鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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7話になりました。
今回からはしばらく、今までに登場した艦娘個人の視点で
時間軸も前後した内容でお届け致します。

正直、艦娘っていうか女性の視点ってのは想像出来ませんが
だましだましやっていきます(汗

トップバッターはメロンちゃんこと夕張ちゃんです。
公式絵師さんや声優さんのおかげで魅力的な子となってますよね。
正直この子はヒロインになれると思えるくらい大好きですよ。



では、第7話お楽しみください。




艦娘個別編:それゆけメロンちゃん
7:旗艦夕張、出撃します!その1


私、兵装実験軽巡の夕張です。

今は京都府は舞鶴にある鎮守府の海軍工廠で働いています。

戦争も終わって、比較的ヒマな毎日ですが、やる時はやるんだから。

 

で・も、この度、晴れて退役って言うか予備役になり

自由にこの平和を謳歌できることとなりました!

 

せっかくだから、少しこの辺りを散策してみようかな。

思えば鎮守府の外の事って、殆ど知らないものね。

さぁ色々まわってきてもいいかしら?

 

 

 

 

 

凄惨なあの戦いが終わって約1年。

季節は寒い冬が過ぎ、そろそろ春を迎えようとする頃。

ここ舞鶴では雪も解け、徐々に暖かくなってきている。

この時期には珍しく、しばらく穏やかな天気が続いていた。

 

時間は朝8:00頃、朝日がさし、やや肌寒い空気を暖かくし始めている。

 

そんななか、緑のリボンで髪を結んだ少女が、旅の支度をすすめていた。

 

彼女は夕張、先の戦いで活躍した艦娘である。

艦娘というのは、かつてこの海で活躍した軍艦の魂を宿した存在で

一見普通(?)の少女に見えるが、艤装を装備した彼女たちは

通常兵器では歯が立たない深海棲艦と、唯一互角に戦える存在なのだ。

 

 

 

夕張はバイクに荷物を積み込んで、出発前の点検を始めた。

オレンジ色のバイク、クロスカブ-夕張仕様

数年前、海軍工廠で一緒だった整備員のおじさんに勧められた一台だ。

 

 

「ウインカーよ~し」

 

「ブレーキランプよ~し」

 

「タイヤの空気圧…よ~し」

 

「うん、完璧ね!」

 

 

そういうとキーを回しエンジンに点火した。

 

キュルキュル、ブーン、ストトトトトト…

 

小型の単気筒らしい軽快な音が響く。

 

 

「さぁ夕張、出撃しまーす」

 

 

夕張を乗せたクロスカブは元気よく走り出した。

 

 

 

 

 

東舞鶴から西舞鶴へ、給油と待ち合わせのために、舞鶴とれとれセンターに入っていく。

ここは西舞鶴の道の駅で、広い海産物コーナーが売りの休憩スポットだ。

 

 

「ぽい?」

 

「あ、来た来た、お~い夕張さ~ん」

 

「時間ピッタリだ、流石水雷戦隊旗艦だね」

 

 

広い駐車場には、夕張に手を振る3人の少女が居た。

夕張と同じ艦娘、駆逐艦娘の夕立、村雨、時雨である。

この3人は同じ白露型の駆逐艦娘で、姉妹の間柄でもある。

 

 

 

 

 

やや子供っぽい元気で語尾にポイがつく子が四女の夕立。

大人びた雰囲気のツインテール少女が三女の村雨。

口調がボーイッシュでおとなしそうな子が次女の時雨。

 

姉妹艦の多い駆逐艦娘のなかでも、とりわけ仲の良いのが彼女たち白露型だ。

 

 

 

「おまたせ~、待った?」

 

「ううん、ボクたちもさっき着いたばかりだよ」

 

 

みれば夕張のクロスカブとは違い、ややスポーティなバイクが3台ならんでいる。

色はそれぞれ違えど、形は全く一緒であった。

 

KSR80、今や絶滅危惧種の2stバイクだ。

絶滅危惧種のワケは、排ガス規制などで、2stバイクはもはや新規に生産されないからだ。

 

 

 

やや攻撃的な赤黒の配色のバイクが夕立用。

ちょっとコミカルでポップな黄色のバイクが村雨用。

ピカピカに輝く全身真っ白のバイクが時雨用。

 

それぞれ性格がでてるのが微笑ましい。

 

 

「ちょっと待ってね、私給油してくるから」

 

 

と夕張が隣にあるセルフGSに向かおうとすると

 

 

「夕立たちもいくっぽい」

 

 

と白露型の姉妹も、夕張に続きGSに入る。

 

 

 

給油を行いながら、今日の行き先を確認する。

 

西舞鶴→宮津→天橋立→丹後半島の漁港でお昼ご飯

 

赤城からおススメされたルートだ。

 

 

「ねぇねぇ、今日のお昼ご飯、楽しみだよね~?」と村雨。

 

「お魚♪お魚♪っぽ~い♪」と夕立。

 

「赤城のオススメだから2人でひとつだよ」と時雨。

 

「赤城さんもちゃんと自覚があったのね、大食いのw」と夕張。

 

 

 

 

 

給油を終え出発する4人組。

夕張、時雨、村雨、夕立、の順に走り出す。

 

パィーーーーン

 

2st特有の高い音が鳴り響く。

 

 

「うん、良い音だね」

 

 

時雨はリズミカルにギアを上げていく。

その表情は、普段ではあまり見られない嬉しそうな顔をしていた。

 

一つ小さな山を越え、由良川を渡る。

名前の通り、軽巡艦娘由良の名前の由来の川である。

 

 

 

渡ってすぐの信号を右折、由良川に沿って走りやすい直線的な道路を北へ向かう。

鉄道の下を潜り抜け、やや左にカーブした道を進む。

そこで夕張から3人に連絡があった。

 

 

『次の信号を左に入っていくわよ?ちょっと寄り道ね』

 

 

『時雨、了解』

『村雨、了解」

『夕立、了解!ぽい』

 

 

 

交差点を左に曲がり、民家の中を少し進むと前方にしずかな神社が見えてきた。

 

 

 由良神社

 

 

そう書かれていた。

 

 

「ここでお参りしていくわよー」

 

「「はーい」」

 

 

ここは軽巡由良の艦内神社のおおもと?の場所で

いわゆる、聖地巡礼の地として知られる神社である。

 

4人はお賽銭を入れ、交通安全と今日のご飯が楽しめるようお祈りした。

 

 




ちょっと普段以上に短くなってしまいましたが
今回はこれにて終了でございます。

次回もひきつづき、夕張+白露型姉妹のおはなしにご期待下さい。

あ、ちなみに白露型の3人はいずれレギュラーとして登場の予定です。




タイトル修正しました。

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