東方魂探録   作:アイレス

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第78話

「ふふふ、なかなかの売れ行きでしたねぇ~やっぱりああいうのはよく売れます♪」

 

射命丸は、にやにやしながら売上を計算をしていた

特に売り上げがよかったからだ

 

「いやぁそれにしてもあの二人とは・・・なかなか面白そうですねぇ」

 

射命丸は知らないが、影陽は既婚者だ。

あんまり、そう言う場面は見かけないから知らないのだ

そして新聞のせいで、矢を射かけられたことも

 

そこへ

 

「射命丸の馬鹿は・・・・どこだあああああ!」

 

怒声が山に響き渡った

それは、妖怪の山を統べる天魔の声

いつもは、物静かな天魔が出さないような声だ

 

「あやや!?」

 

自分のことを呼びながら怒っている天魔に驚き首をかしげながらも、射命丸は慌てて外へ出た

かなり昔より位による格差などはある程度ルーズになったとはいえ、上司は上司なのだ

 

「天魔様!?何事で・・・」

 

「そこか、このくそ馬鹿!」

 

飛び出し、声をかけたと同時に白い翼を持つ天狗が射命丸の頭上から逆落としをかけ

頭に拳をたたき込んだ

 

ごきぃ

 

と鳴ってはならないような音が響く

 

「あ・・・・や・・や・・・・?」

 

射命丸は衝撃とともに地面に叩き付けられ微かな声しか聞こえない

天魔は、そんな射命丸の襟首を掴み強引に引き起こし揺さぶる

 

「貴様!なんてことをしてくれた!この新聞!何所まで!誰に渡した!言え!」

 

ガクガクと射命丸を揺さぶりながら問いただす

だが、意識を失っていた射命丸は頭をゆらすだけだ

 

「起きろ!そしてさっさと何所にばらまいたか言え!回収しないとっ!?」

 

突然物凄い重圧とともに膨大な妖力が周囲を包み込む

いや、妖怪の山全体を包みこんでいた

その瞬間妖怪の山にいた全員が固まる

今まで感じたことのないものだった

いや、一度だけ感じたことがある

こんな圧力ではなかったが

 

1000年も生きていない若輩者のくせに、力だけはそれなりにあって、仲間を簡単に増やし、弱点が豊富な吸血鬼とやらが幻想郷に来て、支配しようとしたときに

八雲紫が強引に連れてきた人物!

たった一人で向かってきた吸血鬼の8割を消し飛ばした一番危険な人物

それは、あの新聞に載っていた人物と同一だ

 

天魔が意を決して顔を空へ向ける

そこには

妖精のような翼を広げ

底冷えする満面の笑みを浮かべ

傘をこちらに向けている

風見幽香の姿があった

 

まずいまずい、とにかくまずい

風見幽香があんな妖力を持っていたなんて想定外もいいところだ

そして、光淵様や八意殿よりも先に来るなんて

 

「そこにいる白い天狗・・・あなた・・・確か天魔だったかしら?」

 

これから、どうするかそれを考えていた天魔に幽香が声をかける

 

「は!?はい!?そうですが!?」

 

いつもなら、すこし偉ぶった口調だが、今はそんなこと気にする余裕もない

そもそも、そんな口調で答えたら消し飛ばされそうだが

 

「射命丸とか言う天狗は何所かしら?用があるのだけれど?」

 

「えっと・・・・これがそうです・・・・」

 

つかんでいた射命丸を突き出しながら答える

 

「そう」

 

そう、風見幽香かつぶやいた瞬間

突然生えてきた植物に射命丸がからめとられる

 

「ちょ!?なにを!?」

 

「あら?決まっているでしょう?」

 

ゾクリとする

笑顔だ

 

「二度とこんな記事、書けないようにしてあげるだけよ♡」

 

とてつもなく

寒い笑顔だ

 

「総員!退避!」

 

天魔は叫んでその場から飛び去った


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