鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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皆さまおはこんばんちは!
我が鎮守府のメロンちゃんが「当たらなければどうと言う事はない!」レベルで避けまくってて
ヒャッホウな、にいやん黒須賀部でございます。
仮面付けさせてマスクメロン少佐と呼びたいです(笑)


さて本編ですが、ビッグセブン長門が刺客を放ったようです。
それはいったいどんな艦娘なのでしょうか。
そして、迎え撃つ準備を進める大和達一行はどうなるのでしょうか。


では第51話はじまります。




51:アニヲタ聖地巡礼編 その9

夜明けの太陽を正面に浴びながら、とあるサービスエリアの駐車場で2台のバイクが停まっていた。

かたや真っ黒で無骨なデザイン、かたやワインレッドのスクーターのようなデザインのバイクだった。

2台ともタンデムシートには制服姿の小柄な少女が乗っており、バイクを操るライダーはそれよりやや年上に見えるが、やはり少女であろう事はそのスタイルから容易に伺える。

 

 

一方のバイクはNC700を基にしたインテグラ、ワインレッドで彩られた700ccのビッグスクーターであった。

跨るライダーは制服の上にジャケットを羽織った少女で、半ヘル&ゴーグルを装備している。

とても長い髪と、ゴーグルを外した素顔はとても美しく優し気な眼差しが印象的だ。

 

 

かたやもう1台、真っ黒なバイクに跨る少女がなにやらインカムに向かって話をしていた。

その娘はハデな龍の刺繍が施されたスカジャンにミニのスカート、オーバーニーソックスに革のブーツといったいでたちで

一見バイクとは不釣り合いに見えるがまとう雰囲気はまるで人馬一体となったように映る。

スカジャンの少女はその黒いバイク、愛機のV-MAXに跨ったまま、ジェットヘルに仕込んである無線で誰かとやりとりしているようだ。

 

 

「わーってるって、心配しなさんな無茶はしねーよ」

 

『………』

 

「大和型?ハッ、海の上ならまだしも、陸の上なら後れは取らねぇよ、4人でも多いくらいだぜ?」

 

『………』

 

「慢心なんてねぇよ、赤城じゃねぇんだから。…そういや陸奥姐さんはどーすんだ?」

 

『………』

 

「心配性だなぁ、なんなら今すぐひとっ走りしてオレだけで片付けてきてやんよ?なんたってオレは軽く世界水準超えてるからな!」

 

『…!!』

 

「冗談だよ、怒鳴んなって。今回は相棒もあの四水戦旗艦サマだ、万に一つも負けはねぇよ」

 

『………』

 

「ああ、ちょいと脅かすだけだしよ、陸奥姐さんには悪いが今夜中にカタを付ける」

 

『…』

 

「応、あっそうだ、アイツに明日の昼には帰るって伝えといてくんねぇかな?置いてきたから拗ねてんだよ、頼むよ」

 

『…』

 

「悪いな…それじゃ…旗艦天龍、任務を開始する!」

 

 

 

 

 

 

そう、彼女こそ今現在、日本中で大ブームの『艦隊これくしょん』のビッグマウスこと天龍型一番艦の軽巡天龍その人だ。

だがその風評とは異なり、現実の天龍は現在2代目ではあるものの、先の深海棲艦との大戦では数々の武勲をあげた古強者である。

無線を終えた天龍は、自身のバイクのタンデムシートに座る小柄な少女と、隣に停車しているバイクの少女二人に声をかける。

 

 

「まぁ聴いてたと思うが、陸奥姐さんがコッチに合流するのは日付が変わってからだ、それまでに片付けるぞ!」

 

「「ヤー(了解)」なのです!」

 

 

しかし一人だけ即答せず、天龍に問いかける少女が居た。

 

 

「ぇ…天龍さん? 提督さんの指示と違わないかな?」

 

 

天龍の隣に停車したバイクに跨る紫がかったとても長く美しい髪の少女が、やや表情を曇らせ反論する。

天龍とは対照的に物静かな印象を受けるその少女は、しかし見るも見れば、まるで隙がない達人のオーラを纏っていた。

 

 

「陸奥姐さんは保険だっての、長門の姉御からは了解を得ている、問題ねぇさ」

 

「だけど…」

 

「お前も心配性だなぁ…要はちゃんと仕事をすりゃ良いってことよ!な?四水戦の旗艦サマよ」

 

「一人で突出しないでね…、ね?」ウワメヅカイ

 

 

世の男性が聴くと一瞬でメロメロになりそうな声色で天龍をたしなめる少女。

天龍もその己を心配してくれている少女の眼差しに若干テレてしまっているようだ、頬が微妙に赤くなっていた。

 

 

「///…お前ってホント男も女も構わず落としに来るな?ったく参るぜ…」

 

 

天龍は頭をブンブンと振り素面に戻ってから号令をかける。

 

 

「よーし、天龍水雷戦隊、出撃するぜ!ってここは陸だったな(笑)」

 

 

V-MAXとインテグラは爆音を響かせながら、サービスエリアを出て北へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、大和達一行は長門からの刺客の襲撃が夕方以降と読んで、それまでは普通に振舞っておこうとの意見で一致していた。

越前海岸を北上し、11:00頃にはあの有名な東尋坊までやってきていた。

駐車場からしばらく土産物店の並ぶ通りを歩くと、その先には岩場がむき出しで日本海を望む絶景が広がっている。

 

 

「ふふふ、なんだか加賀さんの歌が似合いそうよね」

 

 

赤城は自身の親友、航空母艦加賀の歌う加賀岬を口ずさみながら呟いた。

赤城を含め艦娘達は、眼前に広がる絶景に実に楽し気に話しているが…。

オレは何を隠そう高い所が大の苦手だ、ここで「押すなよ?絶対押すなよ?」とネタふりすらする余裕が無かった。

 

 

「ひぃぃ、ココはもうええやん、土産物屋ではやめの昼ごはんにしようぜ?」ガクブル

 

「にいやん、押しても良いですか?って」

 

「やめて!ろーちゃん冗談でもやめて!」

 

「ぶははは、情けないな貴様は…、少しは呂を見習ったらどうだ」

 

「だまらっしゃい、苦手なモンは苦手なんや…」

 

 

グラーフの笑いに抗議するオレ。

お前ら知らないな?馬鹿と煙は高い所が好きなんだぜ???

しかし、その直後、オレは腕をグイっとひかれて誰かの身体にぴったりと抱き寄せられた。

 

 

「大丈夫よ、この私、夕張さんがついてるもん!」

 

 

うおぃメロンちゃん、当たってるよ?何がとは言わんが…。

しかしな…金剛達を迎えてからと言うもの、メロンちゃんは必要以上にくっついてくるのがどうもな…。

気が付くと目の前には、とってつけたような笑顔の榛名が立っていて

 

 

「榛名は…大丈夫です、よ?」

 

 

とかぬかしている、ぜってー嘘だ、目が笑ってねぇもん。

 

 

 

 

 

 

一方、大和型姉妹は二人で襲撃者についての意見を交換していた。

 

 

「姉上、長門の直属と言えばあの軽巡四鬼神…、海上ではまだ対処のしようが有るが、陸の上では不利だ、しかも夜を迎えては…」

 

 

長門直属の軽巡四鬼神とは、開戦直後の初の泊地奪還作戦時、長門と共にあった軽巡たちである。

作戦後、長門をはじめ陸奥と軽巡四人とその部下の一部は一時行方知れずとなり、結果轟沈扱いとされていた。

しかし数か月の後、そろって鎮守府への帰還をはたしていたが、その当時の記憶が曖昧であり、何があったのか全く調べようもなかった。

その後の彼女たちの活躍ぶりは目を見張るものがあり、結果、長門直属の別動部隊となり、今日の平和をもたらす大きな力となった。

 

 

「んー、いくら長門でも四人同時に動かすとは思えないの…、おそらく2人、それに部下の駆逐隊数人ってところでしょうね」

 

「こんなことなら夕立達を連れてくるべきだったな、奴らは四水戦の元メンバーだ、相手の出方も熟知してよう」

 

「今更言っても始まらないわよ武蔵ちゃん、うん。ここは空母組に少し働いてもらいましょう」

 

「どうする気だ姉上?」

 

「相手の確認が最優先です、索敵機をだしてもらいましょう。天龍龍田姉妹なら何度か手合わせをしたことがありますから策は練れそう…でもあとの二人は手の内がまるでわからないわ」

 

 

大和はそう言うと、赤城を呼び寄せ、偵察行動を指示した。

赤城はグラーフと共に人目のつかない場所で艤装を展開、索敵機を発艦させた。

その様子を確認してから武蔵が続ける。

 

 

「由良と神通か…下手したら既に夜戦バカ(忍者)がコッチに張り付いているかもな…」

 

 

馬鹿にしながらも川内には何か苦手意識があるのか、武蔵の表情はすぐれなかった。

大和は安心して?といった感じで武蔵に言葉を返す。

 

 

「川内さんは今は別任務で呉までいっているはず、となると川内型姉妹ははずしてもいいかも、由良さんが来ている可能性が高いわ」

 

「由良か…見た目は大人しいが、まるで隙の無い奴だったな…ん?そう言えば夕張と由良は親友じゃなかったか?」

 

「!」

 

「姉上、少々賭けになるが、夕張にも働いてもらおう」

 

「そうね、丁度彼のボディガード役になってますしね」

 

 

大和はまるでバカップルにでもなったかのような夕張とにいやんを眺め、大丈夫かなぁ?とため息をついていた。

 




天龍龍田ははやい段階で考えてましたが、あとの二人はだいぶ悩みました。
夕張ちゃんがガード役になっていたので、よく親友扱いされている由良さんに決めました。
筆者的にメロンちゃんに負けないくらい好きな艦娘さんです。
あと地理的にツーリングでの通り道になる機会が多く、由良神社には頻繁に参拝してます。

それとあと二人、天龍と由良のタンデムシートに座る艦娘がいましたね。
まぁ正体はバレバレでしょうが(汗

では次回もお楽しみに!







本文一部訂正しました。


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