東方魂探録   作:アイレス

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今日はちょっと長めかな?
このあたりから時系列が怪しくなってくるかも



第16話

時というのは進みはしても戻ることはあり得ない。

止めることは出来てもさかのぼるなんて芸当は神でも出来やしない

決まってしまった過去は覆せない

あきれたことに私の過去は後悔だらけだ

滑稽ですらある

守ってやると約束したのにもかかわらず自ら約束を違え出奔した

少しでも

一緒にいたいそう思った彼を彼女をいいわけで捨て、地上に残る

本当の体の持ち主を殺す

本当は一緒にいることが出来たのに

眠りにつかせた少女

自分だけ残り、守るためとはいえ結界の中に閉じ込めた少女

私がそばにいてやれば

一緒にいるならば

そんなことはしなくて良かった

なぜ私は守りたいと思った者も

見捨ててしまうのだろう

ともにいることが怖いからか

恐れられることが怖いからか

私がそうしたいからか

分からない

分からない

自分が何をしたいのか

何をすべきなのか

本当に私は何なのだ

何者なのだ

彼なのか

私なのか

別な何かか

記憶が定まらない

行動も

言葉も

何もかも

どれが本当の記憶なのか

どれが私の記憶だ

彼女の

探している彼女の名は

だれだ?

誰だった?

名前は・・・

彼女たちの名前は何だった?

 

 

気づけば山あいの小さな川に来ていた

いや、川というより沢の方がいいかもしれない

いつからここにいたのか知らない

神と神もどきから逃げてきてから記憶が定かでない

いったいいつから?

何所まできたのか

どうやって?

どのくらいの時間?

私は

八雲 光淵

それは私の名前だ

だがそれ以外の名前が思い出せない

あの銀の長い髪は誰だったか

それと

抱えている銀の短髪の子はいったい何なのだろう

思い出せない

分からない

大切な人のはずなのに

私はいったいどうしたというのだろう

髪の色も瞳の色も黒に染まっている

なにが・・・?

 

 

 

「おい、そこの人間何をしている?」

 

声をかけられそちらを向くと

大小、それぞれ1本と2本の角を生やした鬼がいた

実力はかなりあるようだ

 

「別に何も・・・ただ考え事をしていただけさ」

 

「嘘は良くないね、昨日もその前もお前はそこにいた、考え事というのは無茶があるだろ?」

 

「そうかもしれないね、だがそれが出来る者もいるかもしれないよ?事実ここにいるわけだ」

 

「怪しいねぇ・・・」

 

「だけど、嘘は言っていないようだよ、勇儀。嘘をついたいるんならこんなことは、言わないだろう?」

 

「嘘をつき慣れている奴じゃなければね。」

 

まいった、実に嘘はつき慣れている

悲しいことだ

だがそれで、自分は

今の現状になっているのだから

笑えない

 

手を上げ首を振る

 

「何やってんだい?」

 

背が高く額から星の柄の角を生やした鬼、勇儀が私の行動を尋ねる

 

「いや、なにお前さんの言うとおりだと思ってね?」

 

「・・・なに?」

 

「嘘をつき約束を違え、大切な者を失い、自らの記憶さえも無くしたそれが私だ、ああ、ここの部分は本当だからな?事実、私は自分の名前以外、探していた義妹の名前さえ忘れてしまった」

 

「ううん・・・自業自得な気がしてきたぞ?それ」

 

「なに、嘘なんかよりもっとひどいことをしているんだ、まだ軽い罰だろうよ」

 

「それ、自分で言うことかい?」

 

二人の鬼があきれた目で私を見ている

鬼をあきれさせる人間

どういう人物だろうな?

 

「そっちの名前は一人聞いてしまったが名乗っておこう、名乗ると言っても、元々の名前を忘れてしまったが故にただの偽名の域を出ないものだが、そこは容赦を、八雲光淵という。」

 

「忘れてしまったのなら仕方ないさ、むしろそっちを本名にした方がいいだろ?どこかしっくりくる。おっと、私の名前は伊吹萃香、見たまま鬼だよ、こっちのデカいのは星熊勇儀」

 

「・・・・伊吹・・・?・・・伊吹山・・・鬼・・・酒呑童子と星熊童子か?」

 

その答えに二人は驚く

 

「へぇ!こんな北のド田舎の山でその名を聞くことになるとは思わなかったよ」

 

「全くだ。だが、忘れたと言っていなかったか?」

 

勇儀から無言の圧力がかかる

それを平然と受けながら答える

 

「忘れたのは大切な人達の名前だ、必要な知識は残っているよ。まあ、鬼への対処法は知らないが」

 

「そうかい、また難儀なこった。対処法なぁ・・・萃香にゃ酒飲ませときゃいいさ」

 

勇儀が親指で萃香を指しながら答える。

 

「そりゃないよ、勇儀ぃ・・・」

 

なにやら軽く扱われてすねたようだ

 

「酒ねぇ・・・気をつけろよ、酒はいいものだが毒でもある、私も大概な嘘つきだが皆嘘はつく酒なんて最大の弱点みたいな物だ気をつけろよ?もらい物お酒とかには」

 

「それでも酒はやめられねぇ!」

 

「「ダメだこりゃ」」

 

勇儀と二人であきれるしかない

生粋の酒飲みだ

 

「で?なんでお二人はこんなところに?住処はここから離れているんでしょうに」

 

河原のとこで大きめの石に座り火を囲んで三人で話す

他の人間が見たら目をむくだろう

人間が鬼2人と仲良く話しているんだから

 

「酒虫ってのを探してるんだよ、何でも水を酒に替える虫ってんでね」

 

「私はそれにつきあわされたわけだ」

 

「酒虫ねぇ・・・昔見たことはあるぞ」

 

「「何!!?」」

 

二人がものすごい勢いで反応する

 

「いったい何所でいつ見たんだ!?」

 

「教えてくれ!実を言うといい加減参ってたんだ!」

 

「どういうことだそれ!」

 

「二言目には酒酒言ってた奴のせいだ!」

 

「なにおぅ!?」

 

なにやらけんかが始まってしまった

そして絶望的なことを言うしかない

 

「あー、すまんが、私が見たのはだいたい3億年ぐらい前の話だぞ?それにあのときと気候も何もかも違っているからいるかどうか・・・・」

 

二人がけんかをぴたっとやめてこちらを凝視している

なにか化け物を見るような目で

 

「今なんて言った?」

 

「3・・・億・・・?」

 

「そっちに食いつくのか?」

 

「「当たり前だ!!!」」

 

「億なんてほんとなにもんだ!?」

 

「さあ?何だろな、」

 

ニヤリと笑い返してやる

 

「そうそう、実年齢は3億に137億ぐらい足しとけよ?」

 

「「    」」

 

「冗談だ、そんなに生きてるわけないだろう?」

 

事実魂だけならそれぐらいは生きているが

あまり鬼をからかうのは良くはないだろう

お詫びに酒でも振る舞ってやるとするか

そう思い空間に手を突っ込む

また二人の目が点になる

 

「ほら、酒だ、からかってすまなかったな」

 

「もう驚きっぱなしだよ・・・」

 

そう言いながらも酒は受け取る

 

 

 

「酒虫の件だが・・・」

 

「ん?ああ、それがどうした?」

 

「手伝ってやろう、どうせ暇な身だ。」

 

「・・・いいのかい?」

 

「記憶を探そうにもここがどこだか知らないしなお前達について行った方が面白そうだしな。」

 

「そうか・・・そんじゃ、手伝ってもらうよ」

 

「見つけられるよう頑張らせてもらう、嘘をつかんよう頑張るよ」

 

薄く笑いながら握手をする

そして杯を合わせ、酒を酔いつぶれるまで飲み合った。

 




初めてこんなに長く小説が続いてる気がしている


・・・夏目友人帳と東方projectのコラボって行けるかな?
考えてみようかな

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