を月に降らした!」

 

「ああ、そういえばこの指輪を作った時にそんなことを言っていたわね」

 

「やっと思い出したか?だからここには来たくなかったんだ」

 

影陽はうんざりした感じだ

 

「え?あ?はあ?・・・・指輪・・・・?」

 

依姫は混乱した様子で目を白黒させている

 

「これの事ね」

 

永琳が左手を依姫に見せる

その、薬指にシンプルだが美しい指輪がはめられていた

 

依姫は目にした瞬間動きをピタッと止める

玉兎が話しかけても無反応だ

・・・・・

その意味は理解している

地上での・・・・婚姻者の証

 

「はぁぁぁぁああああああああああ!?」

 

依姫の悲鳴がこだまする

 

永琳は完全に無視して、咲夜達の治療をしていた

咲夜以外治療が雑だったが

 

 

依姫が頭を掻きまわし混乱しているところに、豊姫が紫を引きずった玉兎を連れて姿を現す

玉兎の報告を聞いてすっ飛んできたようだ

 

「八意様!お久しぶりです!依姫!しっかりして!?」

 

「久しぶりね」

 

「お・・・お姉さま・・・八意様が・・・・・」

 

「ん?・・・貴方は・・・・隕石の・・・・」

 

豊姫は影陽の存在に気づき、少し身構える

 

「初めまして、私は八雲影陽という」

 

「八雲ねぇ・・・」

 

「そこに転がっている紫の義兄だ」

 

「・・・なら、貴方も」

 

「やめてもらえるかしら?私の配偶者でもあるのだから」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

 

豊姫も依姫も玉兎たちもみんな黙る

 

依姫は考えたくもなかった現実で

豊姫は理解できない

玉兎は・・・・ありえないこと、信じたくないことの連続で

聞いていいのかというような重大情報ばかりだ

 

 

 

「義兄さん・・・この縛ってる紐ほどいてくれないかしら?」

 

紫が状況関係なく影陽に声をかける

 

「1週間ぐらいそのまま反省してろ」

 

紫は永琳に目を向ける

 

「影陽に同意」

 

紫はしょぼんとした

 

 

「そうそう、豊姫、依姫、貴方達は知っているはずよ、影陽の事」

 

永琳が二人に話しかける

フリーズしていた二人はようやく解凍された

 

「えっと・・・・隕石を降らせた人としか・・・」

 

「影陽にはもう一つの名前があるの、光淵というね」

 

 

 

狂乱の底に叩き込んだ

光淵それは、今の月では伝説の人であり、英雄とされている人物だ

永琳は、その話が嫌いで余り二人には話していなかったが

物語として語られるたぐいのものだ

地球から月に移住するとき、一人残り、最後の移住者を運ぶ船が出るまで妖怪から守り通した

そう言う話だ

 

「あの話は作り話よ、光淵・・・影陽は私の副官兼初代第一部隊副隊長をしていたわ」

 

永琳が真実を語りはじめる

 

それは、物語のような美しい話ではない

羨望、やっかみ、嫉妬、恐怖、卑劣、

美しさのうの字もない

穢わらしい物語

 

 

「「・・・・・・」」

 

 

二人は、いや、その場で聞いていた全員が沈黙する

話の本人である影陽は、縛られたままの紫を藍のもとに投げ返しに行っていた

姉妹は、永琳がなぜこの話を嫌ったのか理解した

そして、

彼女の部屋にあった

月にはそこにしか無かった植木鉢に入っていた花の意味を知った

 

「私がもう興味など無いと言った理由分かったかしら?」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

二人にはもう、月の都が穢れない都市には見えなくなっていた

確かにこれと分かる穢れはない

しかし、中身が穢れきっている

 

「あともう一つ・・・・サクヤ」

 

永琳が咲夜を呼ぶ

 

「なんでしょう?」

 

少し首をかしげながら永琳に近づく

 

「ああ、貴方のことを紹介しておこうと思って」

 

「そうですね・・・・」

 

姉妹二人は首をかしげる

 

「あの、このメイドがなにか?」

 

弾幕勝負で叩きのめした依姫が尋ねる

 

「紹介をしていませんでした、私は十六夜咲夜と言います」

 

ちらっと咲夜は永琳をみる

永琳は無言で頷く

申し訳なさそうにだが、優しげな目を向けながら

 

「ですが、もう一つ、名乗ることはありませんが、八意サクヤの名を持っています」

 

もう、今日は驚きしかない

極秘裏に行われていた実験で生まれていた、師匠の子

それが、メイド姿で目の前にいる

それも、勝負とはいえ、ボコボコにして、軽いケガも負わせていた

 

依姫はガクガクである

 

咲夜が気にしていなかったから、何もなかったが

 

豊姫いわく

あれは、とてつもなく恐ろしい視線だったとか

 

 

 

 

そして、依姫の謀反の疑いを晴らすため、霊夢を残し他は幻想郷へ帰る

永琳が念を入れて、霊夢を守って、返すよういい含めたため、ちゃんと帰ってくるだろう

 

 

それは、約一月後のこと

何事もなく霊夢は帰って来た

客を一人連れて

 

 

「よく来たわね、依姫」

 

向かいに座りながら永琳が話しかける

 

「いえ、霊夢を送ったついでのような物です・・・」

 

「それでいいのよ、私達はあまり知られてはいけないのですから。霊夢とは仲良くなれたかしら?」

 

「・・・少し・・・話しかけづらかったですが、同じ力を持つ者としては嬉しいものがありました」

 

薄く笑いながら依姫は答える

実際は、依姫が霊夢によく話しかけていた

ちゃっかり、修行をつけていたのも依姫だったりする

 

「さて、防衛役はまだ続けるのでしょう?」

 

「・・・いつか必ず、あの都を本当の穢れ無き都にして見せます」

 

「期待はしないでおきましょう、それと、逃げたくなったら言いなさい、迎えに行くわ・・・・そもそもあんなことになったのは、穢れを洗い流すから、それを作った私のせい。どうしても落とせぬ穢れ、それの蓄積した結果。穢れは、生きとし生けるものが最底辺に墜ちる前に殺すストッパーのようなモノだったのかも知れませんね」

 

「・・・・・」

 

「生まれ落ち、生きて、死んでゆくその時間は我々からすれば短き時間されども、その姿は美しい。」

 

「そうは思いませんか?」

 

依姫は仲良くなった霊夢を思い浮かべる

彼女は確かに穢れを持つ地上人だ

だが、その持つ技術、能力は素晴らしいものだ

サボりくせはあるにしろ、仲良くなった身としては、何事にもさっぱりしている霊夢にどこか惹かれる

もしかすると、あの生き方をうらやましいと思っているのかもしれない

 

「すこし・・・」

 

そう依姫は返した

 

 

 

 

「さて、依姫最後に残念なお知らせです」

 

依姫はいきなりのことで少し困惑していた

 

「これは何でしょう?」

 

永琳は一つ瓶を取り出す

それは・・・とても見覚えのある・・・・

 

「私たちの所の古酒じゃないですか!?なんで師匠が!?」

 

「つめが甘いわね、アレは全部囮よ?義妹も含めてね」

 

がっくりと依姫は肩を落とした

 

「まあ、よく頑張ったとだけ言っておくわ」

 

 

 

 

「貴方も来るとは聞いてないんですけど・・・・」

 

「私も協力したようなモノでしょう?」

 

「スパイもしていたじゃない」

 

「あの子達を鍛えるためです、それに役にはたったでしょう?」

 

そんな言い合いを紫と永琳が繰り広げる

綿月姉妹からかすめ取った酒で一杯やるためだ

 

「幽々子も関わっていたとはな」

 

「ほとんどノリでしたけどね・・・」

 

妖夢が少し呆れ気味に答える

 

まあ、それが幽々子なのだから仕方ない

 

少し、賑やかな宴が始まる

 

 

月では、綿月姉妹が落ち込んでいた

そして、もっと罠にはめられないように頑張ろうそう思うのだった

 


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