東方魂探録   作:アイレス

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ふと、思いついた小説です。
いつまで投稿できるか・・・
まあ・・・がんばります。


第1話

とある都会のベットタウンからさらに離れた小さな町その外れにある険しい山の途中に小さな川の流れる神社があった。

この神社は夏には祭りでよくにぎわうのだが、祭りの時以外は人は全く来ないような場所だ。

さらに深夜になると周りには街灯もないため真っ暗になる。

渓谷の奥まった位置にあるため町の明かりも当たらない寂しい場所である。

そんな真夜中の神社に一人の黒い服に身を包んだ青年が来ていた。

煙草をふかしただ沢を眺めているだけだった。

その目には光がなかった。

雰囲気もどこか疲れ切って力がなかった。

光のない目で虚空を見ながら彼はつぶやく

 

「もはやこの世界に私は必要無い、むしろ邪魔な存在だ。」

 

青年の言葉は暗闇の中に溶けて消えて言った。

 

 

 

彼は生まれながらにして異様な存在であった。

両親共々黒髪で黒い瞳を持つ典型的な日本人であった、しかし彼は金色の髪をしていた、それも光の加減によっては銀に見えることもある異様な髪である。

いや、まだそれだけならまだ良かったかもしれない。

瞳の色も異様ものであった。

右目が紅色、左目が紫色のあり得ない瞳のオッドアイ

いや、その色なのか、見る人によって感じ取り方が違う瞳のいろ

 

しかし、ここまで露骨に親と違う容姿をしていながらも親は全く気にもしていなかった。

両親共々、先祖代々定住しない流れ者のような生活をしていた。

そのことは、とても良いことだった。

周りは彼のことを気味悪がり、関わらないよう離れていった。

家族だけが唯一の味方だった。

 

 

彼が2歳になったころ、義妹ができた。

両親の親友の子だった。

その義妹も彼と同じ存在だった。

似ていたのはただ金の髪で紫色の瞳であっただけではあるが彼にとっては同じ皆と異なる姿をした仲間のようなものだった。

 

群れの中に異物がいれば排除される。

 

それは自然の掟のようなものだ。

排除される側には仲間や味方はいない。

彼の場合、親が親密に接してくれた。

しかし、同じ姿をした人は周りにはいない。

ただただ、心細い思いをしていた時に義妹ができた・・・・同じ姿を持つ義妹を。

 

彼は、義妹をかわいがった、いや、かわいがるどころではなく自ら世話までした。

義妹がいじめられたらすぐに助けに行った。

泣けば義妹の手を握ってやり、あやした。

もはやどこから見ても、普通の兄妹のようだった

 

いや、彼には義妹しかいなかったのだ、彼からしたら親でさえ異物のようなもの、そして周りからの嫌な目線

 

彼には世界の中に義妹しか居なかったのだ、心を許せる存在が

 

 

それは義妹にも言えたことだ。

1年2年と生きていくと義妹は義兄である彼にべったりだった。

何かあれば親よりも義兄のもとへ行った。

彼女の両親は彼女そっくりだったから両親がいればこんなことはなかっただろう。

だが彼女の両親はいない。

だから似た姿を持つ義兄になついた。

義兄がいないと不安そうな顔になり義兄を探して泣きながら歩き回った。

夜、寝る時も兄と一緒に寝たがった、義兄がいるだけで彼女は笑顔になった。

自分の実の兄ではない、そのことは気づいていた。

しかし、自分のことを大切にしてくれる義兄が大好きだった。

 

兄妹は二人で互いを支えていたそんな存在だった。

 

ただ妹は義兄にさえ言っていないことがあった、いや言えなかった。

言ってしまえば、義兄が自分から離れてしまいそうで怖かった。

孤独になりたくなかった。

彼女には、理解してくれる人が、義兄しかいないから。

 

 

ただ、世界は残酷である。

 

彼が小学校に入る年の頃のことである。

友達はいなかった。

子供とは残酷なもので自分たちと異なるものは徹底的に排除する。

そんな生活のストレスもあったのか、義妹の分まで背負ってきたからか。

彼は、熱を出し寝込んでしまった。

ただの風邪ではあったのだが・・・。

 

彼はこの日のことを忘れることはできなかった。

 

 

 

その日、家族が死んだ。

 

 

 

後ろからやってきた車にあおられた挙句の追突だった。

そして、3人が乗った車はそのままがけ下に落ちていった。

車からは親の真っ黒になった遺体しか出てこなかった。

義妹は運よく崖から落ちる前に車から投げ出されていた。

いや、隣に座っていた母に投げ出されたらしかった。

 

 

彼らを育ててきた両親を彼らは亡くした。

 

彼らは、施設に送られた。

彼はもう、生気が抜けたように、ただただ毎日を過ごすようになっていた。

姿は似ていなくとも実の両親だったからそして、中学を卒業すると世界に飛び出した。

家族の残したものは義妹に預け、世界を旅した。

 

少年が外国で一人旅なんて正気の沙汰じゃない、当たり前だがいろんなことに巻き込まれた。

そんなことをしているうちに、人の皮を被った悪魔、陰の傭兵、国籍不明の殺し屋、など言われながら生きてきた。

そう、彼はこの時から変わり始めていたのだ。だが彼は変わり始めた体のことは戦いに身を置いているせいだと考え気にしていなかった。

 

年に数回は義妹のもとへ帰っていた。

 

だが、義妹が大学での生活を堪能していたころのことだった。

大学で彼女は、初めて義兄以外の理解者を得た。

しかし、義兄にさえ言えない秘密も彼女は抱え込むことになった。

彼女たちは世界の不思議や秘密を探るということを趣味とした。

その義妹の親友が、行方不明になった。

 

彼女の部屋は密室で床には血が広がり何故か純白の羽が落ちていたらしい。

 

そして義妹は、寝る間も忍んで親友を探したらしい。

 

その義妹も行方不明になった。

 

そして、義妹を探すため急遽帰国したのだ。

だが見つからなかった。

探すことに疲れを感じ、思い出のある神社に来ていたのだった。

そこは、義妹の最後の目撃証言のある神社でもあった。

 

 

 

煙草は根元まで燃え尽きていた。しかし彼は動きもしない。

 

 

・・・このまま、世界から消えて義妹のところへ行けたらいいのにな・・・・

 

思わずそんなことを思ってしまう。

どうもこの場所に来たことで感情や考え方が子供に戻ってしまったようだ。

薄く苦笑という笑みを浮かべた。

 

「もう帰るか。いや、帰るじゃ無いな・・・戻る・・・か。」

 

どうも本当に意識が退行しているらしいな。

頭を軽くかきながらレンタカーのほうへ歩き始めたときだった。

 

「・・・・ん?」

 

かすかに聞こえてくる向かってくるエンジン音、しかも複数。

それも、町の方と山の両方から聞こえて来る。

音がだんだん近づいてきて・・・

5~6台の車が神社の前で止まる。

 

すぐに近くの建物の物陰に隠れた。

 

聞こえてきたのは外国の言葉だった。

 

 

「・・・・ちっ・・・・国から出たって言うのに追いかけてくんのかよ・・・・めんどくせぇ・・・・」

 

日本に戻る前、短い期間だが傭兵として仕事をしてきていた。

そのとき少し機嫌が悪かったのだ。帰ろうとした矢先に強引に仕事をねじ込まれたのだ。

 

だが、イライラしてたからといってナイフ1本で相手方の前線基地に殴り込んで壊滅はやり過ぎた。

お陰で1基地破壊のはずが1月の契約とか言い始めたのだ。

即刻断ったが脅してきたため、そこにいた全員潰して追いかけてきた3個大隊壊滅させて国を出てきたのだ。

追手がやってくるのが当たり前?な気がしないわけでも無い。

 

30~40人、それなりの武器を持っている彼にとって普通はそんなに苦労はしない数ではあるのだがこのとき手持ち武器は1本のナイフと投げ剣が20本ほどしかなかった。

 

 

ちっ、日本だからと油断しすぎたな・・・。

くそ、武器は全部車の中だ・・・どうするか・・・。

 

 

 

そのまま様子をうかがっているとどこから手に入れたのか?サブマシンガンを手に持ち4人ほど小部隊に分かれ散会したのが分かった。

 

そして境内にはいないと考えたのか大半が

沢の上流と下流に分かれて行き、残ったのは3班12人のみであった。

 

 

・・・さて、・・・・殺るか・・・。

 

力を抜きナイフを構え、ゆっくりと陰から立ち上がる。

 

誰も、その姿を気にするものはいない、まるでそこに誰もいないかのように。

そして静かに風が吹く・・・・そこにはもう誰もいなかった。

 

 

次の瞬間一番近くにいた人達が音も出さず崩れ落ちる。

全員首を搔き切られ何が起きたのか分からず絶命していた。

 

 

そしてそれはもう一組も同じだった。同じように首を一撃で搔き切り、仕留められていた。

 

 

・・・弱いな、何だ?この異様な感じは・・・・?体が軽い?いつもと同じようにしているはずなのに・・・

いつもより威力が強い・・・それに・・・半歩ほど早くなってる?のか?ずれている・・・・。

チッ、少し力を落とすか・・・

 

 

そんなことを思いながら最後のチームに切り込んでいった。

 

 

 

 

「ほんと弱かったな、こいつらほんとに追いかけてきた奴らか?」

 

車に積んでいる武器を身につけながら呟く。

周りには瞬殺された遺体が転がっていたが全く気にしない。

こんな光景なんて見慣れたしまった。

 

 

・・・あいつなんかにこんなのばれたら殺されるな・・・・

 

 

苦笑いを浮かべながら一人そんなことを思う。

 

 

・・・帰るか・・・それにしても・・・なぜだ?身体能力が上がった感じがするのは・・・?

 

手に持った家宝として扱われてきた刀をいじくりながらそんなことを考えていた瞬間だった。

 

 

カチリ

 

とロックを外す音が複数聞こえた。

 

しゃがみ、車のタイヤの陰に隠れるのと複数の発砲音が神社の奥から聞こえ車にガンガンと被弾する。

 

このとき彼はとある失敗をしていた。とっさに隠れてはいたが車は装甲などない一般車であること、今までの車は装甲の追加された車だったうえ、とっさのことだから仕方ないかもしれないが。

 

弾が燃料タンクを貫通しそこから火が付いた、それに気が付いた時にはもう遅かった。

一気に爆発し吹き飛ばされ崖に放り出された。

 

爆発で揺さぶられ、朦朧とする意識の中で彼は・・・

 

 

 

・・・・ー・・・・もう・・・・度・・・・君・・・に・・・・・・

 

 

意識が飛ぶそのとき、彼の中の力が完全に目覚めた。

 

無意識に発動した力は彼を世界から切り離した。

 

もし、この瞬間を見た者がいたなら彼の背後に不思議な空間を見ることができたかもしれない空間に空いた狭間を

 

だが、だれの目にも止まることなく狭間は彼を連れて消え去った。

 

その後、誰一人、その世界が滅びるまで彼を見た者は誰もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読みにくいよなぁ
たぶん・・・。
ここまで読んでくれたら感謝です。

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