東方魂探録   作:アイレス

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第87話

「こっ・・・これは!?」

 

椛と天魔達が現場に到着したときそこは惨状だった

森から人里まで1本の大きなくぼみが出来上がっていた

そのくぼみと森の境目に部下の姿を見つける

 

「おい!無事か!?」

 

「しっか・・・・うっ!?」

 

「ぐっ!?・・・これは・・・」

 

近づいた二人が見たものは

 

体のほとんどを消し飛ばされた部下の姿だった

そしてその数も片手で足りるほどしか見当たらない

直撃し完全に消えてしまったのだろう

 

「誰が・・・こんなことを・・・」

 

「決まっている、侵入者しか、いないだろ・・・・っち、だが、とんでもなく強くて最低な奴なのは確かだろうね」

 

 

「天魔様!いったい何を・・!?これは!?」

 

「見ての通りだ!近くに必ずいる!警戒しろ!」

 

天魔の言葉ですぐに周囲を警戒する天狗たち

そこへスキマが現れる

 

「天魔、どうなって?」

 

「部下が1個中隊分壊滅だ、くそ・・・」

 

「人里も・・・そのあおりで一区間消し飛ばされて阿鼻叫喚の大惨事になっているわ、それに霧の湖まで達していて、水が人里のところまで流れ込んできてるわ」

 

どんな威力だよ

そこにいた全員がそう思った

 

「霊夢の結界でも・・・無理でしょう、私のスキマでも耐えられるか・・・」

 

「「「「はあ!?」」」」

 

紫のとんでも能力でもあの攻撃に対処できない?

博麗の巫女の中でも最高の結界を扱うことのできる霊夢でも無理?

どんな威力だ!?

 

「威力が強いだけじゃない、かなり強い神性を感じたわただの剣なんかは当たっても傷一つ、つかないかもしれないわ」

 

「・・・おい・・・八雲、それはつまり・・・神ってことか!?」

 

「それも、かなり上位よ、信仰の強いね」

 

 

「あら、貴女は分かるようね、でも、穢れた化物風情なのは問題かしらね、まったく早くここから出ていきたいわ」

 

聞き覚えのある

いや、聞き覚えがあるどころではなく、誰もが知っている声が頭上から聞こえてきた

誰もいないはずの空から

 

その場にた全員がバッと空を見上げる そこには

 

宙に浮く、巨大な弓のようなものに優雅に腰掛け、その場にいる者を見下すような目で見つめる魔理沙の姿があった

 

 

「ま・・・魔理沙?」

 

「へえ、魔理沙と言うのねこの体、それにしても、この体の知り合い?おかしいわね、魔女だから知り合いなんて、ほぼいないと思ったのだけれど失敗だったかしら?」

 

あまりにも魔理沙の口調ではない

霊夢がお祓い棒を突きつけ話しかける

 

「あんた、何者?いや、あんたが侵入者ね?さっさと魔理沙から、いや、この幻想郷から出て」

 

「黙りなさい、人間」

 

その言葉だけ

たったの二言

それだけだ

それなのに彼らは動くことも話しかけることも出来なくなった

言葉に乗せられた神力に抗うことさえできない

 

「魔理沙!?」

 

「魔理沙!?何をしているの!?」

 

魅魔とアリスがそこへ駆けつける

 

魔理沙の姿をしたナニカが二人に目を向ける

 

「うわっ!なんで悪霊に魔人なんているの!?この世界最悪ね、あの御方を見つけて帰るときには滅ぼさないといけないわ」

 

聞き捨てならない言葉が出てくる

だが、いまだに最初にいた者は誰も声を出せない

 

「・・・貴女・・・魔理沙じゃないわね・・・いったい・・・誰?」

 

アリスが人形を展開しつつ問いかける

隣では魅魔も自分の武器を取り出し構える

だが、ナニカが答えることはなかった

 

答える前に

ナニカが声を出す直前

1本の剣が魔理沙の胸から生えたから

 

「がふっ!?」

 

魔理沙の口から血が噴き出す

 

「「「な!?」」」

 

同時に霊夢たちにかかっていた呪いも解ける

 

そして魔理沙の背後に見覚えのある人物が姿を現した

 

「全く、面倒な女神が来たものだな」

 

影陽だった

魔理沙が刺さったままの剣を乱暴に振り、魔理沙を地面にたたきつける

そしてそこに無数の二股の槍が降り注ぐ

 

「ちょ!?何を!?魔理沙を殺す気!?」

 

霊夢が叫ぶ

だが、彼は槍を打ち込むことをやめない

 

紫がスキマを使い強引に彼を自分たちのところに連れてきてようやくやめた

 

土埃で魔理沙の姿は見えない

 

「何をする」

 

「なにをする?ふざけないで!?中にいるのが誰かは知らないけれど、体は魔理沙なのよ!?」

 

「あれはもう、魔理沙じゃない、魔理沙の魂はもうあいつに取り込まれ消えた」

 

「・・・・え?」

 

その時だった

土埃を引き裂いて光線が霊夢に向かって伸びる

気が付いた時には、スキマも間に合わない距離だ

貫かれる

誰もがそう思ったとき

影陽の視界に、赤いチェックの服が映る

 

そして、鮮血が飛んだ

 


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