熱帯夜は大嫌い、にいやん黒須賀部でございます。
前回はメロンちゃんとツーリングにいった途中でしたね。
さて、今回はどうなるのでしょうか?
早速お送りしたいと思います。
第31話はじまります!
岡山県のとある運動公園。
その一角にある、たまごかけごはんの店で朝食をすませたオレと夕張は
ジャケットなどの吟味のため、バイク用品店へと向かうことにし、とある広域農道を南方向へ流していた。
ここは交通量が少なく高速コーナーが多い、実にツーリング向きなルートだった。
実際に地元岡山ナンバーのメガスポーツ車がチラホラと現れては、オレ達を抜かしスパーっとかっ飛んでいく。
国際サーキットのそばを抜け、あとはひたすら東へ帰路方向にすすむ。
兵庫県に入りとあるバイク用品店の駐車場に乗り付けた。
郊外にあるちょっと大きめのお店で、品揃えが豊富でウェア類を見て回るにはもってこいだった。
「とりあえず見て回るか?」
「うん、試着もしてみないとね」
「おっけー」
しばらくは夕張の好きにしてもらうことにし、オレはオレでグローブコーナーで3シーズンモデルなど見て回る。
品揃えが豊富とはいえ、なかなかピッタリ好みに合うものは見つけ辛いのが悲しい所。
サイズはピッタリでも色合いが問題であったりその逆もしかり。
お店には申し訳ないが、サイズだけ試着で調べて、実際の商品はネット注文というのもザラだった。
夕張も似たような状況だったらしく、その表情はあまり浮かないものだった。
仕方がない、なかなか自分にあった一品てのは巡り合えないものだ。
今回は冷やかしだけで、購入はまたの機会ということで、オレ達は帰路に就くことにした。
無事帰宅し、ガレージにバイクを収めていると、グラーフが出迎えてくれた。
と言うより、屋外喫煙所でタバコを吸っていただけだったが。
「おかえり、夕張?浮かない顔だがどうした?」
「うん、バイク用に新しいジャケットをみにいってたんだけど、いいのがなくてちょっとガッカリしてたの」
「ふむ…良かったら私のを貰ってくれないか?サイズが小さくてどうしようかと思ってたんだが夕張ならピッタリ合うかもしれん」
「え?いいの?」
「少しまっていろ、今持ってくる」
「うん」
そしてグラーフが持ってきたのは、ドイツ製のカーキ色をしたミリタリージャケットだった。
「本国から取り寄せた逸品だ、日本のものはどうも耐久性に難があってな」
「ほう、確かに造りはしっかりしてそうだ、色合い的にも似合うんやないか?」
「わー、ほんとだ、ちょっと着てみるね」
若干大きいようだが、ソレなりに似合っている。
なにより、夕張の髪の色とマッチして随分お洒落に見える、馬子にもなんとかだな、とオレは思ったが口には出さないでいた。
「コレ気に入った!グラーフ本当に貰っていいの?」
「ああ、私がもってても仕方がないしな、呂には大きすぎるし、新車の購入祝いとでも思ってくれ」
「やほー!ありがとう!」
くるくるまわって喜ぶ夕張。
良かった、どうも今日は朝からイマイチ元気がなかったからな、コレで少しはマシになるだろう、グラーフグッジョブ!
夕張はバイクから荷物を降ろすと、そそくさと母屋の方にひっこんでいった。
おそらく自室の鏡の前で、おニュージャケットのチェックでもしたいのだろう。
「あんな高そうなもの良かったんか?」
「ああ、使わずに眠らせておくには勿体ない、つかってくれたほうが私も嬉しい」
実に様になるセリフに、ヤダ惚れてしまいそう///になったオレは、タバコでも吸ってちと気を紛らわせる事にした。
「そういえばオレのパニアケースもドイツ製なんやが、グラーフに頼めば取り寄せとか可能なん?」
「たしかH&Bだな、それなら少々時間はかかるが問題ない」
「ひゃっほう!あれキャンプ道具満載すると取り付け金具の劣化がはげしくてな、助かる」
「ふふ、任せてもらおう、価格もかなり安くなるからな」
「至れり尽くせりやな」
まるで深夜放送の通販番組みたいなやりとりに少々笑ったが、実に頼もしい住人が来てくれたものだ。
夕飯時、夕張はよほど嬉しかったのか、ジャケットを着たまま食事に現れた。
それを見たグラーフは珍しく笑みを浮かべ頷いていた。
ドイツ製の箱など普通に買ったら高いんですよね。
私もドイツの友人ほしいなぁ。
さて、次回はみんなでお花見回の予定です。
お楽しみに!