東方魂探録   作:アイレス

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第60話

「さて何から話そうか・・・」

 

話せることなどかなり少ないのだが・・・

 

「では・・・先ほどの・・・話しそびれていた所を・・」

 

「ああ、神社のはなしか・・・君が持っている時計、それに名前が彫ってあるんだ、サクヤと」

 

「え!?そんなもの私は見たことが・・・」

 

「まあ・・・中に彫り込んであるしな・・・」

 

「でも・・・これはパチュリー様・・・も分解は無理と言われて・・・それに・・・私の名前はレミリアお嬢様につけて戴いたはず・・・」

 

「たしかめてみるか、時計を貸して貰っていいかな?」

 

そう言うと疑わしげな目を向けながらも時計を渡す

 

「心配するな壊すわけじゃない、そもそもこの時計は私が作った物だ」

 

「は!?」

 

「渡した相手は・・・永琳のはずなんだがな・・・?」

 

そう言いながら傾け、側面を少しいじる

するといとも簡単に時計が分解された

 

「えぇ!?」

 

「完全に固定されているように見えるだろうが、実は複数留め金があってな正しい順番と力加減、それと向きが合っていないと空かないんだ。それに留め金と言ってもほとんど透き間もないから魔法程度じゃ確認は出来ないだろう」

 

「そんなことが・・・」

 

「ほらあったぞ」

 

そう言って文字盤の奥

時計の内側の底

そこに小さく何かでひっかいたような文字で

サクヤ

そう書かれていた

 

「・・・ではなぜ・・・お嬢様は・・・」

 

「それはネームタグがあったのよ」

 

襖を開けながらレミリアが入ってくる

 

「お嬢様」

 

姿勢を正そうとした咲夜をレミリアは手で制す

気遣いは無用そういうことだろう

彼女は咲夜のすぐとなりに腰をおろす

 

「言っていなかったが・・・お前が家にきたとき実はタグがあったんだ。だいぶ劣化していてすぐ壊れて粉々になったんだが・・サクヤそう書かれていた。十六夜は・・・その日が十六夜あったからな・・・後はただの当て字だ」

 

なんかとんでもないことをぶっちゃけた気がするのは気のせいだろうか?

咲夜もレミリアを驚きの顔で見ている

 

「ここにある名前はまあ・・・私が作った物で、私の能力で気づいただけだからな・・・もっと詳しいことは永琳が確実に知っているはずだ。その時計は永琳が地球から離れるときに渡した物だからな」

 

その本人が今あの中で戦っている訳なのだが

どうしたものか・・・

 

お?

 

 

「どうかしたのかしら?影陽?」

 

レミリアが尋ねてくる

 

「どうやら終わったみたいだ。なんともタイミングがいいことだ。」

 

「あらそう。あの賢者がどんな醜態さらしているか楽しみだわ」

 

レミリアが立ち上がる

咲夜もそれに続く

後を追うように影陽も立ち上がる

少しは反省してくれるといいんだがなぁ・・・

 

 

すでにほとんどの妖怪は立ち去っていた

幽々子も妖夢を連れて帰ったらしい

今いるのは霊夢と魔理沙、アリス、レミリアと咲夜、そして藍と橙

妹紅は慧音を送りに行き、輝夜はてゐと掃除だ

そして

庭にいるのは紫と永琳の二人

なのだが・・・

 

「何があったのかしらね・・・これ・・・」

 

レミリアが呟く

それはここいいる全員の思いだ

藍も固まって声も出ないようだ

私も頭を抱えるしかない

あることをすっかり忘れていた

 

「気温を下げていることを忘れてた・・・」

 

そこには二人で一つの布団にくるまって縮こまって意識を失っている二人がいた

 


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