東方魂探録   作:アイレス

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なんとか書けた
にしても・・・
3000近く書くことになるとは・・・


第39話

ここ数日誰かに呼ばれている気がする

誰か

それははっきりしない

だが呼ばれていることは間違いないだろう

何所に呼ばれているか

方角は分かる

どこかは知らない

だが、知っている誰かだろう

 

 

「光淵?どうかしたの?」

 

永琳がボーとしている光淵に話しかける

 

「んあ、ああ、誰かに呼ばれている気がしてな」

 

「・・・・そう」

 

「どうした?」

 

「光淵・・・・あなた・・・忘れた過去の記憶も取り戻しているんじゃ無いの?そして自分が何者であるかさえ」

 

「・・・・・ああ、だいたいはな、だが探していたはずの義妹の名前が出てこない。それに誰かの名前も」

 

「・・・そう・・・光淵はいつまでここにいられるのかしら・・・」

 

「どういうことだ?」

 

永琳は光淵の隣に座りチラッと見た後また視線を前に戻す

 

「記憶が戻ったら・・・貴方は義妹を探しに行ってしまう。見つかったら、義妹と暮らすでしょう?ここには・・・」

 

「帰ってくるよ。必ず、この場所に」

 

「え・・・?」

 

「義妹とは何年会っていないと思う?私は変わり果ててしまった、彼女の知る義兄はワタシと一つとなり元の人格はうっすらとしたかけらだけだ。義妹が受け入れてくれると思うか?それに義妹だって別の存在に成り果てているかもしれない。」

 

永琳は光淵の呟くような告白を静かに聞いていた

 

「もし・・・知っている義妹でも・・・私が彼女の知る私になる可能性はかなり低い。そして私は永遠を生きる者。生きらざるををえない者。私は何が起ころうとも生き続ける存在で、歴史からも外れ無数の世界のために生きる者。世界が終わるその時まで愛してしまった人のいるここに帰ってこよう。まあ、記憶が戻ればの話だが」

 

「それで?愛してしまった人って誰かしら?」

 

突然隣から声が響く

光淵も永琳も驚いてそちらを見た

そこにはニヤリとした輝夜と妹紅がいた

 

「お前ら・・・・」

 

「いい話聞いたわ~。で?誰が好きなの?」

 

「言わんよ。その前にお前ら・・・その顔をするとそっくりだな」

 

いつもならここで二人は怒るだろう

しかし今日に限って・・・口を滑らせたときに限って仲がいい

こんな時は逃げるが勝ちだ

さっさと使えるようになった空間をいじり逃げ出す

 

「「あ!逃げた!」」

 

後ろから二人の声が聞こえたが無視して入り口を閉めておく

出たのは里に近い竹林の中

そこにきて誰が何をしているのかに気がついた

 

「これ・・・萃香が萃めているのか・・・」

 

思わず声に出てしまう

萃香は地底にこもってしまった

でもまた出てきたというのか

やはり彼女は人間が好きだったのか

思い出すと少し懐かしさがこみ上げてきた

酒でも持っていてやるかな

誰が何をしているか

それがはっきりして萃香のいる場所も分かった

なら行かねばなるまい

彼女の親友として

 

光淵は足を進める

今逃げてきた永遠亭に

ちゃんと準備をしなければ

 

 

 

永遠亭に戻ったとたん二人にまとわりつかれた

しかしそれを振り切って自分の部屋に向かう

だが、二人とも両腕にぶら下がるようにつかまっていてなかなか離れない

鈴仙が見ているがどうすればいいのか分からずオロオロしているだけだ

 

「輝夜、妹紅離れなさい。光淵は出かける準備しなければならないから」

 

さすが永琳。光淵が何をしようとしているかなんとなく分かったらしい

だが、その手に持っている黒っぽい服が怪しいが

 

「光淵?今更なのだけれど。髪は切らないのかしら?踏みそうで怖いのだけれど」

 

ふむ確かに軽くまとめてはいるが解けば床で引きずるぐらいだ

確かにそろそろ切ってもいいか

以前切ったのは永琳と別れた時以来か

 

「ふむ・・・じゃあ切るか」

 

そう言って空間から剣を出しそのまま切り落とす

ばさっと音を立てて髪が落ちる

妹紅も輝夜もあまりのことに離れた

 

「・・・そんな切り方をするとは思わなかったわ・・・。整えてあげるからそこで待っていなさい」

 

永琳は服をおいて自分の部屋に向かおうとする

 

「はさみならあるよ」

 

空間からはさみを取り出し手渡す

 

しばらく大人しく切られていて髪はきれいに整えられた

 

「光淵?この服着てみないかしら?」

 

そう言って広げたのは軍服のような黒い服

あちこちに金のラインが入り肩章や飾緒まで入っている

 

「昔の月の礼装軍服をイメージして作った物よ!」

 

なんか永琳がすごく燃えている

あまりの気迫に着ることを承認してしまった

 

「完成度高すぎじゃ無いか?これ・・・」

 

「ふふふ・・・本物をちょこちょこ改造したものですから」

 

「・・・・」

 

あまりのことに声も出ない

黒の服とは反対に手袋は白

帽子もあり、竹と月の紋章が付いている

これに勇儀からもらった刀は相性抜群だろう

あの刀と鞘は最低限だが美しい飾りが描かれ彫られている

一応太刀を腰につるす

 

「・・・似合いすぎ・・・」

 

「永琳・・・どれだけよ・・・」

 

「かっこいいですねぇ・・・」

 

「それは同意するうさ似合ってかっこいいうさ。でもなんで光淵の服のサイズを師匠が知っているうさ・・・」

 

皆の頭にそういえば確かに。と頭に浮かぶしかし永琳から鋭い目線を受け声には出さないでおく

触らぬ神に祟りなし

 

「まあ、いいだろう。結構気に入った」

 

「「「「え!?」」」」

 

永琳以外の声が重なる

その永琳は見えないように小さくガッツポーズをしていた

 

「見た目はきっちりとしているが意外と動きやすいしな」

 

動きやすいだけでなく、袖にナイフを仕込めるようになっている。見た目は礼装軍服だが実際は戦闘服と大差ない。

きらびやかで良く目立つが

そして用意されていた軍用ブーツはつま先に鉄板と仕込みナイフ、かかとには鉄板と強力な武器だ

ただ誰と戦う気なのだろうと言う気はするが

そして帰ってきたとき言おうとしていたことを思い出す

 

「永琳すまないが少し懐かしい親友に会って来る」

 

「あら、誰?」

 

「伊吹萃香会ったことあるだろう?地底に下りたあの鬼だ」

 

「ああ、あの時の・・・帰ってきていたの」

 

「ああ、そうらしい」

 

「じゃあ、あれを用意するわ持って行きなさい」

 

そう言って永琳が倉に案内する

そこには大量のタルが置かれていた

 

「・・・いつの間に酒樽なんて・・・」

 

「内緒よ?」

 

まあ別にかまわないのだが

 

そこから一つ樽を取り出す

 

「これ持って行っていいわよ」

 

「結構太っ腹だな・・・」

 

「あの鬼なら少しくらい色をつけていたもいいでしょう?」

 

「まあ、そうだが・・・分かったもらっていこう」

 

樽を持ち空間に納める

さすがに担いで行くのはあれだ

目立つし見た目が悪い

軍服姿でデカい酒樽を担いでいる姿・・・なんとも言えない

 

「それじゃあ行ってくる」

 

「はい、行ってらっしゃい」

 

「「いってらー」」

 

輝夜と妹紅が声を重ねて送り出す

いつの間にあんなに仲良くなった!?と突っ込んでみたい

たぶんはぐらかされるだろうが

鈴仙は頭を下げて送り出す

てゐは屋根の上からチラッと見ている耳が丸見えだ

まあ、送りをしているのは分かる

 

さて、人里より外か・・・何千年ぶりだろうか

外はもう昭和後期・・・いやもう平成か・・・

どうなっているのやら・・・




本当にこれからどうなるかわかりませんからね?

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