鉄騎~大地を征く艦娘たち~   作:にいやん黒須賀部

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皆さまおはこんばんちは!
ハイロウズよりブルーハーツ、にいやん黒須賀部でございます。

ついにお花見会場に到着した一行。
いったいどんなお花見になるでしょうか?


それでは第36話はじまります!



36:チェリーブロッサム!その4

兵庫県〇〇市市役所。

ここは隣に流れる川沿いに桜並木があり、かつ、意外と穴場でお花見にはピッタリだ。

昔オレがバイクに乗り始めた約10年前、たまたまこの季節に走っていて見つけた場所だった。

駐車場は広く、桜の植えてある面積も広く、近くにコンビニやトイレまである。

お花見で一日費やしても問題ないだろう設備が整っていた。

多くの地元民は近くの公園のほうに集まっている、そちらも桜は見事なものだが人口密度が極端に高い。

身内でのんびり楽しむにはこの並木道の方がお勧めだ。

有難いことにほとんどの桜は満開で、しかも絶好のお花見日和だった。

 

 

「レジャーシート広げたっぽい」

 

「夕立そっちの端持っててね、村雨ー手伝って」

 

「はいはーい、時雨姉さん」

 

 

準備のためシートを広げる白露型姉妹。

そこへ大和と武蔵、赤城にグラーフが、お弁当や飲み物を運んできた。

夕張と島風はゴミ箱などを設置。

オレとろーちゃんは河川敷に降りて鍋とコンロの用意、おでんを焚くためだ。

具と出汁はすでに準備済み、大きなタッパーに入れてもってきた、後は温めるだけだ。

桜の並木道では火気厳禁だが、川まで下りれば問題無いだろう。

現状オレ達以外の花見客は5組ほどで、若干寂しげではあるが、その分くつろげるというものだ。

 

 

「ここでろーちゃん潜りますか?」

 

「なんでそうなるw ろーちゃん鍋持ってて、おでん入れるから」

 

「はいですって」

 

「よし、後はコンロでじっくり煮込めば出来上がりだ」

 

「わーい」

 

「よし、コイツはオレが見とくから、ろーちゃんは皆の所に行っといで」

 

「はい」

 

 

元気よくグラーフたちの元へかけてゆくろーちゃん。

あの二人、親子にみえるから面白いな、とついつい頬が緩む。

てこたぁ父親役はオレっすか?でゅふふ~まいったでゴザル~、と妄想全開。

実際にあんな可愛い娘がいたら、ぜってー男は近寄らせないやろなーとか。

 

 

「またニヤけてる、ちょっとキモイよ?」

 

「なんだ夕張、トイレか?」

 

ゲシッ

 

「んなワケないでしょ!お手伝いに来たの!」

 

「ズビバゼンデジダ」

 

「解ればよろしい」

 

 

よいしょ、と隣に座る夕張。

はい、とコーラを差し出してきた。

 

 

「おおサンキュー」

 

 

よく見ると、上のお花見部隊本隊の面々は乾杯をはじめるみたいだ。

武蔵がこちらに「きこえるかー、乾杯するぞー」と声を上げていた。

 

 

「それでは、皆のこれからと満開の桜に、乾杯!」

 

「「かんぱーい」」

 

 

ついにお花見本番スタートだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう少しやな」

 

 

おでんを入れた鍋は弱火でコトコトと炊いているため時間がかかる。

だが、そろそろ頃合いだ。

割り箸で大根をつつく、うん、やはりもう少し待った方が良さげだと判断。

 

 

「ねぇにいやん?どうして今回のお花見企画したの?楽しいからいいけど」

 

「うーん、やっぱり季節の行事ってのを体験してもらいたいやん?それに…」

 

「それに?」

 

「お前この間からちょっち元気無かったやろ?だから楽しいことやれば元気でるかなぁと」

 

「ぇ………///」

 

「ほら、もう煮えたぞ、武蔵とか大和辺り呼んできてくれ、鍋多いしひとりじゃ持ちにくいわコレ」

 

「う、うん」

 

 

夕張は武蔵を呼びに土手を登っていく。

火照った顔を隠せるのは正直たすかった、と夕張は思った。

 

 

「おーい夕張、おまえスパッツどうしたん?」

 

「え?もう脱いでるよ?どうして??」

 

 

オレはジェスチャーで「ぱん」「つー」「まる」「みえ」と伝えた。

 

 

「バカっ」ビュン…カコン!

 

「あいて…」

 

 

コーラの空き缶がオレの頭にクリーンヒットした。

今日のお召し物は緑のチェック柄だった。

 

 

 

 

 

 

結局、武蔵、大和、夕張、オレで鍋を運び板きれの上に置いた。

メインディッシュも準備できたし、オレも何か頂くか!と割り箸を持った時

 

 

「どうも、その節はご迷惑をおかけして…すみませんでしたm(__)m」

 

 

オレと同じ丸刈りーたな青年がオレに頭を下げていた。誰?

と思っていると、武蔵が青年の頭を上げさせ紹介する。

 

 

「私が呼んでおいた。コイツはカズと言ってな、今柔道と剣道を教えてやっている、ほら、お前が舞鶴でけっとばされた時の鼻ピアスだ」

 

「えー!!ウソやろ?面影まるでないやん!?」

 

「あのあと改心して姐さんに色々お世話になってます」

 

 

ほえーあのチャラ男がここまでかわるのかー

と、オレは頬けていたが、とりあえず返事しなきゃな。

 

 

「別に、もう済んだことだし、いまの今まで忘れてたしな、かまへんよ?」

 

「ありがとうございます!」

 

「よかったなカズ、どうだにいやん、コイツも混ぜてやってくれんか?」

 

「ああ、ええよ、食べ物も十分あるし」

 

「よし、改めて乾杯だ!」

 

 

聞くところによると、このカズちゃん、今は警察官になるため勉強中だと言う。

世話になったオレたちバイク乗りにお返しがしたいとかなんとか。

ほえー、立派になってまあ、とオレは素直に驚いた。

 

 

「夕立の拳で心入れ替えたっぽいよ。にいやんも一発うけておくっぽい?ダメな性格治るかもっぽい」

 

「やめれ」

 

 

 

 

 

 

 

そのあと何故か大和と赤城に挟まれ座る事となったオレは、ふたりから色々世話を焼かれまくった。

アレがオススメだとか、コレが美味しいとか、やめて、貴女たちの基準でわたしてくるな、そんなに食えないのオレは。

 

 

「そいや、島風がみえんけど、どこ行った?」

 

「島風さん、食べるだけ食べたらアソコで寝ちゃいましたよ」

 

 

赤城の指さす方向に一本の桜があり、その根元で横になっている島風が居た。

緩み切った寝顔はなんていうか幸せそうだった。

つられて白露型の三人も「ちょっと朝早かったからお昼寝するね」と島風に混ざりに行った。

まあ偵察もまかせてたしな、今日は思う存分のんびりすればいいか。

結局この日は陽が沈むくらいまでのどかに過ごし、帰りに晩飯の準備が面倒だろうと焼肉に行くこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ろーちゃん食べる暇がないですって」

 

焼肉名人ろーちゃんは赤城たちに散々こきつかわれていた。

 




艦娘達の楽し気なお花見風景いかがでしたでしょうか?
今回は皆バイクできたこともあり、お酒がありませんでしたが
みんなそれぞれ楽しい時間を過ごせたのではないかと思ってます。
毎日これだと飽きるでしょうけれど、楽しい日常がつづいてくれるといいですね?

次回もお楽しみに!

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