東方魂探録   作:アイレス

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どこかの世界では妹紅が輝夜をお母様なんて呼ぶ世界があったりするのかね




第22話

本当に面倒臭いことになってしまった

何でか私が父親の位置にいる

そりゃ見た目上そうなることは知っていたが

老夫婦もあのあと受け入れてくれた

輝夜が元々その気だった感じだが

 

輝夜が大きくなってきて老夫婦は都で住むことを決めた

天から与えられた子だ

こんな田舎で過ごして良いものか?

ということらしい

もちろん私も一緒にだ

資金はなぜか竹の中から出てくる金だ

完全に何か裏がある感じだ

月には・・・いい奴らなんて居ただろうか?

 

そんなわけで遷都された京の都の私は居る

貴族では無いはずなのに貴族と同じ暮らしだ

寝殿造りの家に住み直衣を着ている

ほんとこの時代の貴族というのはよく分からない

 

「お父上様?どうなさいました?」

 

「いや、なんでもないよ輝夜」

 

変わらないのは輝夜ぐらいか

案外伝わっていたのは表の顔だったらしい

実際はなかなかアクティブな子だ

勝手に外に行かれたりするとこっちが困るのだが・・・

 

「どこか行きたいところはあるか?」

 

最近は求婚の申し込みが殺到してうんざりしているだろう

こんな時に脱走されては困る

主に私が

 

「う~ん・・・花のきれいなところかな」

 

「珍しいな、君なら人気の無い里山と言うと思ったのだが」

 

「それも考えたけど、ちょっと花を愛でたい気分でね?」

 

「人も多いぞ?」

 

「いつも通りお父様の牛車に乗せてもらうわ」

 

周りの世話役達が居なくなり移動方法も出てくる

 

「普通はいかんことなんだろうがなぁ・・・」

 

普通移動の場合の牛車は別々だ

だがお忍びの時は私の牛車に乗っていたりする

輝夜は有名人だ

当然牛車も誰の者かすぐに分かる

私の場合そんなことにはならないから使っているというわけだ

時々私に取り入るために娘をお近づけにしようなど

結構迷惑だが

最近はあんまり無い

萃香が遊びに百鬼夜行で来たときに思いっきり蹴り飛ばしたからだ(その後萃香がこっそり苦情を言ってきたが)

鬼子と蹴り飛ばす強い人

人間じゃ無いと思われたのだろう

恋文はなぜか多くなったが

父親が遠慮しても娘はそうでは無いらしい

片っ端から輝夜が破き焼き捨てているが

子供にとって親を奪われるほど恐ろしいものは無いと言うが

それであろうか?

母親なしの父だけで後は祖父母

そんな構成の家族のようなものだ

誰も血はつながっていないが私が近く一番接していた

年齢的にも父親で行ける

だからであろうか

なにやら私に執着しているような気がする。

まあ・・・もうどうでもいいか

こういうのも悪くない

 

 

「で、帰ってきたらこれか」

 

「たまったもんじゃ無いわ」

 

目線の先にあるのは5枚の手紙

つまりアレだ

 

「どうするかは輝夜が決めてくれ私は口出ししない自由でいい」

 

「普通親が口出しするところだと思うけど?」

 

「できるか!阿呆!私にそんな知識は無い!結婚するにしてもお前の意志でしろ!」

 

「ごもっとも」

 

「ちょっと出てくる。すぐ戻るが」

 

こめかみを押さえつつ席を立ち出て行く

従者が何人か付いてくるが断る

今は一人になりたい

牛車も出さず歩いて通りへ出る

そして大内裏へ続く朱雀大路へ出る

一番人通りが多く活気のある道だ

まあ、主要な大路は活気があるものだが

無数にある小道は薄暗く活気も無く瘴気がたまりやすい

覆う結界も入ってくるものを押さえてはいるが弱いものだ

だがそれ以前に出て行くことができない

入ってしまえば二度と出ることができないのだ

自由に出入りができるのは強い力を持つ妖怪だけだ

これが魔京などと言われる要因だろう

直す気も無いが

 

「ん?」

 

目線を黒い髪と上品な着物が横切る

目で追うと貴族の娘らしき子が一人いた

さすがにほおっておく訳にはいくまい

 

「おい、ここで何をしているんだ?女子一人で来るようなとこじゃ無いぞ」

 

「・・・・・」

 

「何か言ってくれ家にも送れん。」

 

「・・・・一人で帰れる」

 

ぼそりと呟くように答える

ふてくされた輝夜のようだが・・・

ここはそんな甘いところでは無い

意外と悪い奴は居るものだ

 

「意外とこういうところは悪い奴が多いんだ貴族の女子なんていいカモだ」

 

「・・・・・」

 

「送っていってやるだけだ約束しよう」

 

彼女は無言で歩き始める

早速なにやら怪しい動きをした男が居たので目線で封じる

萃香に教えてもらったものだがかなり役にたつ

 

やがて貴族の屋敷の密集する地区に入ってきた

私たちの住むのはかなり外れた地区になるためここに足を踏み入れたことは無い

なんだかイヤな予感しかない

一つの屋敷から数人の男が出入りしている

その一人がこちらを指させばそれはもうアレだろう

あそこがこの子の家でこの子はこっそり抜け出してきたわけだ

 

「キサマ!藤原様の娘どのをなぜ連れている!名を名乗れ!」

 

その声を聞いてかなんか偉そうなおっさんが出てくる

それなりに顔はいいかな?

それなりに渋いおっちゃんだ

あれがこの子の親だろう

 

「私はこの子が朱雀大路のところに居たから送ってきただけだ。もうすぐ日が暮れるからな。何者かと言われると・・・輝夜姫の親ってところか」

 

そうとしか答えようが無いのが悲しいところだが・・・

なんだか怪しい雰囲気しか無いな・・・

 




また萃香突っ込ませるわけにはいかないからなぁ・・・・
どないしよ

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