東方魂探録   作:アイレス

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今回は、主人公による解説が主です

ご注意ください


第92話

魔理沙はそのままいつもの調子には戻らなかった

全員がどこかぎこちなくギクシャクした感じだ

無理もない

見た目も雰囲気もがらりと変わり今までと正反対になったようなものだ

戸惑わない方がおかしい

まあ、そのうち戻るだろうが・・・

 

「とにかく目覚めてよか・・・」

 

魅魔が魔理沙の肩に触れたとたん

 

「いっ!?」

 

魅魔の手がはじかれる

 

とっさに離れたがいまだにしびれているようだ

 

「なんだ!?これ!?」

 

魅魔がろうばいする

何があったのかさっぱり分からない様子だ

 

「フランドールもレミリアも、紫も今の魔理沙には触れない方がいいな」

 

「・・・影陽、いったいどういう事?これは・・・」

 

「今の魔理沙は力を制御できないで溢れてる状態だ、まあ、元々の力からすれば微々たる量の力しか漏れ出てない、そこらへんはさすがかな?」

 

訳の分からない言葉が出てくる

制御できていない?

今まで制御できていたものができないというのか?

 

「今の魔理沙はあの女神と同じような存在、いや、ほぼ神と言ってもいいかな?魅魔が触れないのは神性が悪霊や妖怪のようなこの世ならざる穢れた物を拒絶するからと言ってもいい、魔理沙の意思関係なくな」

 

「「「・・・・・」」」

 

「今の魔理沙はイシュタル、シュメール神話、メソポタミア神話で広く信仰された女神と同義だ、ちなみにこの間の正体でもあるが」

 

次から次に驚愕の情報しか出てこない

魔理沙の顔色も悪くなる

白く染まった手が震えながら布団を握りしめる

 

「おめでとう魔理沙、君は消えてしまったこの世界のイシュタルの代替になった。」

 

「ふざけないでくれ!!」

 

魔理沙が大声を出す

ようやく、元々の魔理沙が出てきた感じだ

 

「やっとか、たく・・・面倒かけさせる」

 

「は?」

 

「魅魔触れてみろ、もう大丈夫なはずだ」

 

魅魔にそう声をかける

 

「大丈夫なんだろうね?」

 

訝しみながらも魅魔は魔理沙に触れた

今度は何も起こらない

 

「さっきまでの魔理沙は魔理沙であって魔理沙じゃない、神に近い魔理沙だった」

 

そう影陽が口にする

 

「ここから先は霊夢もいた方がいいだろう、紫連れてきてくれ。」

 

紫に頼むとすぐに連れてきてくれた

そして、影陽は話し出す

魔理沙に何があってのかを

 

 

魔理沙は神霊、この場合はイシュタルの事だ。

それに体を乗っ取られたのさ

え?それは今関係ない?

いやいや、大本から説明しないと分からないだろう?

物事には順番があるんだから

 

魔理沙だったのはたまたまだろう

魔法の森には、魔理沙しかいなかったというのが、正しいかもしれないが

 

アリスでは、駄目だったのかって?

 

駄目だろうな、あいつは一応魔族の一人だ

イシュタル自身、悪魔の原点でもあるが曲がりなりにも女神でもあるんだ

魔族の体を使おうとは思わなかったんだろう

それと、魔理沙が魔女だったことだ

 

え?魔女じゃなくて魔法使いだ?

 

そんな細かいことは知らん

そんなもんほぼ同じもんだ

話、続けるぞ

魔女っていうのはその当時の最新の医療知識と技術を持ち、人の生死に大きくかかわってきた者だ

そして、その土地の神を祀る巫女のような存在でもある

 

魔法の研究?

 

それは最近の魔女だな

もっと過去神代に近いほど魔女はそういう役割だった

魔女の悪いイメージはキリスト教の神官がキリスト教を広めるために広めたものにすぎない

話がそれたな

 

言ってしまえば、魔理沙は魔法の研究をする魔法使いであったが

あいつにしてみれば魔女とは巫女だ

そういう考えがあって乗っ取られるに至った

 

理不尽だって?

 

神ってそういうもんだろう?

何をいまさら

 

中には自分を犠牲にしてでも助けようとする神だっているだろうさ

だがほとんどの神は、願ったものに代償を求める

本人が望んでなくともな

今回、神本人が魔理沙と全く距離のない

零距離での接触だ

本来なら即死亡だな

 

魔理沙の魂が無事だったのは・・・

いい考えをするなら、イシュタルの慈悲

肉体的には死んでしまっても魂は生きているんだ、輪廻に戻れるだろう

一応イシュタルは地母神の元でもあるからな

 

悪い考えは、イシュタルが元の世界に帰るためのストッパーだ

元々ここの世界に来るつもりはなかったが、来てしまい帰る予定だったというものだ

そうだとすると、この世界で身体を得るのは、帰る自分にとって重荷になる

だから、わざと魔理沙の魂を残していた

 

そう顔を悪くするな

今となっては、分からないんだから

 

 

さて、私が魔理沙に何をしたか

それを話そう

 

魅魔が魔理沙の魂を引っ張り出した

そのことで、あの体は完全にイシュタルの物になった

だから、私は体ごと切り刻もうとしたんだが・・・

博麗の巫女様に止められたんでね

 

魔理沙の魂を変質した体に戻すのに面倒な手を使った

もう神の物になっている体に人間の魂なんぞ戻れるはずがない

ならどうするか

 

魔理沙の魂をイシュタルの魂の残骸と融合させ、なじませたそれだけだ

 

今の魔理沙は半神半人ってところか?

ただし、かなり上位の

 

ああ、そうだ

ここの世界のイシュタルはもういないから面倒なことはない

この世界が消えてなくなるまで

好きなことをして生きていけるぞ

 

世界が消えてなくなるまで・・・な


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