鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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皆さまおはこんばんちは!
好きな花火はネズミ花火、にいやん黒須賀部でございます。

前回は群馬に向け旅だった一行を追う、謎の4人組が登場しました。
今回はその続きからです。
謎ですね…ダイヤモンドシスターズ?うっ、頭の中で何かが…。



それでは第44話はじまります。



44:アニヲタ聖地巡礼編 その3

夜明け前の舞鶴若狭道を北へ向けひた走るオレ達。

とりあえずの目的地、敦賀までは約2時間の行程だが

東の空がうっすらと白み始めた頃、とあるSAで休憩することとなった。

 

まだ慌てるような時間でもないし、この先は片側一車線のペースが上げ辛い区間だ。

下手に大型トラックのペースにハマると睡魔に襲われる危険もある。

そう大和は判断し、早めの休憩としたのだった。

 

 

『他の邪魔にならないよう、奥に一塊に停めましょう』

 

『『了解』』

 

 

駐車場の奥、出口付近に固まって停車し、それぞれ休憩に入る。

駐車場には数多くの車が駐車されており、どうやら車中泊組のようであった。

中にはオレ達のようにバイクツーリングのグループもいくつか休憩しているようだ。

ハーレーのオジサン軍団、BMWの2台組は夫婦だろうか、長年連れ添った感が出ている。

そう眺めてタバコをふかしていると、4台のバイクツーリンググループが新たに入ってきたようだった。

 

ほほぅ、タイガーエクスプローラー2台に、デイトナ2台か。

どちらも英国トライアンフの3気筒、前者は赤城のVFRのようなアドベンチャーモデルで、同じく箱を3つ詰んでいる。

後者は有名なマン島ツーリングトロフィーでも大活躍しているスーパースポーツ車だ。

2台とも後ろにツーリングバッグを積載している、なるほど同メーカーバイクの集まりの様だ。

更に面白いのは、コチラと同じく女性が多い、てかあれ皆女性じゃないか!

へー、タイガーに乗れるくらい脚が長いのね、羨ましい、オレはそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にいやんは缶コーヒーでいいかな?」

 

 

と、夕張が小走りでコチラへやってきた。

メロンちゃん気を利かせて買ってきてくれたようだ、有難く頂こう。

 

 

「ぶっ、カフェオレじゃねーか、甘っ」

 

「ぇー、美味しいじゃない」

 

「オレは微糖派なの、あしたのジョーなの」

 

「それ尾藤イサオ」

 

「ナイスツッコミ」(`・ω・´)b

 

「イェイ」(`・ω・´)b

 

「明日はどっちだ?ですって、はい!」

 

 

朝からヲタクな二人は超テンションが高かった。

てか、何気に元ネタ知ってるろーちゃんにビックリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その様子を離れた場所から伺う4人の女性ライダーが居た。

先ほどの英国産バイク乗りの4人組だ。

 

 

『お姉さま、大和一行は休憩に入ったようです』

 

『オゥ、了解ネ比叡、私達もティータイムにしますカ』

 

『先は長いですしね、私も賛成致しますわ』

 

『霧島と同じく私も賛同します』

 

『イェース!ではちょっとザンネンですけど、缶の紅茶で休憩デース、比叡、買ってきてくだサーイ』

 

『お姉さま、喜んで♪』

 

 

そう、実は彼女たちは大和や赤城と同じく、先の深海棲艦との戦いで活躍した艦娘である。

 

 

 

真っ赤なデイトナに乗るのが、長女の金剛型一番艦の金剛。

白と青のタイガーに乗るのが、次女の金剛型二番艦の比叡。

真っ白なデイトナに乗るのが、三女の金剛型三番艦の榛名。

カーキのタイガーに乗るのが、四女の金剛型四番艦の霧島。

 

 

なぜか大和一行の後をつけているのだが、その理由は明らかでない。

なるべく目立たないように、システムヘルメット(アゴのガードがワンタッチで上に上がる優れモノのヘルメット、一瞬でフルフェイスがジェットヘルに早変わり!)

を被ったまま、紅茶を楽しんでいる…缶紅茶だったが。

 

そう気を使っているのだが、彼女たちの抜群のスタイルと乗っているバイクが目立ち過ぎていた。

ウェアは上下共に黒の革を着こんでいたのもマズかった、まるで雑誌のモデルさんが飛び出してきたかのような雰囲気がバリバリ漂っていた。

ハーレーオジサン軍団がちょっかいを出し、挙句ついにプチンときた艦隊の頭脳(物理)によって一掃される場面も。

幸いこの騒ぎでも大和たちには気付かれてはなさそうだった。

 

 

『キリシマー、マイクチェック(物理)も良いけど、程々にネー?』

 

『すみません金剛お姉さま』

 

『比叡、彼らにはお詫びに貴女の特製カレーをプレゼントするネ』

 

『はいっお姉さま!』

 

 

微妙に紫色がかったカレー(?)をタッパーから出し、無理やりオジサンに食べさせる比叡。

オジサンたちは一人残らず倒れてしまった…。

 

 

『気合!入れ過ぎました!皆さん嬉しさのあまり気絶されてしまいました!』

 

『『(どうやったらあんなバイオ兵器が作れるのでしょう?』』

 

 

次女の暴挙に脳内で突っ込む妹二人。

 

 

『あの~金剛お姉さま、流石にコレはマズいと私の計算では出てますが…』

 

『ノープロブレム、暑さ寒さも彼岸までネー』

 

『榛名、意味が解りません…』

 

『シット!ヤマト達が出発準備に入ってマース、コチラも準備するネー』

 

『『はい、お姉さま!』』

 

 

鎮守府きってのエース部隊、高速戦艦の四姉妹。

数々の武勲を上げてきた実績があるが、隠密行動にはあまりにも向いて無さげだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにやら例の英国トライアンフ4人組の方が騒がしいが…おそらく余りの美人っぷりに人だかりが出来てるのだろう。

ちょっと、いやかなり気になる!

が、その事を告げると、大和に耳を引っ張られ、愛機の所まで引きずるように連れて行かれた…なに怒ってるのよ宇宙戦艦。

 

 

「はい、皆さんそろそろ出発しますよ。次は敦賀インターを降りた辺りで休憩予定です」

 

「「了解」」

 

「では早速準備してくださいね」

 

「「はーい」」

 

「にいやんは一々向こうを気にしない!」

 

「ぇー、オレだけ風当たり強くないっすか?」

 

「気のせいです」プンスコ

 

 

あれぜってーウソだよね、顔が完全に怒ってるモン。

オレは独りブツブツ文句を言いながらバイクに跨る。

まああまり気にしてても仕方がない、次の休憩ポイントまでは気を張って先導頑張るわ。

 

 

 

 

引き続き、舞鶴若狭道を北へ向け走り出す。

途中までは片側2車線であり、比較的スローペースな車もオレ達が追いつきかけると、左車線に戻り道を譲ってくれる。

オレはドライバーさんに左手を上げ、感謝の意を表す。

お互い気持ちよく安全に走りたいもんな、こういうのはホントありがたい。

 

だがそれも片側1車線区間にくると、どうしても周りのペースに合わせなくてはならなくなり、ペースダウンしてしまう。

十数キロに一度の間隔で追い越し区間が設けられてはいるが、さてどうしたものか。

ソロで走る時は、安全さえ確保されていれば、追い越し区間でガンガン行くのだが、今回はオレ含め6台のグループだ。

車間距離もそれなりに開いている、無理な行動は控えるべきではある。

一応旗艦や皆にも聞いておいた方がいいだろうと、オレは無線連絡のスイッチを押した。

 

 

『大和、追い越し区間どうするよ?まったり行っとく?』

 

『そうですね、片側一車線区間も小浜辺りまでで終わりますし、今のペース維持でいきましょう』

 

『『了解』』

 

 

流石に連合艦隊旗艦経験者はどっしりと構えてるもんだ、と少々感心するオレ。

これが若い夕立あたりだと「ガンガンいこうぜ!」になると思う、絶対。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さて、まったりペースになったところで、私赤城からお知らせがあります』

 

『『?』』

 

『これは皆さんにしっておいて頂きたい事です、本当はもっと落ち着いた場面で言うべきなのですけれど…』

 

『なになに?気になるやん』

 

 

なんだろう、マジ気になるので催促してみるオレ。

赤城はしばし無線の向こうでモジモジしてる感じではあったが、ようやくポツリと、しかしトンデモ爆弾発言を行った。

 

 

『私赤城は、にいやんの事を愛しています』

 

 

『『ブーッ』』

 

 

皆一斉に無線の向こうでふいた!

何言ってんのこの子、オレ今バイクごとコケそうになったやんけ!

なんとか体制を持ち直し、通常巡航に戻すオレ。

 

 

『2代目赤城の記憶もかすかに残ってます、が、私は私です、ここは譲れません』

 

『それ加賀のセリフっすよね?』

 

『うふふ、ついに暴露しちゃいました、キャッ☆』

 

 

あ。なんか今ちょっとイラっとしたけど黙っておこう。

 

 

『ぶははは、姉上、一本取られましたな、これはどう致しましょうか』(ニヨニヨ

 

『赤城とはちゃんと話し合ってますし、これでお互いフェアーな立場になったと言うものです』

 

『ほう?まさかこんな所での告白とは恐れ入った、では便乗して…私グラーフ・ツェッペリン、同じくにいやんをお慕いしている事を明言しておこう』

 

『『ブーッ』』

 

『あー、ろーちゃんもですって、はい!』

 

 

なんなんキミら、ドッキリかなんかか?

夕張なんかオレのすぐ後ろを走りながら、しきりに咳き込んでるやん。

オレなんか見える景色がぼやけてきたわ、ひえー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソレを一定距離を保って追いかける金剛型四姉妹の内、大和たちの無線を拾う役割を担っていた霧島は困惑していた。

 

(なぜあの子たちは、あのような男性に惹かれているのでしょう、私の計算ではありえません)

 

霧島はブンブンと頭を振り、思考をいったんリセットした。

その様子をミラーで確認した金剛から通信が入る。

 

 

『どうしたネ?キリシマー。なにかあったんデスか?』

 

『…いえ、少々眠気がありましたもので』

 

『そうデスか、もう少し我慢してくださいネー』

 

『はい、お姉さま』

 

 

ふう、嘘をついてしまったが、こんな事で金剛お姉さまを悩ませることは出来ませんよね、と霧島は思った。

しかし、さっきの話しを思い出しつつ、何が彼女達をそうさせるのか、データは取っておかないといけないと考える。

万が一、愛しい我らが長女にも同じことが起きれば一大事だ、ココは慎重に行動しておかなければ。

 

実はこの霧島たちの長女の金剛は、つい半年前かなり塞ぎ込んでいた。

というのも、金剛の想い人であった提督が、自分ではなく他の艦娘を選んで結婚カッコガチしてしまったことに原因があった。

普段は明るくとても頼りになるお姉さまが、もしまたあんな姿になってしまったら…そう思うと霧島の胸は張り裂けんばかりに痛んだ。

 

(金剛お姉さまを、二度とあんな姿にするワケにはまいりません、私が全力で阻止します)

 

霧島は無線に耳を傾けつつ、ひとり心に誓うのであった。

 




会話ばかりで行程先に進まねぇ(汗

さて、とうとうハーレムルート解禁?となってしまいました。
夕張と武蔵を除く4人が主人公ラブ勢と言うことが発覚。
この先どうなってしまうのでしょうか…。





次回もお楽しみに!

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