東方魂探録   作:アイレス

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このあたりから時系列が前後したりキャラの崩壊等が激しくなっていくかと思います
もしくはしゃべらなかったり
話が飛んだり

私の器量不足ですね



第19話

結局私は何をしているんだろう?

妖怪の山に来て何年がたっただろう?

私は未だに妖怪の山にいる

何をしているのか?

それは・・・

 

ものすごい音とともに鬼がぶっ飛んできて家の壁に穴が開く

 

「・・・・・大丈夫か?」

 

「うう」

 

飛んできた鬼がうっすら目を開ける

 

「す、すいませんまた・・・・」

 

「もうあきらめた、しゃべるな・・・勇儀か?」

 

鬼は無言でうなずく

 

「おい!誰か!こいつを連れて行け!勇儀は私が相手をする!」

 

天狗や白狼天狗が鬼を抱えていく

 

そして壁の陰に隠れている鬼に話しかける

 

「また、お前か?勇儀?萃香が居ないからって暴れすぎだ」

 

「うっ・・・・すまねぇ・・・」

 

「お前は私の家を壊すと酔いが覚める体質はどうなんだ?勝負なら乗ってやるから周りに被害を出すな」

 

「家くらいいいじゃないか私たちが直すんだから」

 

「もういい、知ってた、このやりとりはいったい何回目だ?」

 

「・・・・」

 

なぜであろうか

とても懐かしい感じがするのだ

立場が違う気はするのだが

どこかとても懐かしいやりとりだ

 

・・・そろそろここを離れなければならない

ここのトップは鬼となっているが私がトップになっている

鬼の四天王を倒したかららしいが

怖がられず天狗と白狼天狗から支持されのは

かばったり、鬼を押されるようにしたからだろうが

私が居ることで成り立つシステムなど

いざというときに何の役にもたたないだろう

それに・・・

私の記憶も探しに行かなければならない

 

「天魔、私はそろそろ出て行こうと思う」

 

酒の席でそう切り出す

 

「・・・・えっ?」

 

「皆が私を頼りにして信頼してくれていることは知っている・・・だが・・・失ってしまった記憶を取り戻したい、そういう願いが私にもあるのだ・・・」

 

「・・・・・」

 

「鬼は私が居なくなることで又迷惑が大きくなるだろう、すまない先に謝っておく」

 

天魔は頭を抱えている

当たり前だ

一番の悩みが復活するようなものだ

 

「天魔、私はふいに戻ってくることもあるかもしれんそれだけは言っておこう」

 

「・・・・分かりました、あなたの問題です私が口出しできることではないでしょう。それに・・・」

 

「?」

 

「私はあなたの友人なのです。あなたを応援したい」

 

「ありがとう、天魔・・・さて、勇儀のところに行ってくるあちらにも言っておかないとな」

 

「お気をつけて」

 

軽く手を上げ、背中越しに返事をする

向かうのは勇儀の家だ

萃香は・・・どこぞの山で暴れてるらしい

旅先では会いたくないな山が吹っ飛びかねん

 

 

勇儀は縁側で杯を手に酒を飲んでいた

どんな酒でも高級の酒になるという杯だ

 

「おや、珍しいね?あんたがここに来るなんて」

 

「なに、大切な話さ、萃香が居なくて助かった居たら面倒が増えていたところだ」

 

「・・・出て行くのかい?」

 

「・・・よく分かったな」

 

「なんとなくね、始めに会った時そんな話はしていただろう?ちょっとびくびくしていたのさ」

 

「こんな、口うるさい奴が居なくなって過ごしやすくなるだろう?」

 

すこし、にやりと笑いかける

勇儀は少しさびしそうな顔をする

 

「いいや、みんな寂しくなると思うよ?なんだかんだ言って鬼もあんたを気に入ってるんだ」

 

「そうか?」

 

「あんたはお人好しだからねぇ、無茶なことを言っても聞いてくれるし、頑丈で強い奴だからね私と萃香の無茶も全部引き受けていたからそこら辺はいいのさ。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「寂しいだけさ・・・ちょっとね」

 

「また帰ってくるさ・・・あさって頃には出る何かわがままは聞いてやるから。じゃあな」

 

「どうしたもんかねぇ・・・行ってほしくないが・・・」

 

ちょっとこれは難しい

気に入ったものは束縛する

鬼として正しい姿

だが、彼のことを理解してしまった身としては

送り出してやりたいのだ

なんとも難儀な性格になってしまったもんである

みんな悲しむだろう

ついて行こうなんてする奴もいるかもしれない

天狗や白狼天狗なら別にいい

あいつらは変化を拒みすぎる

今では、慣れていても

彼以外ならば排除するだろう

そこら辺も考えなければ

 

・・・なにかいい贈り物はないだろうか

 

 

 

 

あっという間に出立の日か

アレはやばかったな

・・・大宴会になるとは思わなかった・・・

おかげで若干二日酔い気味だ

酔いにくい体質でも樽単位で呑むことになろうとは思いもしなかった

 

「さて行くか・・・」

 

山に背も向けようとする

 

「光淵殿!」

 

羽音とともに天魔が降りてくる

というより落ちてきた

昨日たんまり呑まされてふらふらなのに飛んできたらしい

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫です。それよりこれを」

 

天魔が差し出してきた物それは山伏装束だった

 

「これなら身分を言わずともあちこちを旅できるでしょう?急いで準備した物です。あなたには必要ないかもしれませんが」

 

「いや、ありがたく頂戴しよう。変に人外のような行動は避けたかったんだ。ありがとう」

 

今の時代人は多くなっているだろう

人外として過ごすよりも人として過ごした方が動きやすいだろう

それにいざとなれば妖怪を倒す仕事でもすればいい

 

「そうですか良かったです。」

 

「私たちも持ってきたぞ」

 

背後に勇儀そして鬼達

若干ふらふらだがそこは見ないことにする

 

勇儀が二本の刀を差し出す

太刀と小太刀だ

 

「太刀の方が鬼斬紅姫、小太刀が泣鬼桜散花私たち鬼全員で造った刀だ私達鬼を普通の人間であろうと切れるような代物だ」

 

「・・・・・・いいのか?こんな物を私なんかに渡して?」

 

「あんたに渡せそうな物ってそうそうないんだよ理解してくれあとは・・・」

 

勇儀は苦笑しながらもう一つの贈り物を取り出し渡してきた

 

「・・・これは・・・伊吹瓢に星熊盃じゃないか?」

 

「新しく造ったのさ私たちのことを忘れないようにするためにね。そうそう、伊吹瓢の酒はちゃんと人が飲めるぐらいにしているよ。他の人も飲むこともあるだろうからね」

 

「そりゃそうだあんなモン飲んだら死ぬわ」

 

皆で笑う

冗談を言いながら

 

「萃香に言っておいてくれ、複数の山伏の持ってくる酒には気をつけろってな」

 

「?分かった」

 

「あいつと会うこともあるだろうが・・・頼んだよ」

 

手を振りながら歩き去る

その背を妖怪の山にいる鬼達と天魔が見送っていた

 


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