東方魂探録   作:アイレス

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前よりは少し短め


第41話

私は一人だった。

かすかに覚えている両親の記憶

彼らは、私を残し死んでしまった。

誰も引き取り手も居ない私を引き取ってくれたのは

父と母の親友だった人達だ

義理の両親はとても優しかった

そして私に兄ができた

不思議な瞳と髪を持つ兄は私に良くかまってくれた

私が泣いたとき泣き止むまで一緒にいてくれた

いじめられたときも私を助けに来てくれた

私の大好きな兄だった

 

しかし、義理の両親も死んでしまった

それも私を助けて死んでしまった

血もつながっていないのに

ただの親友の子供である

それだけなのに

私を助けて死んでしまった

 

その日から兄は変わってしまった

気にはかけてくれるけれどどこか上の空

兄は私のせいで血のつながった家族を失ってしまった

それが私には辛かった

兄は中学で私から離れるように旅に出て行った

義理の両親の遺産も私に残して

私には兄のことが分からなくなっていた

私のことを嫌っていないのか

なぜ、遠くに行ってしまったのか

その時は分からなかった

でも

兄は帰ってきてくれた

お金も使えないほどに用意してくれた

まだ私は嫌われていないのだろうか・・・

 

大学生になって私に親友と呼べる人が出来た

そして、兄が何をしているのかを知ったのも

なぜそんな危険なことをしているのか

聞きたかったが聞けなかった

聞いてしまうと何かが壊れる気がして

 

そして私は奇妙な物が見えるようになっていた

親友は不思議なことを探ることが大好きだった

その影響もあったのだろうか

それはどんどんはっきりと見えるようになっていった

そんなときだった彼女が消えてしまったのは

不思議な遺跡に行った後の話だ

彼女の行動が怪しくなっていた

そして、朝彼女の部屋に行ったとき

もういなかった

残っていたのは

血の跡と大量の白い鳥の羽

それと消えかかった不気味な切れ目

 

私は探した

たった一人の親友を探しに

あの隙間を探して

それがいけなかったのかもしれない

私は引きずり込まれた

その切れ目に

そして気が付けば

私は過去の地球にいた

知る人もいない

頼れるのは自分のみ

そして私は人ではなくなっていた

それに気が付いたとき

私は何を思ったのだろう?

絶望か兄と二度と会えないという悲しみか

今はもう分らない

感情の変化のせいか

人で無くなったからかは知らない

それでも

私は帰る方法を探り続けた

私の能力でも自分のいた場所に行くことはできなかった

この世界は私のいた世界とは全く違う別の場所だった

そして私はこの場所を作った

消え行く定めの者達の行きつく場所

 

幻想郷を

 

兄にも親友もいない私が望んだ

それがこの楽園

そこに兄が現れたとき

私は喜びと驚きと恐怖に襲われた

 

兄もここに来ていてまた会えたこと

私と同じく人外になっていたこと

しかし嫌われるのではないかとも思った

 

だけど彼は兄ではなかった

兄の体を奪った最悪な奴だった

そいつは神代いやそれ以上を生きてきた者らしい

勝てるかなんて考えていない

ただ兄がいなくなったことの方が悲しかった

 

 

 

 

「うわぁ・・・こりゃひでぇ」

 

萃香が呟く

神社の所に戻ってきたが階段を登り切れていない

そこから下手に頭を出すと破片に頭を持って行かれそうで

霊夢が一回結界を張って見てみたがすぐに破壊され階段のところで完全に立ち往生だ

しかし神社本体と霊夢のすんでいる所はどっちが張ったのかは知らないが強力な結界があって無事だった

が道の敷石は砕け飛んで粉々になっていたらしいが

そしてさっきから気になるのは空を飛ぶ紫のスペルの列車?と言うやつと

光淵と言っていた人物の出した黒い煙を吐く似たような物がすれ違うなどしてかなり異常だ

現状紫が劣勢のようだが相手の方は時折弾幕を出してくるのに紫はぶつけるしか無いからだろう

それに、相手の方がなにやらため込んでいる物の質も量も多いようだ

 

「そろそろやめにしようか?マエリベリー・ハーン。いや八雲紫」

 

「そうは・・・いかない・・わ・・・八雲光淵!」

 

「そうは言っても、限界だろう?本調子では無い。神社の結界に別の何かに力のほとんどを使っているようだな。」

 

紫は無言だ

だがその通りらしい

神社の結界は紫のようだ

 

「博麗大結界ことね。あれで紫は半分近く力を使っているから・・・」

 

霊夢が説明する

 

「光淵のやつ・・・全然本気じゃねぇな。」

 

「「「え!?」」」

 

「あいつ拳一つで山吹っ飛ばすことも出来るんだ。能力を使ってはいるが強力なやつは使ってねぇ」

 

「あいつ何持っているんだ」

 

魔理沙が聞く

 

「魔道書みたいに取っていく気かしら?」

 

とパチュリー

 

「取ってるんじゃないぜ借りてるだけだ」

 

「取ろうとするなよ?フリじゃ無いぞ?手に触れただけで死ぬレベルのやばいヤツも持っているからな!?そもそも盗んだら串刺し案件だ!」

 

「マジで?」

 

「一回盗んだ鬼が一瞬で串刺しにされ骨も残さず消されたからな。それにお前が盗みでもしたら妖怪の山全員で追いかけ回して取り返すからな」

 

萃香がすごむ

魔理沙も頷くしか無い

 

「妖怪がそこまでするなんてね」

 

「光淵は別さ。それにしてもまだやっているのかい」

 

だんだんゆっくりになってきてはいるが金属がぶつかり合う音は聞こえてくる

空は静かになったが

 

「・・・咲夜。紫を連れてきなさい。さすがにまずいわ」

 

「レミィ?」

 

「あのままじゃ八雲紫は死ぬ。同時に結界も壊れるわ」

 

「「「「げ・・・・」」」」

 

「そうしたいのはやまやまですが」

 

咲夜が話し出す

 

「能力が使えません。妨害されているようでして」

 

「え!?」

 

咲夜ならこの破片の中を弱った紫を連れてくることが出来ただろう

だが出来ないとなると

かなり限られる

その時

 

バガン!と凄い音とともに紫がみんなのもとに振ってきた

完全に気絶している

 

「気を失わせただけだ。後は頼むぞ。大事な妹だからな」

 

光淵はそう言う

 

「萃香すまないな、こんなとになって」

 

「いや・・・いいんだが・・・お前・・・誰だ?」

 

「私か私は八雲影炎。メリーの兄だ」

 

「「「「は・・・」」」」

 

「それじゃあ。私は帰る。これ以上いると面倒ごとが増えそうだ」

 

そういって空間を歪める

 

「おっと、この場所を片付けないとな」

 

そういって彼は指を鳴らす

するとあたりに散らばった破片や粉が集まり元の敷石へと戻っていく

道を元通りにし賽銭箱に何かを入れていた

そして歪めた空間に足を向ける

最後空間に消える前

咲夜を見て、いやその手元にある懐中時計を見て、小さく笑う

 

「君たちとはまた会うことになるだろうな。特にサクヤ、君とはね」

 

そう言い残し彼は消えた

その後、紫の式神の藍と藍の式神の橙がすっ飛んできた

今まで来ることをと止められていたようだ

だが、会話が出来なくなり慌ててすっ飛んで来たらしい

詳しい話は後にして二人は紫を抱えて飛んでいった

神社は紫がつけた傷以外は全く無かった

そして賽銭箱には大きめの金塊が4つ入っていた

迷惑料という手紙を残して

 




意味深すぎる気が・・・
まあいいや

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