東方魂探録   作:アイレス

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第98話

「さて・・・・今日は満月の夜、準備はいいか?」

 

「ええ、もしものための準備は出来てるわ」

 

弓を持ち、背中に矢の入った矢筒を背負った永琳が答える

 

「いってらっしゃい、こっちは心配しなくて大丈夫よ」

 

輝夜が薄く笑いながら言う

いつも、輝夜のことを優先して、他の事には手を出さなかった永琳の変化を楽しんでいるようだ

いや、うれしがっているのかもしれない

 

「嫌な予感しかないんだがなぁ・・・連れて行くの」

 

「気にしたら駄目よ?お父様?永琳が感情のままに動くとか面白そうじゃない?」

 

「そのせいで大事になるのが目に浮かぶ」

 

「そこは、お父様の腕の見せ所でしょう?」

 

「へいへい」

 

「まあ・・・がんばってきてな」

 

「頑張ってください・・・心配はしませんけど」

 

「まあ、何とかなるよきっと」

 

鈴仙は複雑そうな、というより呆れた感じ

てゐは・・・楽観的か

 

そうなることを祈るしかないか

 

影陽と永琳は、影陽の能力で月に移動した

 

 

 

移動したのは豊かの海近く

普段誰も居ない上、大小の桃の木がの海岸近くまで広がている

隠れるにはそれなりにいい場所だ

 

そして、海岸で黄昏ている霊夢と魔理沙を見つけた

レミリアと咲夜の姿は見えない

それと、海岸線には大量の木材が散らばっていた

どうやら、ロケットの残骸のようだ

 

 

気配と姿を消す陣を書き、その中で二人を観察する

まだ、永琳の弟子は来ていないようだ

 

「・・・帰りは・・・豊姫とやらの能力かな?」

 

「たぶんね、霊夢は、神を下ろしていた関係上すぐとはいかないでしょうけれど」

 

「だろうな・・神を下ろせる者は依姫だけと思っていただろうからな」

 

「本当は迷惑な話だったけれど、今回はあの義妹のいたずらは大助かりだわ」

 

「本人に言ってやれば?捕まって悔しがっているところに」

 

「依姫が疑われる原因を作ったのは義妹だから嫌ね」

 

持参したお茶を飲みつつそんな会話をしているうちに、依姫がやって来た

 

 

 

「・・・やっぱり神を封じる祇園様の力でも魔理沙の力を封じきれないか」

 

「ほんと、でたらめな力ね、どこまで人の人生を狂わせるのかしら?」

 

「この世界じゃなくて、もっと上、神の分霊の大本のいる世界に近い所から来たんだそこより下のこの世界じゃほぼ敵なしだろうよ」

 

「依姫だいぶ警戒しているけど・・・」

 

「魔理沙は動かないだろう、少しでも強引に力を引き出したら死ぬと言っているからな」

 

事実、魔理沙は手を上げて無抵抗を示す

霊夢は、刀の檻の中であることだし

正解である

 

「依姫様!」

 

そこに一人玉兎が依姫のもとに駆け寄ってきて報告する

 

「な!?何ですって!?あんな小娘相手に貴方達は何をしているのよ!?」

 

「誰が小娘よ!!!」

 

どうやら、玉兎の大半はレミリアのもとに向かっていたようだが・・・

 

ほとんどレミリアに怖気づいて隠れたみたいだ

 

依姫は頭を抱えている

 

 

 

「経験不足だな」

 

「それも圧倒的な実戦経験不足ね」

 

月の現在の戦力ガタガタな気がしてきた二人だ

おそらく、戦力が思いっきり偏っているのだろう

鈴仙が逃げたのも納得な気がする

 

依姫はレミリアになにかしようとして

咲夜に羽交い絞めにされる

そして、地面に刺さった刀を蹴り、霊夢を檻から出した

 

「うーん・・・咲夜やるなぁ・・・」

 

永琳は何も言わないが少しうれしそうだ

 

そして、魔理沙の提案で弾幕勝負が始まる

そもそも、この場で月の都に興味あるのはレミリアだけ

他は来ただけで十分なのだ

 

「紫もなかなかひどいことするもんだ囮とはな」

 

「でもまあ、効果的な囮ね、依姫は霊夢に興味深々だし・・・仲良くできるかもしれないわ、魔理沙にもかなり興味があるようだし」

 

「興味持たない方が不思議だよ」

 

 

 

 

「待て!待てって!永琳!落ち着け!軽い火傷だ!咲夜は何ともない!だから落ち着け!」

 

親ばかを拗らせた永琳が少々暴走していた

 

「今出て行ったら、大迷惑どころじゃない!いいから落ち着け、弟子だろう!?弓を下ろせ!」

 

影陽が抱き着くような感じで必死に永琳を抑え込む

 

魔理沙が弾幕勝負を棄権し、レミリアが戦い始めたところでようやく落ち着き始める

 

「・・・あとで治療に行くわよ」

 

「いいのか・・・それは」

 

「私が決めたことよ」

 

「・・・私もいるだけで大問題なんだが・・・仕方ないか」

 

 

レミリアはあっさり、依姫が下した天照大御神で撃沈

 

咲夜以上にすっぱりと終わった

 

 

「吸血鬼は・・・あれね・・・バランスはいいけれど弱点多すぎと・・・」

 

「あれは仕方ないよなぁ・・・・」

 

 

 

そして霊夢の番だ

 

霊夢の弾幕を切った依姫の刀が穢れに汚染される

 

「大禍津日かやるなぁ霊夢」

 

「そうね、それなりに勉強しているようだけど」

 

依姫は伊豆能売を下ろし穢れを払う

霊夢は存在を知らなかったようだ

 

「依姫には届かないわ」

 

依姫が霊夢の首筋に剣を突きつけ、霊夢が降参する

 

「まず、教えた人物が違う、そして、本人のやる気が違う、最も経験も違うけどな」

 

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ、けれども経験というものは馬鹿には出来ないものね」

 

 

 

「さて、行きましょうか」

 

「へいへい、ほれ、治療箱だ」

 

「ありがとう」

 

二人は皆の前に姿を現した


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