東方魂探録   作:アイレス

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今日はここまでにしておくか

まだ書き溜めが進んでないんでね


第2話

ここはどこだろう。

 

何かを俯瞰しているような感覚しかし、真っ暗だ

 

何も存在しない

 

何もない

 

光も影も星も空気も人も

 

あるのは闇

 

何もないあるのはすべてを塗りつぶす漆黒の闇

 

そのはずだった。

 

その闇の中に小さな小さな米粒ほどの大きさの光が生まれた

 

なぜ生まれたのかなど誰も知らない気づけば生まれていた

 

その生まれた光は少しずつ少しずつ大きくなっていった。

 

漆黒の闇の中でたった一つのその光

 

光あふれる中ではとても弱弱しく見えたかもしれない

 

しかし漆黒の闇の中ではその光でさえも

 

強く光り輝く星であった。

 

もし、その光景を見た者がいたなら

 

闇を払い道を照らす希望の星

 

そう見えただろう。

 

その光は手のひらサイズまで大きくなった。

 

しかし

 

それが限界だった

 

その光はすべてを照らしたかった

 

この光なき世界を光で満たしたかった

 

大切なものを作りたかった

 

明るい世界それが望みだった。

 

しかし闇に押し負け縮んでいく

 

だが

 

あきらめなかった

 

光は自らの力をすべて縮めた

 

闇はさらに押し込む

 

光は初めの米粒の大きさよりもさらに小さく小さく

 

目には見えないほど押しつぶされた。

 

そして光は・・・・

 

すべての力を解放した。

 

一気に光が闇を払う

 

ただの闇しかなかった世界に光が満ちる。

 

その力は・・・

 

存在しえなかったものを作り出す

 

重力 時間 空間 熱 原子 恒星 銀河 惑星 

 

植物 動物 神 人 

 

感情 精神 魂 宗教

 

もっともっとたくさんのものが生まれた  

 

そして

 

時間と空間が出来たとき世界は分裂した

 

いや、分裂と言うよりも目には見えないが平行するように存在する世界が生まれた

 

時が進むほどものは増えていく

 

その過程で選択肢が生まれる

 

その選択肢が世界を増やす

 

その中で消えていく世界もある

 

それでも世界の時は止まらない

 

光を暗闇に満たしていく

 

だが光だけでは無く闇もまた広がっていく

 

光と闇は表裏一体

 

光は陰が無ければ輝けない

 

闇は光がなければ生まれるのは無だけだ

 

感情も同じだ

 

良い感情だけでは人類は発達しない

 

その代わり、犠牲になるもの達も多くいる。

 

それが悲しかった。

 

多くの種が平和で明るく笑顔で過ごせる世界

 

それが望みのはずだった

 

なぜ、世界はうまくいかないのだろう

 

なぜ星は人類のみを守ろうと動くのか

 

彼は理解したこの世に正義などない

 

悪もないただ個人の正義のようなものがあるだけだ

 

だから放っておくことにした

 

願いは絶対にかなうことはない

 

もうどこか彼は疲れていた、あきれていた、失望していた

 

光で世界を照らせたそれはいい

 

だが、

 

光が強くなりすぎた

 

光が世界を照らしすぎ目には見えない闇を強くした

 

心の闇 精神の闇 力の崇拝 思いやりの欠如 暴力

 

それらは世界を破滅に導くそんな力

 

そんなことに誰も気づかない

 

まるで誰もがそれを望んでいるかのように

 

いや、気付かない振りをしている

 

それを理解しているから彼は世界を見捨てた

 

知覚している全ての平行世界でさえも

 

全ては自分が作ったものだから彼は知っている

 

自分が介入しようが変わらぬことを

 

強引に変えようとしても意味の無いことを

 

神が介入するのをやめたように

 

その前にもう力が残っていなかった

 

いや、どんな力でもどんな能力でも使うことは出来る

 

しかし、長い年月は彼から使うだけの力を奪った。

 

何かが出来るたび彼だけの空間に物が増える

 

武器だろうが作物だろうが何でもかんでも

 

忘れ去られた物たち

 

世界から不要と記録は残っても実物は無い物

 

そんなものをすべて押し付けられた

 

使う力が無いのでは無い

 

使おうという気力が無い

 

それほど疲れていた

 

神からも忘れ去られてもいた

 

人の姿もとれない

 

そもそも肉体は存在しない

 

魂の姿でとある世界の一つに行くことにした

 

消えてしまうのなら滅びゆく世界でも構わない

 

ただ美しい物が見たいそんな思いだった

 

 

彼はとある島国の山に来ていた

 

その日は新たな年の始まりの日

 

その夜明け前だ

 

日が昇りはじめ空が明るくなっていく

 

周りには多くの人が来ていた

 

その中に気になる夫婦がいた

 

どの者たちもただ己の願いを願う中

 

その夫妻は互いのことをいまだ生まれぬ子のことを

 

平和を願っていた

 

このようなものもいるのか

 

彼が初めて出会った者たちであった

 

今までこのような者たちにはあったことがなかった

 

だが悲しきかな

 

腹の中の小さな子は生きながらえないそれがわかるほど弱弱しかった

 

だが助けることはしない、いやできない

 

助けてしまえば世界に見つかる

 

見つかってしまえばこの場もろともすべて破壊し私を消し去るだろう

 

それが世界

 

人間にとって邪魔なもの

 

長期的に見れば大切なものでも今、邪魔なら消し去り

 

人間の危険な時に強引に呼び出し使役させる

 

世界を作った私もそれにするつもりだろう

 

そんなものに成り下がる気はない。

 

だから助けられない

 

多くの人もろとも消えてしまうから

 

愚かしくても生きている

 

己のことに巻き込みたくはない。

 

そのまま、離れようとした、

 

だが、離れられなかった。

 

引き付ける大本はその腹の子だった

 

必死に生きようとするその子の力だった

 

力をほぼ失いかけていた彼に抵抗することはかなわない

 

その子の体の中に取りこまれた。

 

そして魂が混ざり合った

 

普通なら元居た魂は消えるはずだった、だが

 

今に至るまでを生きていた魂が弱っていたことで混ざり合ったのだ

 

そしてもう一つ

 

世界は彼を見失った。

 

世界の終わりに対するカウンターとして

 

使おうとしていた存在は別の魂と混ざることで追跡から逃れたのだった。

 

始まりの存在はもういない

 

別の、新たな存在として始まったのだから。

 

 

生まれた子供をみて目を見開く。

 

それは、自分自身だった。

 

突然体が引っ張られ、視界が明るくなる。

 

それと同時に、頭に情報が流れこんで来る。

 

で、意識は途切れた。




さて?
彼は何所に流れ着くのか

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