東方魂探録   作:アイレス

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自分ではこれが限界っす


第45話

彼が目覚めたとき彼は自分の部屋に寝かされていた

もし気分は?と聞かれていれば

最悪の一言だろう

倦怠感があり体が言うことを聞かない感じだ

下手に動くと体が二度と動かなくなる

そんな気もするほどに

 

体が動かせない分頭が働く

なぜこんなことになったのか全く心当たりが無い

今まで通りに能力も使えていたからだ

使いすぎということも無い

原因不明だった

 

いや・・・

原因不明ではないか

こんなことになるのは一つしかない

限界が近いのだろう

能力を多用したことか

それとも元々からこれぐらいのモノだったのか

どちらにせよもう時間が無い

窓から空を見ると月が出ていた

能力も使わない方がいいだろう

彼女たちとの時間を大切にするならば

 

「あら、目覚めたのね。なかなか起きないから心配したわ」

 

永琳がお盆をもって入ってくる

 

「すまないな・・・どれくらい寝ていた?」

 

「ほぼ1日よあの二人にはまだ話してないわ」

 

「そうか・・・永琳」

 

「何かしら?光淵?」

 

「今は影陽が正しいよ。永琳」

 

「え・・・?」

 

目を見開き驚く

今まで彼は影陽だと思っていた

だが、今は影陽だと彼は言った

つまり

 

「・・・・今までのあなたは・・・誰・・・?」

 

「光淵。後から入ってきた私ならざる魂。今話している私がもともとの魂八雲影陽。光淵は偽名だったけれど彼の名前となっただけさ」

 

さらっとなんかとんでもないことを口にしている気がする

永琳は手を眉間にあてる

あまりの答えに呆れと驚きとで一杯だった

彼女の優秀な頭がパンクしそうだ

 

「言いたいことは分かったわ。それで?なんであなたが寝込んでいるのか分かる?」

 

「予想だがね。私が、影陽が消えるからさそして光淵と一つになるその前触れって所かな。」

 

永琳がまじめな顔になりじっと顔を見つめてくる

 

「永琳、私が探していた義妹・・・彼女に私は会った。これを言えば少しは分かるのでは無いかな?」

 

「満足してしまった。とでも言いたいのかしら?」

 

「そう・・・なんだろうな。会って・・・まあ、逃げてしまったがその後でなにか私から抜けてしまった感じでな。そして彼と話して、時間を貰ってここにいる。」

 

「ひどい話ね。すぐに帰ってきてくれれば・・・なんとかでいたかもしれないのに・・・」

 

「それもまた無理だろうなぁ・・・」

 

そう言って影陽はいつものように空間を空ける

その時に顔を歪めていることに永琳は気づいた

 

「影陽・・・?能力を使うと・・・」

 

「時間は減る。だがこれは渡さないといけないから。」

 

そう言って数個の箱を取り出す

無駄に凝った造りをしている

取り出した影陽は疲れ切った雰囲気だ

 

「これで全部だ。まあ、永琳へ渡す物はこれだが・・・」

 

そう言って一番小さな箱を永琳に手渡す

手作りでかなりしっかりした箱だ

 

「なんかあれね。耀夜達の方が大きい箱だと嫉妬しそうだわ」

 

そう言いながら箱を開け固まった

そこには

シンプルだが美しい指輪が入っていたから

 

「私がいたことを忘れないための物だ・・・それぐらいの方がいいだろう?」

 

それを聞いた永琳は額に箱を持った右手を当て天井を見上げて大きくため息をつく

 

「光淵・・・いや影陽・・・こんな物を渡すぐらいなら・・・もっと気の利いた言葉も欲しいわ・・・」

 

その言葉には反応せずに顔を背ける

永琳が顔を戻してよく見てみると影陽の耳が赤かった

ついっと体を浮かせて顔を覗くとこれまた真っ赤だ

 

ぼそりと影陽が呟く

 

「長く一緒にいすぎて恥ずかしいんだよ・・・察しろ・・・」

 

その言葉で彼女は理解する

似たり寄ったりだと

何年彼と一緒にいたのだろうか?

最初は謎の脅威、その後部下いや、相方というのが正しいかその頃から彼という存在は身近ないるのが当たり前だった

しばらく分かれている間

私にとっては苦痛の時間

一番優秀で信頼のおけた彼がいないそれだけ

それだけのはずだった

私に追従できる人がいない

いつも彼がさりげなくサポートしていたことに気づかされた

それが原因で大きな罪を犯した

逃げることにしたのも彼の存在が大きかったかもしれない

そして今

ここで一緒にいる

本当に不思議なことだ

 

その時ぼそりと声が聞こえる

 

「月が綺麗だな」

 

「・・・そうね、時がこのまま止まってしまってもいいわ。」

 




静かに進んでいく二人の関係
この二人だと一気に進むところは全然思いつかなかった

さて・・・
そろそろ異変に入っていきますが・・・
この二人の関係の変化で一名面倒なことになっていますのでまたしばらく空きます

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