鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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皆さまおはこんばんちは!
ちょいと買い物に出たら、チラホラと県外ナンバー車が
お盆だと実感した、にいやん黒須賀部でございます。

今回は前回の続き、聖地巡礼編その2です。
草津温泉と赤城山を目指すこととなった一行。
いったい何が待ち受けているのでしょう?


では第43話はじまります。



43:アニヲタ聖地巡礼編 その2

風呂場が工事の為しばらく使えなくなるとの事で

急遽群馬方面へのロングツーリングを計画したオレ達は、出発準備を進めていた。

 

 

この時期、標高の低い場所では比較的暖かく、場合によっては暑い日もあるのだが

目的地が山岳部、特に草津温泉手前の志賀草津道路は、日本一標高の高い国道だ。

それなりの装備をしておかないと現地で泣きを見ることになる。

 

 

なんでここまで詳しく知ってるかと言うと、オレは志賀草津道路と

そこから南にあるビーナスラインが好きで、過去バイクに乗り始めた頃は、年に数回走りに行っていた。

特に志賀草津道路は、草津側にある白根山の噴火警戒レベルが1ランク上がり、深夜交通規制がかかるようになってからは

解除されるAM08:00には規制ゲート前に陣取るくらい好きだ。

 

 

なぜなら、あまりのんびりしていると観光バスで埋め尽くされ、楽しみに行ってるのか苦行に行ってるのか判らなくなるからだ。

朝一凸すれば、そこはまるで貸し切りルートのような有様で、ゆっくり行くもよし、かっ飛ぶもよし、自由なのだ。

そうだ、バイクは自由で心が満たされなければならない、と言うのがオレの信条だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは着替え等をパニアケースに詰め込み、粗方の準備を終え、ガレージ前の屋外喫煙所で一服していた。

すると、髪をアップに纏めた赤城がやってきた。風呂上りなのかシャンプーのいい香りが漂っていた。

どうもアップ姿の赤城を見ると、風呂場でスっ転んで介抱してもらった過去の記憶が蘇り、自然と苦笑いが漏れてしまう。

 

 

「意外と手慣れてるのですね、準備はおわりましたか?」

 

「あー、野郎の準備なんざ着替えくらいなモンだしな、その辺女性陣は大変そうやな」

 

「私は趣味でソロキャンプやってますし、それなりに慣れてますけどね。ほかの皆さんも似たような感じではないかと」

 

「そなの?」

 

 

言われて見渡せば、皆はほぼ荷物の積み込みを終え、軽くメンテナンスなど行っていた。

軍に身を置いていただけあって、準備&撤収作業はお手の物らしい。

ただしメロンちゃんは「うふふ…せっかくだから…プラグもコレに…うふ、うふふ…(ジュルリ」とメカフェチ病を全開発症しているようだった。

ああなると周りが見えなくなるからなメロンは、あとで声をかけておこう。

 

 

そう思ってると、赤城が小首をかしげる仕草で聞いてきた。

 

 

「ところでにいやん、今回の私の提案、本当によろしかったのですか?」

 

「はい?なんで?」

 

「貴方は集団で走るより、ソロを好んでるハズですが…違いますか?」

 

「まぁソロ好きやけど、赤城たちと一緒なのは愉しいで?運転になんの心配も要らんから楽やし」

 

「そう言って頂けると助かります」

 

「本心なんやけどなぁ、むしろみんなの方がオレが一緒でええんか?て思ってるくらいやのに」

 

「そこは心配なさらなくても、嫌ならそもそもここでの共同生活に拒否反応出てますよ?本当に小心者なんですから」

 

「面目ない…改善に努めますm(__)m ちと話変わるんやけど、赤城はなんでソロキャンプが好きになったん?」

 

 

オレの問いに、顎に人差し指をあて、視線を外し少々考え込む赤城。

ふぅ、やや慣れてきたとはいえ、艦娘達の何気ない仕草は本当に心臓に悪い、おじさん惚れてまうやろ?

 

 

 

 

 

 

 

「んー、やはり考え事をしたり、逆にボーっとしたりする時間が好きなのかも。ですね」

 

「へー」

 

「焚火の炎は見てるだけで心が落ち着くんです、貴方も同じ経験ありませんか?」

 

「わかるわかる、あのゆっくり流れる時間はたまんないわなぁ」

 

「ですよね♪ 病みつきになって…加賀さんと一緒できない時はほぼ一人でキャンプしてました(笑)」

 

「ふむ…あのな、この群馬ツーリングが終わったら近場にキャンプにでも行かへんか?」

 

「ぇ?ええ、それは構いませんけど、二人で?ですか?」

 

「そやなぁ、出来れば静かに過ごしたいし、赤城とだけで…アカンか?」

 

「よろこんでお供いたします」

 

「よっしゃー!決まり!約束やで」

 

「はい、貴方も忘れないで下さいね、うっかりさんですから」

 

「了解しましたm(__)m」

 

 

赤城はいつもの微笑みを見せ、明日に備えて休んできます、と席を外した。

やったぜ、赤城と二人でキャンプ!ヒャッホゥと喜ぶオレ。

まさかOKが出るとは思ってなかったが、なんでも言ってみるモンやなとしみじみ思ったり。

さあ、明日は朝が早い、そろそろ寝ましょっかと自室へ引き上げる。

 

その前に、キッチリとメロンを現実に引き戻す事は忘れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌早朝、オレは定番の一服を楽しむため、ガレージ前の屋外喫煙所まで来ていた。

するとグラーフが目を覚ましたのか、紙コップを手にコチラへやってきた。

珈琲の香りがガレージに広がる。

どうやら自慢の一杯を持参してきたようだった。

 

 

「グーテンモルゲン、どうだ一杯?」

 

「おはよグラーフ、有難く頂くわ」

 

 

オレは紙コップを受け取り、珈琲の香りを楽しむため息を吸い込む。

やはりグラーフの煎れた珈琲は格別だ、香りからして充分に楽しませてくれる。

 

 

「ふむ、お前もようやく作法をわきまえてきたな」

 

 

嬉し気なグラーフが微笑みながらタバコを出して火をつける。

うーん、この微笑み、どこか赤城と被って見えるんだよなぁと、しみじみと感じていた。

 

 

「グラーフの仕込みのお陰や、実際珈琲も旨いしな」

 

「ふふふ、その賛辞、素直に受け取っておこう」

 

 

こうして改めてよく見ると、このグラーフは容姿といい仕草といい、とても可愛らしい。

トゲトゲしさを差っ引いてみれば、なんと可憐な乙女ではないか。

チクショー、艦娘ってのは本当に厄介だ、どうしてこう揃いもそろって現実離れしてやがるのか。

そんなオレの気を知ってか知らずか、こちらの挙動を不審に思ったグラーフが心配げにこちらを見ている。

 

 

「どうかしたか?なにか変なものでも入っていたか?」ウワメヅカイ

 

「///なんでもないって、相変わらず旨い珈琲を堪能してただけや」

 

「ん、そうか」

 

「と、ところで、もう準備は出来たんか?」

 

「問題ない、いつでも出れるぞ?」

 

 

そう言ったグラーフは上下ブラウンの革に身を包み、既に臨戦態勢のようだった。

 

 

「メロンに渡してたジャケットも凄かったけど、今着てるやつもかなり良さげやなぁ」

 

「ふむ判るか?コレも本国から取り寄せた逸品だぞ、私に合わせて作らせたシロモノだ」

 

「へぇ、オーダーメイドかぁ」

 

「ドイツはな、日本と違い陸続きで他国に行ける、ツーリングコースも山岳地帯など基本過酷な環境であることが多い、故に身に着けるものも頑丈さが求められる」

「雨も多いしな、それに良いものは高いが、長く使えるものだ。コスト面でも実は優れモノなんだぞ」

 

「ほほー、それはそうやな、勉強になるな」

 

「ふふ、理解を示してもらえるのは嬉しいものだな」

 

 

そう言い、タバコをふかすグラーフ。

こんな仕草も彼女にはピッタリあう、美人は得だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人で話し込んでいると、続々と後続部隊が起床してきた。

皆表情はあかるく、眠たげな者は一人としていなかった。

どんだけ今回の群馬ツーリングを楽しみにしていたかが判るってものだ。

 

 

「みんなおはよう!」

 

「「おはようございます」」

 

「今日からしばらく時間をかけて群馬行きになるんやけど、準備はしっかり出来てるな?」

 

「「はい」」

 

「じゃあ早速出ようか、まずは敦賀から越前海岸経由で加賀までいくで!」

 

「「了解」」

 

「隊列は、オレが先導、次いで夕張、大和、赤城、グラーフ、殿は武蔵、頼めるか?」

 

「心得た!」

 

「司令塔は旗艦経験の多い大和、まかせたで?」

 

「かしこまりました」

 

「じゃあ以後は大和の指示で行動って事で」

 

「「了解」」

 

「では皆さん、エンジンに点火、暖気が終わり次第出発します、準備に入ってください」

 

「「おー」」

 

 

朝から皆のテンションは高かった。

予報では天気の大きな崩れも無さげだったし、これはきっと楽しいツーリングになるに違いない。

オレたちは大和の指示で夜明け前の高速を目指し出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

そんな一行がETCゲートを潜る姿を眺める数台のバイクグループが居た。

体型からそれが若い女性であることが伺える。

大和一行が通り過ぎ、予定通り舞鶴若狭道へ向け走りゆくのを確認してから、このグループは一斉にエンジンに火をともす。

 

 

『皆サン良いですカー?フォローミー、付いてきて下さいネー!』

 

『『了解、お姉さま!』』

 

 

合計4台のバイクは大和たちと同じ方向に爆音を響かせながら消えて行った。

 




ようやく無事出発した一行。
ソレを追うなにやら謎のグループが登場しましたね。
いったい誰なんでしょうか?

謎は深まるばかりデス(棒読み





では次回もお楽しみに!





本文一部修正しました。
タグに念のため「ハーレム」追加しました。

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