鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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皆さまおはこんばんちは!
ながらくお休みして申し訳ありません。

お気に入りのアニメ「3月のライオン」一期終わってしまって魂抜けてしまいそうな
にいやん黒須賀部でございます。まぁ再放送でしたが…二期はよ!!
かわりにCCさくら再放送はじまったんですけどね(汗
あとサンマ漁ですね、はじめてなんで手探り状態ですが頑張ります!


さて本編ですが、いよいよ千里浜にてバトル?な展開となってきました。
正直お荷物な主人公を抱えてどう対応するんでしょうか。


では第53話はじまります。





53:アニヲタ聖地巡礼編 その11

そこは綺麗な夕日に照らされた南北につづく広大な砂浜だった。

千里浜なぎさドライブウェイ、能登半島の西側に位置する有名な観光スポットだ。

その砂浜で赤い夕陽を背に、二人の若い娘が向かい合って対峙していた。

かたや褐色で眼鏡をかけた大柄の女性、かたや左目に眼帯をつけた褐色の娘と比べるとやや小柄でヤンキーっぽい女性。

二人とも普通の娘ではなく、いわゆる艦娘と呼ばれる、つい1年前まで人類の脅威となっていた深海棲艦から平和を勝ち取った娘たちだった。

 

大柄褐色眼鏡が大和型二番艦の武蔵、眼帯ヤンキーが天龍型一番艦の天龍、その天龍の手には日本刀を思わせるやや反った形の刀が握られていた。

かつての仲間同士である二人は、お互いを打ち倒すべくここにいた。

 

 

 

 

 

 

互いに一撃を放った直後であろうか、余裕の笑みを浮かべる天龍に対して、驚愕に目を見開いたままの武蔵。

 

 

「ば…馬鹿な…」

 

 

武蔵は自身の拳が天龍に届かないどころか、軽くいなされた事実に困惑していた。

 

今の一撃は確実に天龍の腹を貫くつもりで放った、そしてその通りになるはずだったのだ。

拳に天龍の持つ刀が触れた感触はあったが、強烈な一撃をいなすほどだったか?ありえない!

いやしかし…事実、腹を貫くどころか掠りさえしていない。

だが懐に入った、この距離、もう刀の間合いではない!ならば!

 

と、武蔵は必殺の三連撃を叩き込む。

その一つ一つが急所を穿つ秘技であり、武蔵の持つ技の中でも過去に仕留めそこなった事など無いまさに必殺技と呼べる連撃だ。

 

 

ブン!ブン!ブォン!!

 

 

しかし、その三連撃をもいなされた。

今回も軽く拳に刀を合わせ、その勢いを僅かに逸らされている。

間違いない、天龍はコチラが放った攻撃を完全に見切っている、しかも後の先ではない!?

明らかにコチラの拳に先んじて刀を置かれている…奴は最初からこちらの動きを知っているとでも言うのか!?

 

 

流石にマズいと判断した武蔵は、天龍との間合いを大きくあけ後退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「天龍…貴様…その技は…」

 

「さすがに見抜いたか? フン…砲弾に比べりゃトロくさくて欠伸が出るぜ?」

 

「ぬかせ!」

 

 

武蔵は構えを変え、やや腰を落とし丹田に力をこめる。

そして目を閉じそのままピクリとも動かなくなった。

 

 

「なんのマネだか知らねぇが、余裕ぶっこいてる場合じゃねーだろ…、まぁはやいとこ片付けちまうか」

 

「………」

 

「くらいやがれ!!」

 

 

天龍の必殺の一撃が振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その二人からやや陸側に離れた場所で、白い帽子と白いセーラー服姿の長い銀髪の少女、駆逐艦娘の響はその場でくるりと回転した。

すると不思議な事に、白い帽子と制服は淡い光に包まれ、替わりに紺色の帽子と白&紺のセーラー服姿に変わっていた、まるで少女アニメの変身のように。

 

 

「勝利か…いい響きだ…キライじゃない…」

 

 

ポツリと呟く響の周りには金剛型の四姉妹がそれぞれ砂浜に倒れこんでいる。

 

 

金剛はなにやら悪夢にうなされているような表情で苦し気に。

比叡はとても幸せそうな表情で「お姉さま♪」と連呼しつつ。

榛名は涙を流しながら「榛名は…大丈夫じゃありません」と呟きつつ。

そして霧島は…焼酎の一升瓶を抱きながら「もう飲めません…」とモニョモニョしつつ。

 

 

「油断したね…不死鳥の名は伊達ではないよ?しばらく夢でも見てて…」

 

 

そう金剛型四姉妹に告げると、響は天龍達の元へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は天龍が驚く番だった。

 

一応みねうち狙いで刀を返してはいたが、その一撃は武蔵でさえも一撃で昏倒させ得るものだった。

その武蔵が視界から消え、気が付いた時には武蔵の肘が己の腹に突き刺さっていた。

それを他人事のように見えていたのもほんの一瞬で…。

 

 

「グハッ!!」

 

 

天龍はものすごい勢いで後方に吹き飛んでいた。

一方、肘を叩き込んだ武蔵は、ふぅぅと息を吐き、構えを解いていた。

 

 

「……く、くそったれ………」

 

 

苦し気に腹を押さえてうずくまる天龍、身体を起こそうにもまるで力が入らないようだった。

 

 

「ここまでだ天龍、しばらくは動けんはずだ」

 

 

天龍に近づき声をかける武蔵。

みつめる眼差しは対等の好敵手に向けるような、畏怖と尊敬の念が籠っているようだ。

 

 

「…なぜ動きが…読めねぇんだ…」

 

「散々身体に叩き込んだ動作だからな、とは言え、奥の手だ。お前強いな」

 

「…くそっ、負けてりゃ意味ねぇんだよ…」

 

「ぼやくな…と、新手のご登場か?」

 

 

 

 

 

 

 

その武蔵の視線の先には、金剛達を倒した響が立っていた。

響は首をフルフルと振り、敵意は無いとアピールする。

 

 

「旗艦がやられたとなると引くしかないね、大丈夫かい天龍?」

 

「見りゃわかンだろ、大丈夫じゃねーよ」

 

「龍田さんに良い土産話が出来たよ、スパシィーバ」

 

「やめろ!言うな!!…いや、お、お願いします…」

 

「ふふ、心配しないで、わたしは言わないよ…でも、あそこに飛んでるのは長門秘書艦の偵察機じゃないかな、もうバレてるよ…」

 

「ギャー!!!姉御勘弁してくれぇぇぇぇ!!!」

 

 

二人のやり取りをポカンと眺めていた武蔵はヤレヤレと言った感じで肩をすくめた。

 

 

「長門の事だ、後ろ暗い事は無いのだろうが…出来れば説明してもらえんか?」

 

「………」

 

 

 

武蔵の問いに押し黙る天龍と響。

しばらく沈黙していた二人だが、響が口をひらきかけたその時、水平線に沈みかけた夕日に照らされ一人の艦娘が現れた。

 

 

「あら?あらあら」

 

 

ベージュのコートにロングブーツ姿の、長門型二番艦、陸奥そのひとだった。

 




むっちゃんキタ━(゚∀゚)━!
オレ内部、甘えたい艦娘上位保持者さんですよ!
長門の妹であり片腕です。
どんなお話しが飛び出すのでしょうか。




更新予定は来週中としか…では次回もお楽しみに!

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