鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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第9話です。
一応夕張+白露型3人のお話しは前回で終了となります。
今回は夕張ちゃんにもう少しスポットをあてようかと思います。

それから再度の感想ありがとうございます。
正直白露型の愛機は悩んでました。
ご助言が無ければPCXになる予定でした。
KSRになって結果とてもよかったと思います、ありがとうございました。



では第9話お楽しみくださいませ。



9:旗艦夕張、出撃します!その3

季節は春をむかえようとした頃、夕張は正式に予備役となり

鎮守府を出て、兵庫県の南部に生活拠点を移すこととなった。

 

 

元工廠長にお願いして、艦娘が安心して暮らせる場所を紹介してもらったので

さっそくそちらに引っ越すことにしたのだ。

ただ引っ越すにしても先方の都合?であと2日の時間がある。

今すぐ鎮守府の寮から出なくてはいけないワケではないが

せっかくの機会だ、少し遠回りして旅気分を味わうのも悪くないと考えていた。

 

 

 

そこまで考えて夕張はやや困った顔で

 

 

「問題は目的地よねぇ…」

 

 

今まで軍で生活していたため、上からの命令に忠実に動いてきたが

いざ自分一人で何かしようとなると、どうにも勝手が違ってしっくりこない。

しかし、任務の中でも「旗艦に一任」という内容もあった。

アレを思い出せばいいんじゃないかなぁ、などと思考を進める。

 

 

たしか、私にバイクの楽しさを教えてくれたあのおじさんは…。

 

 

ホワンホワン(回想中)「風の向くままってのも良いんじゃないかなぁ」ホワンホワン(回想終了)

 

 

んー、じゃあ風の吹く方向に行ってみよう!

今日は…北西から南東に向けて風が吹いている。

空は晴れており、絶好のツーリング日和のようだ。

 

 

 

「よーし、じゃあとりあえず東へいってみましょっか」

 

 

夕張は引っ越しの準備をささっと終わらせて、必要な荷物はクロスカブの後ろのBOXに放り込んだ。

某超野菜人のように、おらワクワクしちまうぞ?って心境で早速出撃準備に入る。

今日はめんどくさいからオレンジのツナギのままいっちゃえ!と女子にあるまじき決定をくだす。

 

 

 

「恋のシグナル赤信号ぅ~♪」

 

 

妙な歌を口ずさみつつ、運行前点検終了。

 

 

「さぁて、いってみますか!」

 

 

キュルキュル、ブーン、トトトトトトト

 

「イェーイ、サンダーバード、ア、ゴー!」トコトコトコトコ

 

 

脳内麻薬分泌し過ぎていた。

 

 

 

 

舞鶴を出て国道をひたすら東へ走る。

少し走るだけで建物がぐっと減り、田園風景がひろがってくる。

 

 

「ひゃっほーう、いいわなんかコレ良いわぁ~」

 

 

今まで厳しい軍規にしばられていたのが、そこから解放されてあまりの自由さに心が爆発しそうな気分だった。

いっそこのまま自分の名前の由来、北海道夕張市までいっちゃおうかしら?

なんてことまで思い始めていた。

 

 

 

ここではじめて、燃料がもうガス欠寸前であることに気付く。

しっまたー、と慌てていると、都合の良い事にGSの看板が見えてきた。

これは幸先良いかもね? と早速給油に入る。

 

セルフスタンドであるため、給油作業はすべて自分で行う。

500円硬貨を入れて、静電気防止シートに触れて、いざ給油!

50円ほどおつりが返ってきて、ちょっぴり幸せ気分に浸る夕張。

 

 

 

「ワンコインで満タン入るって経済的よねー、まるで駆逐艦の子達みたい」

 

 

 

 

 

 

 

ここで夕張のお腹からかわいらしい音が聞こえてきた。クゥ~

あちゃー、そういえば朝から何もたべてなかった、と思い出す。

 

 

「愛車はお腹いっぱいだけどぉ私はペコペコなのよ~♪」

 

 

ツッコミ役が居ないとトコトン暴走するのは夕張の悪癖だ。

GSをでてしばらくするとファーストフード店が見えてきた。

 

 

「今日はツイてるぅ♪」

 

 

もはや無敵状態、こうなったら一度やってみたかったドライブスルーとやらに挑戦よ!と

四輪のうしろに並ぶ夕張。

すぐに順番がまわってきた、やっぱり今日はツイてるわ。

 

 

「ギガメックのセットください!ドリンクはコーラで!」ドキドキ

 

 

流石ファーストフード店、直ぐに商品を出してくれてさらに喜ぶ夕張。

料金を支払い、大切そうに袋ごと後ろのBOXに詰め込んで出発。

 

 

 

これまたすぐに道の駅が見えてくる。

 

 

「ごはんにしよーっと」

 

 

駐車場の隅にバイクを停め、跨ったままギガメックを頬張る。ウマウマ

ぽかぽか陽気が心地いい。

よく見れば好天のせいか、道の駅には多くのバイク乗りがあつまっていた。

 

 

 

「うわー、雑誌やネットでしか見たことないバイクもいっぱいだー」

 

 

コーラをチューチュー飲みながら、色とりどりのバイクを眺める。

 

あのカラカラ音がなってる赤いバイクこわれてない???

ぁ、あれが乾式クラッチ?なのかーほえー、………バラしてみたい(ジュルリ

あーダメダメ、今は工廠じゃないんだった、アブナイアブナイ。

 

 

 

 

ほんとはあんまりイケナイんだけど、ごみ箱にメックの袋とかポイ~。

と、ゴミすてを終え、バイクの場所まで戻ろうとすると

白いバイクに乗ったおじさんが、なにやらバイクに跨ったまま悪戦苦闘しているようだった。

 

あー、おじさんキルスイッチ…。

 

(注:電ちゃん「バイクのエンジンを強制的にストップさせるスイッチなのです!)

(注:暁ちゃん「事故や転倒、スロットルが戻らなくなったときにつかうわ、レディには常識ね」)

(注:響ちゃん「ヘルメットをミラーにひっかけておくと、勝手に押してしまうことがあるよ」)

(注:雷ちゃん「レバー右の赤いスイッチは常に確認、できないならアタシにまかせて?」)

 

 

 

 

 

あ、ヘルメットとった………ヤダにいやんじゃないのwwwww

ブフー、これは面白いことになってきたわね?wwwww

そうだ、変装メガネとってこよう。えっと髪はリボン解いてるしバレないかな?wwww

キルスイッチ芋とかダサすぎるwwww

 

(注:電ちゃん「芋っていうのはバイク乗りのダサいしっぱいに使われるのです」)

(注:響ちゃん「派生にN芋、プピ芋、フルバンク停車などがあるよ」)

 

 

 

 

夕張なにやらイタズラ心に火が付いたようです、それと大草原は控えましょう。

 

 

 

眼鏡夕張「あの~どうしました?」プルプル (やばい、笑いこらえるのつらい

 

にいやん「ランプはつくんだけど、エンジンがかからなくてね???」アセアセ

 

眼鏡夕張「このスイッチ(キルスイッチ)入ってますよ?」プルプル (気づいてないしめしめ

 

にいやん「あ!!!ほんとや…ありがとうお嬢さん、マジ助かったわ」キラキラ

 

眼鏡夕張「ぇ………ぁ///………ハィ///」(///何でこんなキラキラした目をしてるのよ貴方そんなキャラじゃないでしょ???

 

「お嬢さん、マジサンキューな!」ブロロ~ン ヘロヘロヘロ~

 

 

 

おっさんことにいやんはヘロヘロと去ってしまった。

その姿を眺めながら、夕張はドキドキした胸を押さえる。

ナニコレ?変装がバレるのがこわかったワケじゃないよね?んー???

 

 

 

 

 

「ぁ、結局タネあかしできなかったじゃない、あらら~」

 

 

 

 

 

「しかし今のドキドキは何なのかしら?」

 

「わかった!お昼ご飯ついさっき食べたから、体温が急激にあがったんだわ」

 

原因に思い当ってホッとする。

 

 

 

 

 

「ふぅ、イタズラで時間取っちゃった、そろそろ私もいこーっと」

 

 

改めてクロスカブに跨りまた東へ向け走り出す。

 

トコトコトコトコ

 

走る事約30分、道路案内に ←:敦賀 →:琵琶湖 の表示が見える。

 

 

「ん~~~、ここは琵琶湖かな?大きな湖って見たことないのよねー」

 

 

右折レーンにはいり、琵琶湖を目指すことにした夕張。

ご飯を食べた後だが、風が心地いい涼しさで眠気は訪れない。

 

 

「そうだ、宿どうしよっか???」

 

 

まぁ行き当たりばったりでビジネスホテルあたってみれば良いか。とそのまま走る。

琵琶湖かぁどんなのかなぁ楽しみだなー。とさっきの事はすっかりわすれてしまった夕張だった。

 

 




はい、第9話終了です。
新キャラだしてもいいかなーとも思いましたが
今後の展開の布石で、主人公にご登場願いました。

みんな、芋には注意な?


ギガメック、元ネタは「3月のライオン」より頂きました。


次回も夕張編つづきます。




本文一部修正しました。



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