東方魂探録   作:アイレス

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第68話

「あ・・・」

 

その声とともに咲夜が私の肩に頭を乗せてきた

突然のことで驚いて硬直してしまった

 

そして咲夜の異変に気づく

力が抜けて沈みそうになっていた

 

「咲夜!?しっかりしなさい!?」

 

やばい・・・長風呂しすぎた

のぼせているようだ

すぐに湯船から引き上げ脱衣所に連れて行く

タオルを咲夜にかぶせ自分もタオルを体に巻き付けて廊下に飛び出した

 

「誰か!誰かいない!?」

 

大声で叫ぶ

今ここには影陽達だけでなく紅魔館の者もいるのだ

誰かに聞こえるはずだ

 

「どうした!」

 

真っ先に影陽が空間を繋げやって来た

紅魔館勢と一緒にいたのか一緒にレミリアと紅魔館で門番をしていた紅美鈴が来た

そして廊下を鈴仙が走ってくる

 

「どうしました!?」

 

「咲夜と風呂で長話をしてしまって・・・咲夜がのぼせてしまって・・・・」

 

「「「・・・・・・・」」」

 

「・・・それだけですか?」

 

「いやそれだけって・・・」

 

「なんだ・・・心配して損したわ」

 

「そうね、それだけ話が盛り上がったんでしょう。のぼせるぐらいなんともないでしょう」

 

みんな結構薄情である

 

「ちょ!?そんな反応!?」

 

いつも冷静な永琳が慌てている

みんな、ああ何か吹っ切れたのかな?

と心の中で思った

 

「とにかく影陽以外手伝いなさい!」

 

「「「はいはい」」」

 

「じゃあ戻るわ」

 

そう言って影陽は戻っていった

残ったメンバーと永琳で咲夜を冷ます

ここに氷を操る妖精、チルノがいれば楽なのだが

いや、あれはダメかー

と紅魔館組と鈴仙は思ったが

あの子じゃ凍らせちゃうかと考え直した

 

「師匠~とりあえず服着ましょう・・・目のやり場に困ります」

 

鈴仙が声を上げる

特に

そこら辺が豊かじゃない人にとっては余計にやり場がない

永琳は言い返そうとしたが・・・

レミリアの目線が鋭く突き刺さり

渋々着替えに行った

 

 

 

「う・・・んん・・・?」

 

目を開けると霞んだ光が目に入る

ぼんやりする頭を覚醒させ自分が何所にいるか

何があったかを思い出そうとする

 

たしか・・・お風呂で永琳と話をしていて・・・

ああ・・・そうかのぼせたのか

頭が理解する

そのままぼんやりと天井を見ていたら

扉が開く音がした

 

「あらよかった。目が覚めたのね」

 

永琳が入ってくる

心配した声色だ

事故とはいえ迷惑をかけてしまった

 

「すいません・・・お母さん」

 

ぼそりとそんな言葉が漏れた

はっとして口を塞ぐが

もう遅い

永琳も目を見開いてこっちを見ていた

やってしまった・・・

 

「なんで・・・?そう・・・よん・・だの?」

 

「いえ・・・えっと・・・・何ででしょう・・・?私も分かりません・・・」

 

「そう・・・・ま、まあいいわ・・・似たようなものだしね・・・好きに・・・呼びなさい」

 

「はい・・・・」

 

そう言って彼女は水を用意して足早に出て行ってしまった

もう少し話をしたかったな・・・・

少し寂しい気持ちが心を流れていた

 


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