東方魂探録   作:アイレス

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本編に戻りますよー
とは言っても前の話はこの話の間みたいなものですが


第7話

「・・・・ねぇ光淵・・・?」

 

「何かな?永琳?」

 

「その書類はどこの物かしら?」

 

「鳳扇とこの出費および報告書だが何か?」

 

「・・・・そっちの山は?」

 

「右が開発局の報告書などの書類、左が各配給予算案とか改善案の書類に国家予算配分に関する書類だが?」

 

永琳は眉間を押さえながら質問を重ねる。

 

「光淵?あなたの所属部署はどこかしら?」

 

「ん?第一戦闘部隊支援部と永琳の秘書」

 

光淵は、書類を仕上げながら質問に答えていく。

それを見て永琳は、他の人が見たら目をそらすほどのにこやかな笑顔を光淵に向ける。

それを見た他の部下達は全員、部屋から出て行くまたは、目をそらし耳をふさぐ。

 

「他の部署の物を勝手に引き受けるな!さっさと返して来なさい!」

 

皆首をすくめる。が、光淵は永琳の怒声で倒れそうになった書類の山を押さえながら書類をかたづけていく。

 

「面倒だ。そして、あいつらが押しつけてきた物だがこっちで好きなようにしてもかまわんだろ。」

 

と静かに返す。

 

「・・・ねぇ・・・このやりとりは何回目かしら?」

 

「100を超えたあたりから数えてないな。」

 

それを聞いて永琳の額に血管が浮く

 

「そう・・・」

 

この時点で周りにいた物は全員避難している

特大の永琳の雷など受けたくも無いからだ。

 

最後の一人が部屋から出た瞬間内側で雷が響く。

しばらくは入れもしないだろう。

入ったら最後ボロボロになって出てくるしかない

もはや八意永琳率いる開発局の名物のようになっている。

 

「今日はどうなっているかねぇ・・・」

 

「前の時は私の机が跡形もなかった」

 

「私は私物含め全部矢だらけに・・・」

 

「「「はぁぁぁ・・・・・」」」

 

研究員のため息が響き渡る。

一番の犠牲者はこの研究員達だろう。

なんせ、原因の2人は自分の机だけしっかり守ってるからだ。

 

「ん?お前達何をしてるんだ?」

 

話しかけたのは鳳扇であった。書類仕事は全部光淵にまかせっきりでその書類の受け渡しや引き取りをするためによく来ていた。

普通は、部下に行かせるものであろうが本人が来るのが日課のようなものになっていた。

 

「あ、鳳扇隊長殿。・・・実は・・・」

 

何が部屋の中で起きているのか説明すると・・・

 

「・・・・またか、何回目だ?というより何億年あのやりとりしてるんだ?」

 

「光淵さんがなかなかあれですから・・・」

 

「だがなぁ・・・八意様の言うことはもっともだが光淵殿のおかげでこの都が成り立っているからなぁ・・・」

 

「「「そうですよねぇ・・・」」」

 

ここの部署に所属しているのはまともな人達だけである。

上の2人があれなためまず近づきたがらない。

そして、光淵の手元に来る書類は基本的にこの国に直結するような重要なものばかりであるからだ。

 

 

鳳扇、永琳による説得により、永琳が光淵の身を引き受けた。

秘書官のようなこともしつつ、鳳扇のところで能力の強化などを行った。

光淵は

「魔法を使う程度の能力」

を持っていた。

今まで、無意識にそれにより身体強化を行い、斬撃に魔力を乗せ飛ばしていた。

そして、あと2つ誰も本人も気づいていないが

「全ての記憶と技能を写す程度の能力」

を持っていた。

これは、その人の動きを完璧にまねをしたり、記憶を自分に写しこませる能力

とある場所から引き継がれたものである。

もう一つは▇▇▇▇▇▇▇

誰も知らない能力

その能力を使い、何億年と永琳達を支え、国を支えていた。

 

 

鳳扇がいつも心の中で思っていることを口にする。

 

「あいつらさっさと付き合っちまえって話なんだがな・・・」

 

「あれで仲いいって言っていいんですか?」

 

「いいんじゃないか?あいつら何かと息ぴったりというより以心伝心だ。」

 

鳳扇はとある都市での反乱での出来事を話す。

 

八意殿は開発局のトップではあるが防衛などの作戦なども行っていることは知っているな?

その都市での反乱に私の部隊が出ていたんだ。

ん?なんで後方支援の光淵関係ないって?

確かにそうなんだが・・・・

あのときは、あいつ機嫌悪くてな暴れたかったそうだ。

話に戻るぞ

その都市には他のとこからも援軍が来ていたみたいでな苦戦をしていたんだ。

そこに、八意様率いる部隊が来たんだ。

そしたらあいつすごい勢いで敵を吹き飛ばし始めてな・・・

相手を潰走状態に追い込んだんだ。

逃げた先には増援部隊が待ち構えて一網打尽。

え?普通じゃないかって?

いやいや、部隊同士で連絡取っていなかったからな。

突然暴れだしたときは何かと思った。

八意様の部隊にいたものの話だと人が飛ぶのを見た瞬間には各道に部隊を展開するように指示されたそうだ。

 

 

「「「・・・・ぱねぇ」」」

 

「だよな」

 

そんなことを局員と鳳扇が若干あきれを含みつつ話をしていた。

 

 

「「おい・・誰が仲がいいって?」」

 

男性と女性のは持った声が聞こえてくる。

それも、扉のとこからだ。

鳳扇も含めた全員がギギギッと音を立てそうな動きで顔を扉に向ける。

そこには・・・

 

笑顔をこちらに向けた光淵と永琳が顔を扉から出していた。

 

(((うん、仲いいねこれは)))

 

全員心の中でそう思っていた。

 

そしてこれからおきること分かりきっていた。

 

局員が鳳扇を突き飛ばし走り出す。

 

背後から鳳扇の悲鳴が響いてきたが振り返らず走り続ける。

心の中で謝るか、合掌しつつ走り続ける。

背後から矢が飛んでくる。

何かが崩れるような音とともに悲鳴も聞こえてくる。

捕まったら死が待っている恐怖の鬼ごっこが行われていた。

 

 

 

書類を書き続ける。

ほんとに、上には屑しかいないのかむちゃくちゃな予算配分などがあってイライラする。

それに出費と消費の計算が一致しない。

確実に着服している奴らがいる。

だが、そんなことでイライラするのも後しばらくだろう。

 

「永琳」

 

呼びかけるとすぐにこちらを向く。

 

「何かしら?」

 

「お前や鳳扇も月へ行くのだろう?」

 

「・・・・知っていたの?」

 

「噂なんて結構耳に入ってくるものだ。そもそも予算を扱ってるのは誰だと思ってるんだ?」

 

「ふふっ・・そうだったわね・・・。」

 

永琳と光淵の最初の掛け合いは演技である。

後の大喧嘩はただじゃれていただけだ。

お仕置きは本気ではあったが。

そのため部屋には永琳と光淵以外誰もいない。

(ちなみに、しっかり治療は終わっている。)

 

 

いままだ嫌だった仕事が楽しく感じられた。

永琳にとっていまが最高の時間ともいえる。

何かと、光淵がいたから楽しめたとも言える。

 

「光淵・・・一緒に行く気は・・・」

 

「すまない・・・私はここを離れることは出来ない。・・・知っているだろう?」

 

「・・・知っているわ・・・あなたからは穢れが出て行かない、その身に溜めていくことぐらい。」

 

永琳の作った穢れを排出し寿命を延ばす薬

穢れは元々地上に存在する生き物から我々に蓄積され死に至らしめる物

ならば穢れのない月へ行こうということなのだが・・・

 

光淵にそれは効かなかった、それどころか蓄積していった。

だが彼は何事もなく生きている。永琳にとっても謎のままだった。

 

「だけどその程度・・・私たちで説得すれば!」

 

「いいんだ、いいんだよ永琳。私は何回君に助けられた?これから何回君に助けられる?恩も返せていない、だが、これ以上、永琳や鳳扇を危うい立場に置きたくない。それに・・・私はこの星が好きなんだ。」

 

「そう・・・なら・・・いいわ・・・」

 

 

 

すまない永琳、こうでもしないときっと私は・・・君に甘えてしまうだろう。

きっと、それはいいことにはつながらない。

だから・・・

 

 

その日から、2人から会話が消えた。

それは、永琳と鳳扇が地球か離れる日まで続いた。

 

 

 

「ほんとに行かないのか・・・?この星にはもう・・・」

 

鳳扇が話しかける

 

「いいんだ、どうせ死ぬのならこの星で死にたい」

 

「そうか・・・」

 

会話が途切れる。

もうすぐ鳳扇も船に向かわねばならない。

時間が迫っていた。

 

「永琳は来ない・・・か・・・」

 

「鳳扇」

 

「なん・・・おまえ!何を!?」

 

そこには足下に近いほど伸びた髪を剣で切った光淵がいた。

そして、箱にその髪と懐中時計を入れる。

それと少し大きめの縦に少し長い箱を渡してきた。

 

「これを永琳に渡してくれないか・・・?」

 

「お前・・・」

 

「髪のことなんか気にすんなよ?あいつへの俺の形見だみたいなもんだ。」

 

「・・・分かった。必ず渡す。」

 

そう言って自分の荷物に押し込む。

 

「また、会えることを信じている。」

 

「ああ、またな」

 

光淵は、去って行く鳳扇の背中を見えなくなるまで見送り続けていた。

 

 

 

永琳は窓から少しずつ離れていく地球を眺めていた。

蒼く美しくも穢れに満ちた星、だがとても忘れられぬ思いのある星だ。

そして、その思い向く人はあの星に残った。

別れの言葉もなく。

 

「八意様」

 

鳳扇が膝をつきつつ手に持った物を掲げている。

 

「何かしら?鳳扇?」

 

窓の方を見たまま返事をする。

 

「光淵殿よりあなた様に渡すよう頼まれた物でございます。」

 

それを聞いて顔を鳳扇に向ける。

そしてその箱を受け取った。

 

そっとその箱を開ける。

そこには彼が気に入っていた懐中時計と彼の不思議な髪が入っていた。

 

「・・・まるでもう会えないみたいじゃない・・・ひどいわねあの人」

 

「・・・」

 

鳳扇は何も答えない

 

そしてもう一つの箱を開けるそこには・・・・

 

「これはっ・・・」

 

「花・・・ですか?いったい何の?」

 

「ミヤコワスレ・・・」

 

花言葉は

 

「また会いましょう」

 

「あのひとらしい・・・」

 

そのときだった。

 

突然窓から白く真っ赤な閃光が差し込む

2人は慌てて窓から外を見た。

そこには

 

 

真っ赤に燃える地球があった。

 

 

 

 

「「えっ・・・・?」」

 

 

ガシャンと鉢が落ち土が飛び散る。

 

ただ、沈黙がそこに流れていた。

 

 




文字数が安定しないなぁ
まあ、仕方ないよね?

お気に入り7件になりました
登録して戴いた皆様ありがとうございます。

お二方ほど見つけたときは(゜゜;)ってなりましたが・・・
これからも頑張らせていただきます。

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