予定通り一日引きこもった、にいやん黒須賀部でございます。
想えば10日程前にかきはじめて、気が付いたら27話まで来ました。
事前の準備は1月ほど前から少しずつやってましたが
この勢いでこられたのは良かったと思う反面
まとまりがない部分も多々あり、そこが残念です。
今後はもう少しペースを落として、じっくり執筆作業を行いたいと思います。
では、第27話はじまります!
夜明けの2時間ほど前、夕張が出かけてからしばらく。
オレはガレージ前に設けてある、屋外喫煙所でタバコを吸っていた。
3本目が吸い終わったころ、母屋の方からGパンルックのグラーフがやってきた。
「随分早起きなのだな?」
「いや、夕張がでかけるから見送りにな?お前も早いな」
「ん?私はベッドがかわると寝つきが悪くなるのでな…夕張はもう出たのか?」
「ああ、雲海観に行くんだってさ」
「ほぅ、事前に知っていれば同行したかったな…」
「次の機会はちゃんと話すわ、それでいいやろ?」
「ふむ、すまんな?気を使わせて」
「グラーフも含めてまぁ家族みたいなもんじゃないか、気にすんな」
「ああ、そうさせてもらう」
ラフなカッコのグラーフは、どこか普段の堅さがぬけ、やわらかいくだけた雰囲気だった。
グラーフはGパンのポケットからタバコを出し、オレに目線をおくる。
くわえたタバコをオレのくわえタバコに近づけ、シガーキスをする。
「///」
「何を驚く?」
「普段のお前なら、気安いな、とか言うところやん?///」
「あぁ、任務中はな。プライベートでは結構がさつだが?」
「それは初耳、なんか親近感が沸いてうれしいわ」
「ふふ、お前とはそんなに付き合いが無かったからな、この機会に少しお互いの事を知ってもよかろう?」
「それは建設的やな、かまわんよ」
「ダンケ!ありがたい」
グラーフはそう言い、タバコをふかす。
夜の明けないくらい中では、タバコの明かりはよく見える。
たまたま自室の窓辺でそれをみつけた赤城は、またにいやん?今度はグラーフさん???とトンデモない勘違いをしていた。
「どうして私は毎回覗き魔みたいに…これじゃまるで青葉さんだわ」
そう呟いてカーテンを閉じた。
モヤモヤするくらいなら、後で直接問うてみようと布団に潜り込む。
それにしても、あの人意外とモテるのかしら?などと失礼な事を考える。
赤城はこうして夜明けまで一人悶々とすごした。
ふぅ~。
煙を吐いたグラーフは、この際だからと色々と質問攻めにしてくる。
すきな食べ物、すきな歌、すきな場所などなど。
オレひとつひとつ丁寧に答え、グラーフもそのたびうなづいて聞き、自らもその問いに答えてくれた。
「最後にもう一つ良いか?」
「ああ、ななんでもええよ」
「ダンケ、なら問おう、好きな異性は居るのか?」
ブフォ!
オレはふいた。
なんだってオレに関りがある艦娘はそろいもそろってソコ聞いてくるんだ!
ジト目になりしばし言葉を濁す。
グラーフは怪訝な顔をしてさらにつづけた。
「何を変な顔をする、おかしな質問をしたか?」
「いや、そうではないけどな」
「ふむ、答えづらいのか?」
「うーん、特にいないかな?昔は前の赤城さんがすきだったがフラれたわ」
「なるほど…おかしいな、てっきり夕張と付き合ってるものだと…」
ブフォォォ!
オレはさっきよりも盛大にふいた。
何故に夕張なんだ、そんなにオレはロリコンにみえてたのか???
「汚い奴だ、なんなのださっきから」
「それはオレのセリフです」
「なぜだ?別にそう間違ったことを言っているとは思わんが」
「親子ほど歳離れてんがな」
「別に問題なかろ?」
「………」
「だいたいな、前の赤城の相手、例のアトミラールは50代だったぞ?」
「それは特殊な例なの!」
「ふむ、日本人はよくわからんな、どこに問題があるというのだ…これは調べてみないといけないな」
「ご自由に」
あきれたオレは次のタバコに火をつける、いやつけようとした。
「ホレホレ」
そういってまたシガーキスさせようとするグラーフ。
オレはそれをスルーしてライターでつけた。
「つれないな、お前は女を虐めて楽しむサディストか?」
ブフォォォォォ!!ゴホンゴホン
「だから汚い」
「お前の方がドsやろwww草生えるわwww」
「失礼な奴だ、いくら何でも今のは傷つくぞ?」
「すまん」
「お前は本当によくわからん奴だ」
「…」
会話が途切れ、お互いタバコをふかす。
すこし声を抑えたグラーフがポツリと呟く。
「私は赤城の設計をもとに造られた」
「だからいろんなところで私と赤城は似ている…」
「それが?」
「………」
グラーフは遠い目をして、暗闇を眺め黙っている。
しばしそのままでいると
「ぐーてんもーげん、ツェペ、にいやん」
ろーちゃんが起きてきた、もうそんな時間なのか?
「よく眠れなかったですって、はい」
「グーテンモルゲン、呂どうした、もう散歩に行くか?」
「はい!」
二人は手を繋ぎ、仲良く歩いてゆく。
去り際にグラーフは
「赤城の好みは私の好みってことだ」
「なんのこっちゃ」
言うだけ言って、散歩にいってしまった二人を無言で見送る。なにやら日本の民謡をろーちゃんがうたいながら歩いてる…。
女、いや艦娘ってのはよくわからんなぁ、とため息が出た。
オレが女なら艦娘の心もすこしはみえたのだろうか?
そんな益体もない事を考えていた。
オレは他の皆が起きだす前に朝食の準備をととのえ、また一息つきに屋外喫煙場所にきていた。
最近なんだか色々ありすぎてタバコの量が増えている。
すこし減煙しないとな、と考えつつもタバコに火をつける。
「おはようございます、にいやん」
「おはよう、今度は赤城か」
「どうしました?」
「ちょっと前までグラーフとここで話してたからな」
「あぁ、何のお話を?」
「お互い良く知らないから身の上話を、ってところかな」
「そうですか」
「ところで赤城、グラーフの設計におまいさんの技術がどうこうってマジ?」
「そうですね、私を参考に建造されたのが彼女です」
「ふむ」
「なにか?」
「いやな、グラーフが『私の好みは赤城の好み』みたいな事言ってたんやが」
「…そうですか、よくわかりました」
「実際そうなん?」
「おそらく彼女の言う通りですよ?」
「そっか」
「にいやんはもし、グラーフさんに告白されたら、どうします?」
ブフォォォォォ!!!!
「汚いですね」
「お前のせいやw」
「何故です?」
「ありえん、グラーフはだらしない男が嫌いだ」
「言い切るんですね」
「本人の談やからな」
「ふふふ、ソレが本当のこととはかぎらないですよ?にいやん」
「は?」
「なんでもないです、顔をあらってきますね、また後程」
「お、おう」
もう今日はここに居ないほうが良いように思えてきたオレは
少し気晴らしに走りに行くことにした。
朝食までにはまだ間がある。
近所のコンビニくらいなら問題ないだろう。
愛機をとりだし、普段着のまま跨り走り出す。
やや曇り気味の空からは、ポツリポツリと雨が降ってきた。
「ん?春雨ってやつか…濡れていくのも悪くない」
カッパを着るのが面倒だったため、そのままコンビニへ向け駆けて行った。
タイトルどおりだったですよね?
春雨?うーん、知らない子ですね(ゲス顔
今回は会話ばかりとなりましたが、これもけっこういいかもですね。
たまにはコレのノリでいきましょう。
け、けっして手抜きじゃないんだからねっ?
では次回もお楽しみに!