東方魂探録   作:アイレス

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第90話

あれから三日

魔理沙は、まだ目覚めない

 

霊夢は毎日のように永遠亭にやってくる

すれ違う時にものすごく冷たい目で睨んでくるのはご愛敬だ

あれしか方法が思いつかなかったのだ

霊夢がどう思おうが私には関係ない

出来ることはしたのだ

 

文句も抗議も受ける筋合いはない

まあ、話だけは聞いてやるが

 

あとは・・・永琳からの苦言か

いきなり連れてこられた挙句にあんな重症どころではない、死の半歩手前の状態を治療しろとはどういう事だと

おかげで永遠亭に押しかけていた人里の人を放置する羽目になったとか

まあ、歩いてこれる者しか永遠亭には来てなかったが

魔理沙のあとぐらいから続々とやってきて、私も、妹紅も輝夜もてゐも鈴仙も駆り出された

もちろん、治療の出来る者は総動員だが・・・

 

紫は人里や侵入者の捜索に出た妖怪の山の被害で頭を抱えていた

人里は光線の一撃で一区間ほど丸々消え去った

その区間が魔法の森から霧の湖までゴッソリえぐられて、そこに湖の水が流れ込みちょっとした湾のようになっている

紅魔館にまで被害がなかっただけましであろうか

 

人里でその直撃を受けた場所にいた十数名は遺体も残らず

かすった人も、かすったところから数倍近くえぐられ死んだ者も含め数十人以上、行方不明数名、家など潰れるなどしての重軽傷者三十数名

人里の半分以上が怪我を負った

 

妖怪の山は49名の烏天狗、白狼天狗が死亡

ただし、これについては要請がある前に動き始めていたこともあり、下手に刺激せず見つけたら監視と報告とも言いつけていたのに武器を構えて、誰何したらしい

別に問題にはしない、だけども口うるさい部下のために形だけは抗議するらしい

 

 

影陽は魔理沙の病室から出て居住スペースへ向かう

 

永遠亭には今は魔理沙以外は入院患者はいない

永琳は疲労で寝ているし、鈴仙やてゐは人里

妹紅と輝夜も出かけていた

兎の動く気配と竹林を吹き抜ける風の音以外何も聞こえない永遠亭を影陽は歩く

 

お気に入りの縁側に腰を下ろしキセルを取り出す

喫うのは永琳特製の薬だ、もちろん害などはない

逆に病気を予防するものだ

不老不死でも病気にかかるのだからままならない

 

吐き出した煙が空に昇る

 

一番問題は・・・

魔理沙のこれからかもしれないが・・・・恨むなら魔理沙を生かしてほしいと頼んだ霊夢を恨んでほしい

 

影陽はそう思いながら庭を眺め続けていた

 

 

 

 

「兄さん、失礼するわね」

 

スキマが目の前で開き中から紫が出てくる、その後ろから藍と魅魔も出てくる

 

「おや、いらっしゃい・・・・何事かな?」

 

「魔理沙に、会いに来た・・・」

 

「魅魔があまりにもソワソワしていてね?魔理沙に会いに行こうといっても嫌がるしで、強引にちょっと」

 

紫の言葉に顔をしかめるしかない

無理に連れてくる必要もないだろうに・・・

だが、本人は会いたいが会いたくない矛盾した感情だったのかもしれない

 

「魔理沙はどこに?」

 

本人が直接聞いて来たから

 

「ついてきてくれ」

 

今、誰もいないのだ私が案内するしかない

 

 

 

 

「魔理沙がねぇ・・・」

 

「運が悪かったってことかしらね?」

 

「何があって入院したのかは分かりませんが・・・」

 

紅魔館で咲夜が人里で聞いてきた事をレミリアとパチュリーに話していた

そのまま永遠亭に行ってもよかったが、話を聞くだけで永遠亭は大忙しだろうと行かなかったのだ

 

「魔理沙・・・大丈夫かな?・・・・お姉様・・・お見舞いにいってもいい?」

 

一緒にいた、フランがレミリアにお願いをする

魔理沙はフランを外に連れ出してくれた人でもあるし

何より一緒にいて楽しいかった

心配しての事だと良く分かる

 

「・・・そうね、行きましょうか、咲夜準備を」

 

「承りました」

 

咲夜はそう答えるとスッと消えた

 

 

 

 

 

「ううっ・・・・ここは・・・?」


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