とりあえず予約投稿してキャンプ満喫中!
の、にいやん黒須賀部でございます。
このキャンプ場、赤城さんと主人公の物語の舞台にするつもりで来ました。
いわゆる取材キャンプ?ってヤツでしょうか。
地元から片道2時間ほどで、年に数回来ている、筆者のお気に入り高原キャンプ場です。
ぇ?そんなに行ってるなら取材いらんやろ?って?
実は今、正規のキャンプ場はスキー場開設の工事で入れなくなってまして…。
経営するホテルの真ん前に仮設キャンプ場ががが。
そんな場所を舞台にしても面白いかも、と思った次第です。
さっきまで凄い雨でした❗
さて本編ですが、皆の告白に戸惑う主人公と
自分はどうしたいのか悩む夕張ちゃん。
いったいこの後どうなっていくのでしょうか?
そして、主人公たちを密かに追う金剛型四姉妹。
彼女たちの目的とは?
それでは第47話はじまります。
お風呂の工事が終わるまで、とりあえず外泊ツーリングしましょうと出かけたオレ達一行。
目的地は群馬県の草津温泉&赤城山と定めてはいたが、あとは気ままに!と言う
なんともバイク乗りらしい適当な行程となっている。
出発から約3時間、今は越前海岸のとある定食屋さんにお邪魔している。
夜明け前に出たため、朝食をとってなかったオレ達は、ここで朝食タイムとしたワケだ。
この食堂はオレのソロツー定番朝食スポットで、焼き魚定食が絶品オススメなのだ。
AM07:30頃、お店に入りそれぞれ注文をとってもらうと、皆一息ついて外の景色を眺めていた。
「ふふ、赤城ではないが食事は楽しみなものだ。艦娘と言うのも悪くないと感じている自分が少々おかしいな」
と、お冷を口にしながらグラーフがしみじみと言った。
オレは改めて彼女たちが普通の人間ではなく、艦娘と言う特別な存在なのだと思い知らされる。
しかしその一方、戦う術とかつての艦の記憶があるとはいえ、それ以外は外見の異様なまでの美しさを除けば、普通の人間と変わらないとも感じていた。
美味しい食事や仲間との会話で笑ったり怒ったり泣いたり、パッと見はごく普通の人間そのものだ。
1年前の冬、ようやく勝利を収めた彼女達、その後の頻発する小競り合いなどを収め、やっと彼女達に平和が訪れた。
出来る限り、彼女達にはこの平和を謳歌してもらって、これまでの働き以上に幸福になってほしい、心からそう願う。
そう願うのだが…よりによって我が家に来た艦娘の殆どがオレに好意を寄せ、あまつさえ愛しているなどと告白されてしまった。
何がどう間違ったのかはさっぱり解らないが、このまま放置しておくわけにもいかない…、いったいオレにどうしろと?
オレは大好物である焼き魚定食を味わう余裕もなく、作業的に口に運び租借しながら、ひとり思考の渦に飲まれていた。
「人を妖怪食っちゃ寝みたいに言わないで」プクー
「ぶははは、風評被害ってヤツだな赤城。お前以上に大食いの艦娘はいくらでも居るのにな(笑)」
武蔵が腹を抱えて大笑いする。
我が意を得たり、と赤城が返す。
「そうですよ、武蔵も大和も、グラーフだって私と同じかそれ以上食べるのにー」
「まぁなんだ、ソレだけお前が皆に愛されている証拠ではないのか赤城?正直少々妬けるぞ」
「ヒドイ(笑)貴女もドイツ版妖怪食っちゃ寝って言われればいいんだわ」
「ふむ、実際言われてみるとあまりいい感情は湧かんな(笑)」
「でしょう?」
「まぁまぁ、二人とも。ここは楽しく食事をすすめようじゃありませんか」
笑いながら二人をなだめる大和。
その手にはしっかり別注文した海鮮丼のどんぶりが握られていた。
「しかしこの焼き魚は絶品だな、素材も良いのだろうが焼き加減がなかなかのモノだ」
武蔵はご飯をかっこみつつ、嬉しそうに焼き魚もほおばっている。
その隣では、ろーちゃんが器用にお箸で骨と身を取り分けていた。
一通り取り分けを終え、いざ食べようとしたところで、対面に座る夕張の箸がいっこうに動かないことに気付いた。
「ユーバリ?食欲無いです?」
心配そうに尋ねるろーちゃんに、ハッと気が付いた夕張は笑顔で答えた。
「ううん、ちょっと朝が早かったから寝ぼけてただけ、かな?」
「なら良かった、ですって」
「さあ、朝ごはんは一日のエネルギーだもんね、いっぱい食べるぞー」
夕張は殊更元気な声をあげ、自分の食事をはじめる。
そんな夕張を見て、赤城は色々と思うところがあったが、今は静かに見守ろうと決心する。
それとは別に、こっそり彩雲の妖精さんを呼び出し、外の哨戒を命令していた。
どうも朝から自分たちを見張っている存在に気が付いていたのだが、この際その正体をハッキリさせておこうと考えたのだ。
一方その頃、一行を追う金剛型四姉妹は食堂の外で、露店の焼きイカやサザエのつぼ焼きなどを堪能していた。
ここでは自分で選んだ食材を、お店の炭火コンロで焼いて食べれるのだ。
「オーウ、流石に漁港があるところデース、とってもデリシャスネー」
「ヒエー!焼きイカも美味しいですよ!お姉さま!」
「榛名は、このカニの脚がお気に入りになりました!」
「これだけ海の幸に囲まれると、焼酎など欲しくなってしまいますね」
「キリシマー、アルコールはノーなのデース、ディナーまで我慢ネー」
「了解してますよ、金剛お姉さま」
なぜか追跡任務そっちのけで海の幸を堪能する四姉妹。
その様子を彩雲の妖精さんから映像付きで送られ、見事に椅子から滑りズッコケる赤城。
「どうしたの赤城、大丈夫?」
「いえ、なんて言いますか、私は大丈夫ですが、状況があまり大丈夫でないと言うか…大和、ちょっと耳を貸して」
「???」
「………」コショコショ
「どおりで…ミラーからヘッドライトは見えていたし、付かず離れずだから怪しいとは思ってたけれどね…」
「どうする?しばらく泳がせる?」
「そうね、目的が何なのか知っておきたいわ」
「了解、彩雲はこのまま偵察続行させるわね」
「お願いね」
目を閉じ、自身の彩雲の妖精さんに指令を下す赤城。
一方、大和はハデに飯をかっこんでいる妹を呼んだ。
「武蔵ちゃん、ちょっと頼まれてくれないかしら?」
「なんだ姉上、私の海鮮丼はわけてやらんぞ?」
「私はもう充分頂きました!それより、私たちをつけてる者の正体が判ったわ」
「ふむ、4人だし英国産バイク、異様に統率のとれた動き、とくれば金剛たち四姉妹だろうな」
「スルドイわね」
「伊達に殿はまかされていないぞ?」フフン
「この後二手に分かれて様子を見ます、一方は武蔵ちゃん、指揮をお願いできるかな」
「任されよ姉上、なんなら強硬手段に出ても構わんが」
「今は情報を得る方が先よ、ある程度出揃ったらその時は実力で、ね?」
「ふむ、演習では後れを取ったこともあるが、その借りココで返させてもらうとするか」
武蔵はやる気満々と言わんばかりに海鮮丼をお代わりし、更に勢いよくかっ食らう。
「補給は万全、速さが全てと思うなよ、金剛」
その顔に不敵な笑みが浮かんでいた。
「にいやん?少しお話があるのですが」
自分の思考に埋没していたオレは、大和に声を掛けられ我に返った。
その時はじめて、いつの間にか綺麗に食事を平らげていたことに気付いた、意外とオレって器用なのだろうか。
「ぉ?おう、どしたん?」
「朝から私たちを追跡してる一団がいます、赤城の偵察で金剛型四姉妹と判明したのですが、彼女たちの目的が不明です」
「ふむふむ、あ!あのトライアンフ4台のグループか!」
「そうです、目的が明らかになるまでしばらく泳がせようと思います」
「それは良いけど、具体的にはどうするん?」
「私達を2グループに分散させて様子を伺います。私達全員が目標なら彼女達も分散することになるかと推測します」
「なるへそ、個人目当てならソイツが居る方に集中して追いかけるだろうと?」
「はい、それとこれは憶測ですが、目標はおそらく貴方です」
「は?」
オレは素っ頓狂な声をあげた。
なんで?オレ重要人物でもなんでも無いねんけど???
「理由は判りません、が、私達艦娘が目標とは思えません。で、貴方は武蔵ちゃんと同行して下さい。他はグラーフ&ろーちゃんの計4名で」
「あ、ああ」
「私と赤城、夕張ちゃんは一旦別行動をとりますが、私の側に追跡が確認されなかったら武蔵ちゃんと合流、という流れで」
「ハナからオレ目的…と決め打ちみたいな配置やな」
「そうですね、でもコレは高い確率で当たりと考えます」
「うーん、特に何も無けりゃ合流して、また策を考えりゃあええって事か」
「はい、私からは以上です」
ふむむ、何やら楽しいツーリングに変な影が降りてきたが、コレはコレで楽しむってのもアリかな?
とオレは暢気に考えていた。だってな、こっちは超弩級戦艦2正規空母2軽巡1潜水艦1+オマケの構成だ、高速戦艦4には負けんだろ。
慢心かもしれんけどな…。
その後、武蔵、グラーフ、ろーちゃんを交えて作戦会議を行った。
コチラに金剛型四姉妹全員がついてきた場合、武蔵とグラーフ(+ろーちゃん)で足止めし、オレはそのまま直進しろとだけ伝えられる。
まあ目標がオレならね…残ったところで足手まといにしかならないもんな、情けないけど。( ノД`)
そうして朝食を終え、オレ達は作戦通り二手に分かれる事に。
まずは今まで通りひとかたまりで行動し、次の交差点で大和を先頭に、赤城、夕張が続き右折していった。
一方オレを先頭に、グラーフ(ろーちゃんはタンデム)、武蔵と続いてそのまま直進。
しばらくそのまま進んでいると、武蔵からパッシング2回の合図が来た、こちらに全て食いついた時の合図だ。
無線は傍受されてるものとして他愛ない世間話で誤魔化している。
たまに武蔵がこれ見よがし(聞えよがし?)に、金剛に対する煽り文句を言っているのが笑えない。
『あいつも老朽艦なんだからゆっくりと休んでもらわんとな(笑)』
とか。
何故か背中に鋭い視線が突き刺さってるかのような感覚に見舞われたオレは「まぁまぁ」と言う事しかできないでいた。
すると、後方に見えていた4台のヘッドライトがすごい勢いで近づいてきている事に気付く。
『嬉しいぞ、大当たりだ!にいやんお前は先に行け、ここは任せてもらおう!』
武蔵の一言でオレはスロットルを思い切り開け、ひとり先を急いだ。
ヤバイ、武蔵のヤツはハナからやり合う気でいる。
オレは無線で大和達に早く合流するよう伝えてはいるが返信が無い。
このままでは艦娘同士で無益な争いが…。
慌てて追おうとする金剛達4人は、しかし道の両車線に横側を向け停まった武蔵&グラーフに行く手を阻まれる。
急ブレーキをかけどうにか武蔵のワルキューレに接触せずに止まる赤いデイトナ、金剛の愛機だった。
その脇を、さらに加速して見事にすり抜ける白いバイクがあった。
長い髪をなびかせて凄まじい加速を続けるデイトナ、榛名の愛機である。
「榛名は…大丈夫です!!」
「榛名!あとは任せたネ!!」
「チッ、1台抜かれた!姉上、聞こえるか!?姉上!?」
武蔵の通信には一向に返事が無い。くそっ、あとはにいやんの腕次第か…期待できそうにない!武蔵は奥歯を噛んだ。
金剛はチンガード(ヘルメットのアゴのガード部分)を上げ、素顔をさらし武蔵に食って掛かる。
「ヘ~イ武蔵、お久ぶりネー!悪いけど脳筋艦娘に用はナッシンデース、ソコを退いてくだサーイ!」
「ふふ、久しいな金剛おばあちゃん、悪いが枯葉マーク車は通行止めだ、シルバー割引該当者は他所をあたれ」
金剛の表情がみるみる変化し、すごい形相になる。
「………私をおばあちゃん呼ばわりして、3DAYSと無事でいた艦娘は居ないネ!」
「面白い、なら私がはじめての艦娘になってやろうではないか」
「比叡、霧島、手出しは無用ネ!」
「「わかりましたお姉さま!」」
金剛はヘルメットを脱ぎ、ソレを比叡に預ける。
そして…バイクのエンジンを停め武蔵に一言。
「とりあえず、一般の皆さんに迷惑デスから、脇にバイク停めるネ」テクテク
「ああ、まあそうだな」トコトコ
なぜかお互いに同意し、道のエスケープゾーンにきれいに並べて駐車する二人。
金剛型の姉妹もグラーフもそれに倣い、きれいに並べる。
「「バイク乗りとしてのマナーだよな(デース)(ですよね)」」
ソレを黙って見ていたろーちゃんが嬉し気に呟いた。
「緊張感はないけど、なんだかおもしろくなってきた、ですって、はい!」
武蔵と金剛、お互いに西部劇のように間合いを開け構えをとる。
一方はおそらく空手だろう構え、もう一方は軽やかにステップを踏んでいる、ボクシングだろうか。
二人の間に緊張が走る。
金剛は左右にステップを踏みつつ次女に命令する。
「比叡、ゴングを鳴らすネ!」
「はいお姉さま!行きますよ…」
「ヒエー!!」
比叡以外、全員見事にズッコケた。
やっと待望の(?)バトルっぽい展開に…。
さて、何故か戦うことになってしまった武蔵と金剛。
いったいどちらが勝者に?
感想お聞かせくださいプリーズ!
では次回もおたのしみに!