東方魂探録   作:アイレス

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・・・・あと1話は行く?

やばいかな・・・?

12時に間に合うか・・・


第67話

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「何でここにいるのかしら?」

 

「お嬢様と影陽様に風呂にでもと言われましたので・・・・」

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

「はあ・・・・てゐの口車に乗ったのがまずかったかしら・・・」

 

・・・・どうも永琳も誰かの口車に乗せられてここに来たらしい

私の場合完全に心配からかもしれないが

彼女が入る意味など・・・・

 

「てゐ・・・まあいたずらが大好きな兎なのだけれど・・・・」

 

 

 

「お師匠さん?何か顔色悪くない?」

 

咲夜の部屋から出て自分の部屋に戻っているときてゐに話しかけられた

 

 

「そんなことは・・・」

 

「いや・・・顔真っ青だよ・・・それに若干ふらついてるし・・・」

 

「・・・・」

 

「お風呂にでも入ってすっきりしてきたら?さすがにその状況で仕事とかは・・・」

 

(下手して巻き込まれるのは私たちだからね・・・まあ、仕方ないか・・・あんなことじゃあね)

 

「・・・そう・・・しかたないか・・・お風呂に入ってくるわ、何かったら影陽にお願い」

 

「いってらっしゃい」

 

「ふう、いいことした。鈴仙も気絶してて遊び相手いなかったしねぇ・・・あそこの3人は何か凄い盛り上がってたけど・・・」

 

てゐも悪くない

なんの悪気もない

ただ失敗して自分が自分たちが巻き込まれたくなかっただけである

まあ、日頃の行いのせいであらぬ疑いをかけられたのだが

 

 

 

なんとも言えない話だ

そのてゐと言われる兎は善意から言ったように聞こえるが

悪戯のことを聞くとなんとも言えなくなる

それにしても不思議だ

今まで話すことなどなかったはずなのに

なぜか普通に会話が出来ている

なぜだか口調がほぐれて

親しい人との会話に成ってしまう

それは彼女にも言えることだが

 

 

なぜなのだろう?

あんなに怖かったのに

今はたわいもない話で少し楽しい

それにどこかわだかまっていた物が抜け落ちた感じがする

もし・・・あの時一緒に逃げていたのなら・・・

どんな生活になっていたのだろう?

私は・・・・

母親として

本当の母親として生きていたのだろうか?

もしかしたら途中で捕まっていたかもしれない

でも・・・

この子のために必死になっていたかもしれない

影陽や輝夜、妹紅と本当の家族のように

今もそうであるような気がしないが

そこに彼女がいる未来もあったかもしれない

本当に今更だ

 

「ごめんなさい・・・・あの時・・・一緒に逃げてあげられなくて」

 

無意識のうちにその言葉が口からこぼれていた

彼女が咲夜が不思議そうな顔でこちらを見ていた

 

「私が地球に戻ってきたとき輝夜を迎えに来た日その時よ・・・あなたを逃がした・・・いえ、捨てたが正しいかもしれないわ」

 

咲夜の横で静かに言葉がスラスラと出てくる

さっきまで本当に震えを抑えながら話していた自分が嘘のようだ

 

 

あなたを研究所で見つけ書類をかき集め連れ帰って研究所を爆破した日

あなたをどうしようか迷っていた

あなたが私のところにいることがばれたら奴は喜び勇んで私を排除しようとすることは分かっていたから

でも・・・出来なかったわ

あなたの中に彼

影陽の血が入っていたから

あの時から恋心はあったわ

それで躊躇してしまって・・・

そのまま隠していたわ

そして、輝夜を迎えに行くときに一緒に連れて行った

残しておくことは出来なかったから

どのくらい月にいたのか?

だいたい1月ね

なんだか情が湧いてきたと言うのかしらね?

でも・・・月から離れてしばらくして・・・あなたの存在がばれかかってしまった

それで・・・

脱出ポットに気絶させたあなたを押し込んで射出した

一緒に逃げる・・・?

考えつかなかったわ

バカみたいでしょう?

あなたを連れて逃げるという選択肢がなかったの

最低でしょう?

情が湧いたなんて言っていたくせに本当に悪いときに見捨てた

自信がなかった

そこまでして逃げる意思もなかったのかもしれないわ

輝夜と逃げる用意はできていたのにね

その後は私は知らない

どこに落ちたのかも私は知らない

地球に落ちるようにはしていたわ

けれどね

今まで生きていたとは思わなかった

おそらく能力が関係しているのだろうけれど

 

 

 

咲夜は小さく息を吐いた

なかなかに濃い話だった

自分の話であるのに

自分のことではないような感じだ

自分のことであるのに

そして不思議と怒りも湧いてこない

理由があったからだろうか

いや・・・

私を見捨ててしまったことへの罪悪感が伝わってくるからだろう

自分で自分を責めている

それがそのことが・・・言葉の端に現れているのだ

 

「あ・・・」

 

声を出そうとして異変に気づいた

頭がぼんやりしてろれつが回らない

視界がグルリと回転し・・・・

咲夜の見る世界が真っ暗になった


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