とある夏の日のことだ
その日は異様に暑い日であった
日本で暑い日というと湿気も凄く蒸し暑いのことだ
その通り、とてつもなく蒸し暑い日であった
なぜかは分からないが、外の世界の異様な暑さが幻想入りでもしたんじゃないかと思うような暑さだ
おかげで、熱中症や日射病で倒れる人が続出し、永遠亭は大忙しの日だった
「つ・・・疲れた・・・」
ぐったりとだらしなく輝夜が畳の上で寝そべっていた
その隣でも、妹紅が同じように寝そべっていた
二人とも人手が足りずにかり出されていた
二人だけでなく、影陽やてゐ、鈴仙と全員が駆り出され人里や妖怪の山にまで治療に行く羽目になった
妖怪の山は・・・まあ、なれない暑さの中、いつも通り仕事をしてしたため次々とぶっ倒れたらしい
影陽が向かい、めんどくさかったため、玄武の沢に天幕を張り、そこの下で横にさせ、河童に水をかけさせて回復させた
次から次へと運ばれてくる患者にイライラしていたせいもあるかもしれないが
なかなか荒っぽい治療だった
まあ、患者を運んでいた者がこんどは患者になって帰ってくるという
対策を全くとらない天狗にいらだったのだ
ちなみに治療費は迷惑料を含めて莫大な金と薬草が永遠亭に運ばれた
「あつい~・・・・」
「・・・・あついな・・・」
輝夜と妹紅はダラダラと汗を流しながらグロッキー状態だ
夜になっても暑さが引く様子はない
竹林に囲まれているはずの永遠亭がここまで暑いのは異常だった
まあ、なんとなく原因は分かってはいるが
「ほんと暑いわね・・・・」
永琳も同じことをつぶやく
影陽が目をやると、永琳も汗を流してした
いつも涼しげな表情の顔も、若干暑さでなえているようだ
「・・・・・時間も遅いが・・・かき氷でも作るか・・・」
ぼそりと言葉を漏らした途端、全員がばっと動き出す
食器や、かき氷機、氷がすぐに運び込まれる
「・・・・もとから食うきだったな?おまえら・・・」
そっと皆、影陽から目をそらした
しばらくすると、皆縁側で星空を見ながらかき氷を食べていた
シロップは紫が以前持ってきたものだ
まあ、優曇華なんかは梅酒をかけていたりと皆必ず使っているわけではないが
「ん?影陽、そのシロップは・・・なに?」
永琳は影陽のかき氷を見て疑問に思った
なぜなら、氷が真っ黒に染まっていたから
コーラ味でもあそこまで黒くなるはずはないのに
「うわ!?なに!?それ!」
「う~わ・・・何かけたの?」
皆、気になったらしい
影陽はぼそりとつぶやく
「ところてんにかけるやつ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
一瞬無音となり、ふわり風が吹き抜ける
「「「「「ポン酢!?」」」」」
悲鳴のような声が上がる
それと同時に皆影陽から飛びのくように離れる
「いや・・・関西風に黒蜜なんだが・・・・」
かき氷よりも影陽のおかげで体の芯から冷えた永遠亭の皆だった